1988年2月1日発売
桜田門の天才警視、岩崎白昼夢。東大卒、国家公務員上級職試験3番合格。警視庁捜一に入庁以来、冷徹な頭脳と大コンピュータで難事件を解決。やがて、部下の志村みずえ警部補と結婚し、妻みずえは赤坂署へ捜査課次席として異動した。そして再び本庁勤務となったみずえと岩崎に、捜一課長から、結婚1年目の紙婚式旅行の意外な命令が…。内密な公費旅行先で、岩崎を待ち受けていたのは若い娘の公開裁判だった…。
牛乳配達の青年が、朝露に濡れた雑草の上に俯伏せに倒れている人間を見つけた。その男の後頭部は血に染まっていた。所持品から被害者は小さな運送会社を経営する太田信次と判明。捜査が進むにつけて三人の容疑者が浮かびあがった。犯人を絞り切るキメ手のないまま、捜査は暗礁に乗りあげた。そんな折、犯行当時、蛍の光のようなものを見たという目撃者が現われた…。
元F1レーサー・唐山から公安二課に届いた「ポルシェ959を高速道路で350キロで走らす」という挑戦状。警視庁は、メンツのためにも、急遽、はみ出し刑事の天宮駿介を特捜ハイウェイ刑事に任命。当日、天宮は、唐山を中央高速・阿智P・Aに追いつめたが、何者かに狙撃された。さらに不思議なことに、ポルシェは高速道路上から忽然と姿を消した!一方、東名高速・浜名湖付近と、関越道・高坂付近で、ビニール詰めのバラバラ死体の一部が発見され…。アッと驚く大トリック!新しいヒーローの誕生!全国整備された高速道路を舞台にした、ニュー・カーアクション・ミステリー!新鋭渾身の書下ろし傑作!
警察とヤクザの両方から追われる殺し屋・〓。気がついたら銃撃戦の真っ只中にいた(『言い出しかねて』)。「彼女は、彼女でなくなってしまった。殺してやるのが親切ってもんだ」3人の男たちは拳銃を手に入れた(表題作)。清冽な冴えをみせる珠玉の6編。愉快でとぼけた連中が活躍する、正統派ハードボイルド小説集。
「パーティをやろうと思う」マイク・ハマーが提案した。「松本の死を悼んでね。一風変わったパーティだぜ」V8、3200cc、300馬力の化け物パトカーに、仲間を殺された5人の横浜っ子たちは、復讐を計画した。-高速道路での迫真のカーチェイス、小気味よい青春とその終わりを鮮やかに描いた傑作長編。矢作俊彦デビュー作。
「わたし、中学生かな、高校生かな」と少女は年齢も曖昧に答えた。噂に聞いた少女売春だ。彼は金がないのに欲望が動く。行為のあと、少女の隙に2万円を掠め取った。その札番号が郵便局強盗の奪った数字に一致。厳しい嫌疑を解こうと彼は少女を探し出すが、その口からは意外にも!「少女」を含め、逆転の妙に充ちた、魅惑の5編。
丸宮利秋は丸宮工業社長の長男で専務の地位にいるが、社内の地倉早苗と不倫関係にある。利秋が森羊之助常務と初めてのヨーロッパ旅行に出掛けてから、奇怪な事件に遭遇する。だが、同行の森は“旅行ノイローゼ”だと取り合わない。一方、東京の丸宮本社では大事件が起きていた。新田文学中、数少ないロマンミステリー。
本書に登場する人々の多くは、様々な形で、つまずいたり失敗したり幻滅したりあきらめたりする。けれども、だからといって著者自身が、暗くてペシミスティックな人間というわけではない。これらの物語は、今でもファミコンに遊び惚けるような僕のノンキな実生活の裏返し(?)なのである。
五条友彦、人呼んでウルフ。出羽山中で闘技を修め、狼のように駆ける若き戦士だ。超高性能で微小な記憶装置オメガ2000の奪取を図るクレムリン派遣の暗殺集団「死神」と対決。五条に課せられたこの企業秘密の死守が、国の安泰に通じる。相次ぐ死闘、粟立つ恐怖、斃れる恋人。新進アクション作家の、手に汗を握る野心作。
流浪の国学者長野主膳は、彦根城内の埋木舎に不遇の日々を送る井伊直弼と知り合い、肝胆相照らす。やがて家督を相続した直弼は、幕府の期待を担って大老に就任。主膳は、その“懐刀”となる。長編歴史小説。
全員死亡のバス事故で、たったひとり生き残り、宝くじを買えば1等に当たる-そんな奇跡の男がいる。でも、ホントにそんな男がいるのか?この世の中に“奇跡の男”はいるのか?本格推理小説の白眉!
なんて図々しい男かしら?バーで食前の1杯を楽しもうとしていたアルシーはさっきからうるさくモーションをかけてくる男を断固拒否しようと顔をあげた。この、どこかなじみのあるグレイの目は-?ティージ・アンダースン!6年前の日々がたちまちよみがえる。あれは、ガンで夫を亡くす前のこと。やりての実業家としてアルシーの仕事の能力を磨き、そして結婚していることを知りながらアルシーの情熱に火をつけようとした危険な男。アルシーは不思議な興奮をおぼえた…。
老中田沼主殿頭意次の右腕と目されて、今を時めく勘定奉行松本伊豆守の屋敷へ姿を現した恐ろしき般若の面をつけたる剣士ひとり。伊豆守の屋敷に同居する綾姫は、お家を断絶された美濃郡上八幡金森家の遺児であった!美しい綾姫に白面鬼は顔を合わせた。綾姫の臣、加納和泉の用心棒を努めるは三日月神妙剣の無類の遣い手、鮫鞘組の怪剣士三日月桂馬であった。深まる謎の渦中にきらめく桂鮎太郎の絶妙剣の舞。-面白さ抜群、伝奇時代の雄編。
紅葉に彩られた10月の昼下がり、岩手県雫石川の河畔で横浜在住の藤本昌代(29)の死体が発見され、現場に遺された薬物混入のワインボトル、ダイイングメッセージなどから殺人と断定された。昌代の妹亜紀は6年余りも消息不明だった姉の悲劇的な最期を見、ルポライター浦上伸介とともに犯人追及を開始した。やがて昌代の元愛人牧内満広が浮かび上がった。だが、事件解決を目前に四国吉野川で女性死体が発見され、その犯人として牧内は逮捕され殺人を自白した。しかも犯行は昌代の死亡推定時と同日同時刻と証明されたのである…。当代一のアリバイ崩しの名手が、大胆な着想と緻密な構成で贈る本格推理の傑作!
富士山麓にいるばすの考古学者松原教授が、札幌で変死体で発見された。疑惑を抱いた有田と新沢大作は真相を探るべく、松原が生前、熱心に唱えていた“日本原住民・南方渡来説”と、彼の死との関連性を調べ始めた。手掛かりは、世界各地に眠る遺跡ー環状列石と日本の巨石の共通点。やがて浮かび上がる政財界に渦巻く巨大な陰謀と、失われた大陸アトランチスの影…。はたして事件の真相は?大好評の“空白”シリーズ第二弾!
おだやかな昼下がりだった。同じ団地の友人章子の部屋から戻った白井寿子は、自分の部屋のドアが開いているのに気づいた。ドアは閉めたはずなのに…。そう思いながら入ったとたん、静かな午後が一瞬にして魔刻と変わった。見知らぬ男に凌辱され、あり金すべてを奪われたのである。夫に知られたらー発覚を恐れた寿子は、悪徳金融から金を借りたが返済に困り、その代償にいつしか悦楽の泥沼へと堕ちていった…。ひときわ異彩を放つ長編小説の傑作!
〈ノックをすると、入れ、と言う声がした。鍵は開いていた。足を踏み入れたとたん、谷口は棒立ちになった。全裸のまま、二人は布団の上で絡み合っている。電気は点けっ放しだった〉この時、谷口の胸に殺意が芽生えた。遠く、佐渡に打ち寄せる潮騒が聞こえていた…(「哭き鬼太鼓」より)。佐渡、隠岐、南紀・大島など、伝説に彩られた島々を舞台に繰り広げられる男と女の愛憎。そして殺人。現地を取材して旅情豊かに描く傑作サスペンス推理!