1988年2月発売
〈シルバーソーン〉の事件から1年、クロンドル諸島王国に平和がよみがえり、巷には喜びと幸せが満ちあふれていた。だが、折しもクロンドル公アルサとアニタ妃の双子の息子の誕生を祝う式典の日に、邪悪な魔道士マーマンダマスの命によりアルサ暗殺を図るナイトホークス団がふたたび王国に現われた。情報によれば、暗殺団はアルサの偽者を用意して、迷路のような下水道に潜伏しているという。さっそくアルサは戒厳令を宣告すると、大寺院に正体怪しき者を逮捕して取り調べを行なった。まさかその場で暗殺者の刃にかかるとは夢にも思わずに…。
今までの魔法とは異なる秘術を妖精族から学んだパグは、ようやく自分が大悪魔に立ち向かうべく訓練された道具であったことに気がついた。だが、肝心な敵については何もわからぬ始末。すべての謎の答を知る者は偉大なる魔術師マクロスだけなのだ。彼は大悪魔を倒すべく、旧友トマスと共にマクロスを探して既知の宇宙の外にある“永遠の都”へと旅立った。だが時すでに遅く、大悪磨の罠にかかったマクロスは、すでにすべての力を失っていた。『指輪物語』を超える壮大なエピック・ファンタジイとして大ベストセラーになった三部作、堂々完結。
科学振興を目的とするビンガム財団に、100万ドルの助成金申請があった。申請者は哺乳類細胞の研究でノーベル賞を受賞したソーンデッカー博士。彼は今、細胞の老化の仕組みを解明し、永遠の命を生みだす研究に腐心していた。財団は博士の身許を確認すべく、調査員トッドを派遣する。だが過疎の町コウバーンで彼を待ち受けていたのは〈ソーンデッカーは殺す〉という謎のメモ。研究所をめぐる奇怪な人間関係を調査するトッドは、やがてメモの暗示する恐るべき事実を知る!鬼才が細胞学の知識を駆使して不老不死の問題に挑む衝撃のサスペンス。
周囲は暗闇。荒れはてた道を運ばれていく。心の中には熱くどろどろした恐怖。でもわたしのじゃない、殺された彼女の恐怖を感じているのだ。若き霊能者テレサが幻影で見た場所で、大地にはりつけにされた死体が発見された。それが事件の発端だった。その日からテレサは死を告げる執拗な幻影に悩まされる。やがて、タロットカードの図柄に合わせたかのような奇怪な死体が次々に発見され、テレサ自身にも殺人鬼の魔手が迫る。女流詩人が豊かな感性で紡ぐ出す傑作サスペンス。アメリカ探偵作家クラブ最優秀ペイパーバック賞ノミネートの力作。
何人もの血を吸い、手から手へと渡っていったひとつの壷ーその行方を追って雇われ探偵ナイツブリッジは、ワイオミングのさびれた炭鉱町にたどりついた。だが、探りあてた壷の持ち主フリールはすでに死亡、壷には彼の遺灰がおさめられていた。町では、不審火、死亡事故など奇怪な出来事が続き、やがて、死者たちが町をさまよっているという噂が流れはじめた。ナイツブリッジはそこに陰謀の匂いを嗅いだが…雇われ探偵が巻き込まれた血みどろの抗争を型破りな設定で描く、アメリカ探偵作家クラブ最優秀ペイパーバック賞候補のハードボイルド。
えッ、エニドが歩けなくなっちゃうー飛行ライセンスを取ったジョージと初フライトに出かけたエニドだけど、セスナ機が事故を起こして大ケガを!いっしょうけんめい看病するジョージだけれど、じつはエニドとわかれる決心をしていたのよ。なんとロビンと恋におちて…でも、何も知らないエニドには、とっても言い出せなくなっちゃった。ぐうぜんそのことを知ったエリザベス、親友エニドと苦しむジョージやロビンのあいだで、板ばさみになって…。
エーゲ海を航行中のNATOフリゲート鑑〈アリアドネー〉は、尋常でない高度から墜落炎上中の機影をとらえた。国籍不明の大型機-何の目的でこの海域を飛んでいたのか?ところが、黒煙を吐いて飛行機から落ちていく海面の近くに、もうひとつ炎が上がっていた。個人所有のヨットが火災を起こして救難信号を発していたのだ。同時刻に同じ海域で発生した二つの遭難事故。そこに〈アリアドネー〉が居合わせたのは偶然だろうか?ヨットの生存者であるギリシアの富豪一行を救出した〈アリアドネー〉鑑長タルボットは、機関室が爆発したというヨットの事故原因に疑問を抱く。だが、タルボットの想像を超える陰謀が二つの事故の裏には隠されていた。エーゲ海全体が、死の罠にとらえられようとしていたのだ-!1987年に急逝した冒険小説の巨匠マクリーン。その最後の作品となった、サスペンス大作。
現代のアメリカをあざやかに映し出す、16の恋愛短篇。ほんのり甘いのも、やるせなく苦いのも、ユーモラスなのも、深刻なのも。ボストンとその周辺に展開する大人の恋の駆け引きは、ウィット豊かで、意外に純情で、そして優雅な色気が漂う。
円光寺宗夫は画家である。世紀末的怪奇画で流行児になっていた。その円光寺の家に、週刊誌記者の門倉隆造が刃渡り30センチほどの短剣を持参した。剣には“魄”の字が彫られ、柄には竜頭が施されていた。この「魄の剣」は、円光寺の親友で有名なファッションデザイナー、草鹿譲二の家の古井戸から発見されたという。草鹿はガンで死期が近い。女祈祷師が、対になった「魂の剣」を持ってきた女と草鹿が結婚すれば平癒すると告げた。疑惑を抱いた円光寺は女祈祷師の出自を調べに四国へ飛ぶが、そこには南北朝の血の時代があった。
推理作家志望の根岸登志彦は、7月15日午前3時アパートの一室で、50メートル先のメゾン・ガーネット401号室に住むアイドルスター、佐伯真弓が自室から墜落するのを目撃した。そして1カ月後、2カ月後の同日同時刻、同室から男性の第2、第3の墜落を目撃。悪霊の祟りか殺人か?彼は謎を究明すべく401号に移り住んで3カ月目の同日午前3時になって…。一方、スーパー浦上屋の売上金6千万円の強奪にまんまと成功したハチ、タカ、ヒョウの3人組を追及する警察と、根岸の推理が真相に迫るに及んで…。
100万分の1(パーミリオン)のネコ。畏敬と嫌悪のいり混じった通り名が、彼女の勲章だ。生と死の寄りそう空間で、最後に死のカードをひくのは誰か!?D種犯罪者とよばれる、その存在自体が極秘扱いにされる獲物を狩り出す任務のため、ネコは、グラビアという見棄てられた鉱業惑星に降り立った。プレノリアでおきた目的も方法も謎のテロ事件の主謀者“大鎌”がこの惑星に逃げ込んだのだ。姿もみせず突如襲いかかる死の竜巻…大鎌はきわめつきのサイ能力者だった。血も凍るクールタッチ、異様なまでに美しいヴァイオレンス。構想3年、異才・竹本健治渾身の書下し長篇!
作家の森川は17年前、たまたま見学した録音スタジオから歌手が失踪するという事件にでくわした。一方、退職刑事の持田には、やはり17年前、迷宮入りした老女殺害事件へのこだわりがあった。ある日、二人が住む町で放火があり、焼けた工場跡地から白骨死体が発見された。工場は17年前に建てられたという。年月の暗号に二人の追跡行が始まったが…。芸能界の裏面を描く長篇ミステリー。
宇宙暦795年、帝国暦486年。ゴールデンバウム朝銀河帝国は、自由惑星同盟軍の攻勢に報復を開始。皇帝フリードリヒ4世の戴冠30周年を勝利で飾るのだ。この戦略的意義のない会戦の陰で、帝国軍中将ラインハルトは、皇帝打倒の野望を抱いていた。王朝を倒し、自分こそが全宇宙の覇者となるのだ。19歳の若者が帝国最大の反逆者となるだろうことを知る者は、副官キルヒアイスのみだった。長篇スペース・オペラ。
1896年、英国東アフリカ植民地政府は、モンバサ・ナイロビ間の、ウガンダ鉄道第一期工事に着手した。それは暗黒大陸アフリカに文明をもたらすものだった。厳しい工事の続く中、一人の女が、傷つき飢えたライオンに襲われた。容易に手に入る獲物を覚えたライオンは仲間を連れ、大勢の労働者を抱える鉄道工事現場を次々と狙い始めた。建設事務所長ハルスレンは、自らライオン退治に出かけるがー。感動巨篇。
大雨季を前に、サボ川の鉄橋架設を終了したものの、依然として鉄道工事は困難を極めていた。そんな折、不満の慕る労働者たちがついに暴動を起こした。一方、人喰ライオンは日毎狡猾さを増し、やすやすと人々を襲った。その牙に倒れた前所長ハルスレンの遺志を継いで所長となった若手技師パターソンは、力強い支えとなってくれるマサイ人・ブータと共に、人喰ライオン撲滅に力を注いだ。戸川文学の傑作巨篇。
大阪は通天閣下の路地裏通り。バーバー中田の友夫、ガードマンの順吉、喫茶ミツコのママ光子の3人は妙に気が合い、日に一度は顔を合わせないと気がすまぬという間柄。涙もろくておっちょこちょいのこの3人組が、町内にまきおこるさまざまな事件に鳩首協議、他人の不幸は放ってはおけぬと力を出しあい、解決にあたる。ちょっぴり楽しく、ちょっぴり哀しい下町人情ドラマ。名手・難波利三の独壇場。
アメリカの家族の絆の光と影をしなやかな感性で巧みにとらえた“優しく、おかしく、雄弁で、知的でもある驚くべき短編集”(ニューヨーク・タイムズ紙評)…。23歳で華麗にデビュー。80年代アメリカ文学の新しい流れを代表するレーヴィットのベストセラー。
自宅マンションで音楽教室講師・杉山博之の変死体が発見された。驚くべきことに、青森県下北半島恐山の麓に住む杉山の祖母サキは「博之は北から来る何かによって殺される…。」とその死を予言していた。サキは「予知」という特殊能力をもつイタコであったのだ。続いて、同音楽教室の経営者・高川伸男も「北」に怯えながら謎の死を遂げる。この連続変死事件に絡む「北から来る」何かとは?そして「北」とは一体どこなのか?生前の高川からの手紙で真相究明の依頼を受けていたルポライター浅見光彦の「北」への探偵行が始まった-。