1988年5月発売
斜陽 他一篇斜陽 他一篇
敗戦直後の没落貴族の家庭にあって、恋と革命に生きようとする娘かず子、「最後の貴婦人」の気品をたもつ母、破滅にむかって突き進む弟直治。滅びゆくものの哀しくも美しい姿を描いた『斜陽』は、昭和22年発表されるや爆発的人気を呼び、「斜陽族」という言葉さえ生み出した。同時期の短篇『おさん』を併収。
巨魚伝説巨魚伝説
ぐらりと赤い不思議なものが自ら湾曲し、水飛沫が上がった。やっぱり魚類だ。だが鮭ではない。鮭はこんな鮮明な赤地ではない。それに鮭が丸木舟のように2メートルを優に超えるはずがない…。山形・鳥海山麓の湖で、北峰太郎彦は思わずわが目を疑った。村人の誰もが信じなかった伝説の巨魚〈アカノスケ〉がその雄姿を現わしたのだったー。祖父、父、そして太郎彦の親子3代が巨魚に挑戦するさまを、気鋭の新人が劇的に描く感動の冒険小説、登場。