1988年7月1日発売
不倫を予告する一本の電話が始まりだった。謎めく館で、人妻・奈美子は、老人の舌に女の芳香を放つ陰阜を委ね、少年の勃起を熟れた果肉に迎え挿れる、美しく淫蕩な女主人となって呪蜜に浸った。
2068年。チャンネル40のTVレポーター、オカダノブヒコは20世紀末のドキュメンタリー番組を企画したが、トップには受け入れられず、その理由については言葉を濁されるだけだった。何か割り切れないものを感じたノブヒコは、1988年へのタイム・トラベルを敢行した。そこは、80年前のトーキョー、武道館。ジョージ・マイケルのコンサートに熱狂する少年少女たち。2068年のコンピューター・ディスコでは体験することのできない若者たちの健康的なエネルギーに包まれながら、一緒に踊り出したノブヒコに、隣の席の女が囁きかける。「あなたは、狙われている」-1988年という“過去”のもうひとつの都市で着々と進行する恐怖のプロジェクトとは“何”?
孤細胞(シングル・セル)のように生きる一大学院生と女子学生の共生と別離ー単独者の生の論理を思考実験的に追求し、人間の永遠の孤独と現代の愛の窮極のかたちを豊かな筆力で描き切った第14回泉鏡花文学賞受賞の長篇小説。
いつも男につけ狙われて恐怖に怯えている女と、性の記憶と妄想が分離できなくなった女に分別をもって立ち向かいながら、エロスの花咲く籬を越えていく男の姿を、濃密な文体と強靭な構築力で描いて、現代の性に新領域を切り拓いた第19回谷崎潤一郎賞受賞の長篇小説。
ヘンリー・ジェームズが「13ページで書かれた傑作」と激賞した「ねじけジャネット」、サマセット・モームが「世界短篇小説百選」の一つにとりあげた「マーカイム」、解剖用死体の盗掘と売買を扱った「死骸盗人」など、鬼気迫る7篇を収録。眠れぬ夜の一服の清涼剤として、ぜひお試しください。ただし、のみすぎにご注意!
オシャレ泥棒-彼女達は一般にそう呼ばれていました。街はオシャレ泥棒の噂で持ちきりだったのです。最初、原宿のショップの前に停められていたワゴン車から洋服は強奪されました。その後…。愛以上のモノを求めて、彼女達は東京中のブティックを荒らし回った!カワイクて、オカシクて、ちょっぴりカナシイ。著者初の書き下ろし、現代少女の必読小説。
「私は両性具有なのかしら…。」家元夫人桜子が、自からの性の不思議さに気付いたのは、いつからだったか。確かにクリットが親指の第1関節部分ほどの大きさになって、男性の機能としても使用出来そうだ。古代インドにその源を発する両性具有者=ヒジュラの秘密組織は、彼女の運命を予想もしない方向へと導く。