1988年7月発売
17歳の春。蝶子は聖園学院高校の2年生に転入学した。つらい初恋を忘れるために。そして、夏。長崎を旅して、蝶子はふたつ年下の男の子達に心ひかれていく…。やがて、秋、冬とめぐる季節の中で、恋を知り、恋に傷つき、でもその悲しみに負けないで、少しずつ大人になっていく少女の一年。
世の中、なんて不公平なんだろう。親友の亜理沙は、スポーツ万能、成績抜群、おまけにきれいで、取り柄のかたまりみたい子なのに。そんな子の友達でいられるのが不思議なくらいに、何をやってもダメなあたし。けどね、ちょっとキザっちい森野君と出会ってから、あたしも、少しずつ変わってきたような気がするんだ…。あーあ、森野君と亜理沙が“仲のいい幼なじみ”じゃなきゃいいのになぁ。
広子は22歳、一流不動産商社に勤めるOL。叔父の喜三郎から見合い話を一方的に押しつけられ、広子はなんとなくその気になった。本当は社内のエリート社員・武田に胸をときめかしているのだが…。見合い相手の健二は、CMプロデューサーというが、さえない男だった。見合いの席での喜三郎の行動にも腹をたてた広子は、早々と席をたった。ところが、その直後にふたりは街で再会した。
新婚旅行中の新妻が消えた!巧妙に仕掛けられたトリックの背後に隠された驚くべき事実とは…。時代を象徴する最先端の犯罪には、凡庸な想像力を超えた巧妙なプログラムが仕組まれている。「ロス事件」の謎を追い、新しい犯罪時代に大胆に挑む会心の推理長篇。
あかりも中学1年生になった。とうさんも絵本作家としての活動を続け、個性的なライバルたちに刺激を受ける毎日だ。あかりの今の悩みと言えば、本の置き場がなくなってきた狭くるしい家と、とうさんと山名さんとの宙ぶらりんの恋の行方ー。思春期を迎えた多感な少女と父との、ちょっぴり変っているけれど魅力的な二人暮しを、やわらかな筆致で綴った、『優しさごっこ』の続編。
人口わずか十七人、南西諸島の絶海の孤島をリゾート化すべく、観光会社の青年が島に赴任してきた。前任者が死を遂げたこの島で、彼はいつしか島の女タカ子の魅力に引き込まれて行く。彼が忌ましい島の秘密に気づいた時、年に一度の祭が幕を開けた…。古代からの因習と共同体の掟に縛られた亜熱帯の離島を舞台に、人間存在の秘められた深淵を浮かび上がらせる恐怖と衝撃の長編。
日本で働き、そして死んでいった一人の外人娼婦。華やかなライトを浴びる歌手の後ろのコーラス・ガール。ツアーを支える裏方スタッフ。皆が遊びに来るリゾートランドのホテルで働くおかあさん。北海道で生れ、育ち、これからも北海道で暮す女、酒場の女ー。中島みゆきが街で、仕事場で、旅先で出逢った六人の魅力的な女たち。それぞれの人生を鮮やかに描く、初の書き下ろし小説。
死の影に脅える少女が、心臓手術を決意するまでを描く「燕の駅」。毎日曜日、1日だけの家出を繰り返す少年を通し、現代の子どもの孤独に迫る「日曜日の反逆」。教室の退廃に中学生たちの眼が鋭く注がれる「友」。そして、4歳の男の子の目に映る様様な人生の断片を描く表題作「子どもの隣り」。現代に生きる子どもたちが持つ孤独と不安を、しなやかに映し出した四つの宝石のような物語。
アメリカ空軍の誇る早期空中警戒管制機AWACSがソ連によって強奪された。西側への亡命を望むKGB第1管理本部長ポーヴィンの支援を得て、CIAの工作員は奪われた機体を破壊すべくただちにシベリアへ向かう。だが厳重な警戒網に彼らは1人、また1人と倒れ、ポーヴィンにもKGBの手が…。ハイテク兵器をめぐる熾烈な戦いをスリリングに描くスパイ・アクション。
愛らしい笑顔でTVドラマ・CFに引張りだこのスター犬ジェリーロール。その飼主アーティは愛犬の稼ぐギャラで、優雅な生活を送っていた。しかし、別れた恋人ビリーが殺されて彼の生活は一変した。死ぬ間際、ビリーがアーティに残したネガフィルムに写されている人物たちは一体、何者なのか。そして、ビリーは誰にどうして殺されたのか。アーティは単身、事件の謎を追い始める。
家庭生活の光と影のあわいを描いた初期の「結婚」から、母の死を看取った単行本未収録の「愁月記」等最新作まで、著者の肉親や身辺に題材を取った名作23篇。
原稿もなければメモの類もない。資料もまったく見当たらない。-政情不安定な中米の小国ロス・イノセンテスをネタに特種をものにできそうだと興奮していた著名なジャーナリストが突然自殺を遂げたのも奇妙だったが、その部屋も異様だった。死んだアダム・ストリーターと契約をしていたバナー保険会社に依頼され、ブランドステッターは故人の周囲を調べ始めた。やがて、アダムの助手が何者かに射殺され、彼に協力していたパイロットが謎めいた墜落死を遂げるに及び、事件は底知れぬ深さを見せ始めた。ハードボイルド界に独自の地歩を占める著者が、緊迫する中米情勢を背景に、ブランドステッターの命がけの調査行を描く第8弾。
アップル・グリーンに輝く流線形の車体に高性能の陽電子頭脳を搭載した完全自動制御の夢の車、それが“サリー”だ。ところが、そのサリーを盗みだそうとする、とんでもない男が現われた!-表題作はじめ偉大な科学者ジョーンズ博士が発明した惚れ薬が巻き起こす、若い恋人たちの悲喜劇をユーモラスに描く「当世風の魔法使い」見るからに醜悪な異星人に襲われる美女という、パルプ雑誌でおなじみのパターンを逆手にとって、アシモフ流にアレンジした「この愛と呼ばれるものはなにか」など、巨匠がさまざまな技法を駆使して紡ぎだすヴァラエティ豊かな傑作短篇15篇を収録。
超人的な戦闘能力を持つブラックカラーとなるために必要不可欠な秘薬ーバックラッシュ。この秘薬を一定のパターンで服用した者はその神経系が永久的に変化し、戦闘時における運動速度や神経の反射速度が倍加されるのだ。しかし、この恐るべき秘薬の製造法は、ライクリル星系軍の手におちることを恐れた地球民主帝国の手によってすべて破棄されてしまったと考えられてきた、いままでは…。だがその処方が地球のアイギス山岳要塞の奥深く隠されているとの情報を得たケインは、ブラックカラー軍団とともに、警戒厳重なライクリル星系軍占領下の地球へと潜入するが…。
烈風が吹きすさぶ荒れ果てた砂漠を、スネークはさまよっていた。彼女の職業は〈治療師〉。蛇の毒素から抗体をつくって、病人を癒す者。だが今のスネークには、その資格はなかった。治療のために必要な三匹の蛇のうち、スネーク自身がつくりあげた“夢の蛇”が殺されてしまったのだ。かくしてスネークは、新たなる夢の蛇を手に入れるべく、核戦争の爪跡も消えやらぬ荒野に旅立つが、その行手には何者かの邪悪な影がちらつき、旅を妨害するのだった!ル・グィン、ティプトリーと並び称される閨秀作家が流麗なタッチで描き、ヒューゴー、ネビュラ両賞受賞に輝いた傑作SF。
娘のリズからの突然の電話。どうやら何かやっかい事に巻き込まれたらしい。母親のマーサは娘の窮状を救うため、はるばるニューヨークからサン・フランシスコへとやって来た。だが、リズの姿はどこにも見あたらない。娘の身にいったい何が起きたのか。不安を胸に娘を捜すマーサの前に一人の中国人が現われた。名をロングというこの初老の男、実は自分は太古の龍の化身だと言うのだが…。〈魔法の歌〉三部作で知られるマカヴォイが、奇妙な初老のカップルをシャレた会話とユーモアあふれる筆致でほのぼのと描いたモダン・ファンタジイの秀作。J・キャンベル新人賞受賞。
21世紀末。弱小な外惑星連合はついに地球に宣戦を布告。同時に連合軍の奇襲攻撃が始まった。そしていま、火星の有人加速鉄道M-RR-19も連合軍の攻撃を受けつつあった。鉄道を愛する陽気な航空宇宙軍パイロットの決死の反撃を描いて87年の星雲賞に輝いた表題作ほか、不運な元航宙艦艦長が、タイタンの濃密な大気の中を飛ぶパイロットとして再生する「タイタン航空隊」、大敗北を喫した護衛艦隊の中でただ一艦、孤独な戦いに臨む特設砲艦の姿を描く「土砂降り戦隊」など、太陽系各所に展開する外惑星動乱時の航空宇宙軍の熾烈な戦い7篇を収録。