1988年9月発売
夏の全国高校野球大学決勝戦。兵庫の阪神学園と静岡の静光高校の一戦が接戦の末、劇的な幕切れをむかえようとした時、ネット裏で観戦していた一人の女性が急死する。5万人の大観衆のなかで誰が?スコア・ブックのなかに重大な謎が…。表題作の本格野球ミステリーの他、“現代の死角”に挑んだミステリー5篇を収録。
新宿・歌舞伎町にあるポルノの殿堂「ラブ・マシーン」。そのルポを依頼された美人ライター麻沙美は、バニーガールとして潜入する。折しも、取材の帰途、「ラブ・マシーン」の幹部が殺害される現場を目撃する。ひと月前にも幹部が箱根で交通事故死しており、相次ぐ不審死に麻沙美はその謎に迫るが…。
戦乱に明け暮れる日本に、2人の異邦人ー鉄砲商人と宣教師ーが、期待と不安で胸をふくらませながら上陸した。この2人を気前よく雇った男がいた。尾張の若き領主、織田信長である。己が命と夢を託した信長は、桶狭間、三方ケ原、長篠…と、血みどろの戦いを続けながら、自らの壮大な夢を追っていた。信長とその時代を、かつてないスケールで甦らせた異色時代長篇。
どんな激戦に臨んでもいつも生きて還ってくるために、臆病者とさえ誤解されながら、なおも生きつづける兵庫源八郎。その細心にして豪胆な戦いぶりに託して、“玉砕”と叫ばれていた太平洋戦争末期に作者の信ずるところを強く打ち出した。〈日本士道記〉シリーズの表題作。かけ遺った恋に衝撃を受けつつも、剣の道を貫く「藤次郎の恋」。ほかに「立春なみだ橋」「豪傑ばやり」など全12編。
腕は抜群だが星まわりの悪いチャーリーは、ついに、国家への反逆者として懲役14年の刑を宣告されるはめとなった。囚人仲間にいびられながら鬱々として刑務所暮らしに耐えるチャーリー。そこへ英国情報部の工作員サンプソンが投獄されてきた。彼はある日、チャーリーに驚くべき計画をうち明けた…。またもやチャーリーの孤独な闘いが始まる。果たして生きのびることは出来るか?
全長10キロの巨大宇宙船が、モハーベ砂漠に不時着した。乗客は26万人の異星人。だが彼らは、より高次の種族によって人為的に創造されたブルーカラー層だった。燃料切れで帰還もままならぬ彼らは、地球人社会で生活しはじめる。3年後ーロサンゼルスの異星人地区で強盗殺人事件が発生。同僚を殺されたロス市警の刑事サイクスは、初の異星人刑事とコンビを組み、捜査を開始した。近未来のロサンゼルスを舞台に、人間と異星人の刑事コンビが活躍するSFアクション。
海水浴客でごった返す南仏の避暑地カシス。ヌーディスト村やカジノで賑うこの小さな街で、3件の連続殺人事件が発生した。照りつける太陽の下、捜査の指揮をとるのは28歳の女性警視ミュリエル。彼女に思いをよせる医学生ピエール、被害者の共通の愛人だったソランジュらの協力で、事件は解決するかと思われたが…太陽と海の香りに満ちた本格ミステリー。フランス推理小説大賞受賞作。
都心のビル屋上から発見された男の他殺死体。その日偶然聞いた奇妙な電話、誘いに乗って出かけたラブ・ホテルには女の絞殺死体…。大手建設会社専務味岡に仕掛けた罠の奥で北叟笑む人は誰れ?土木建設業界の談合、フィクサー政界との癒着。
弁護士のサイモンは、友人の家で催されたパーティーの帰り、1人の女性ロウズを送らなければならなくなる。その道々、ロウズは自分の現状をサイモンに訴え、助言を求める。ロウズは離婚して3人の子供とつましく暮していたが、最近、前夫からロウズが子供の養育に不向きだという理由で、子供を自分の手元で育てる訴えが裁判所に提出されていた。お嬢さん育ちのロウズは、前夫の真意がつかめず、途方にくれていた。やがてサイモンとロウズの間に連帯感に似たほのかな愛が芽生えるが…。古風ともみえる伝統的な手法で描く女の人生。
酒場での乱闘、夫婦喧嘩の挙句の発砲騒ぎ、窈盗…、テキサス州ブラックリン郡の治安をあずかるダン・ローズ保安官がふだん扱う事件といえば、この程度のものだ。だが、今度の事件はいささか様子が違っていた。美しい若妻が、夜勤の夫の不在中に何者かに殴り殺されたのだ。小さい町のこと、ローズは知恵遅れの男が被害者の血を衣服に付けてうろついているのをすぐに発見し、容疑者として拘留した。ところが、事件は思わぬ展開を見せた。保安官選挙を控え、部下と娘の恋の成行を案じながら、彼は田舎町を揺がす事件の解明に奔走する。が、その先に哀しい終幕が待っていようとは、彼には知る由もなかった。テキサスの大地が生んだ人情家の新ヒーロー、ダン・ローズ登場。アンソニー賞新人賞受賞作。