1988年発売
探偵社の若き女調査員アンナは、人気絶頂のロック歌手、ショーナ・ユーナの身辺警護をすることになった。ショーナの家のまわりをうろつく不審な男、うるさくつまきまとう昔のバンド仲間の麻薬中毒者、脅迫状など、気がかりなことはたくさんあったが、ショーナの取り巻きは排他的だし、他の警備会社の警備員たちの協力もまったく得られなかった。そして不穏な空気の票うなかで始まったコンサート・ツアーの初日、ショーナの愛猫が惨殺された…麻薬とセックスづけのロック・ミュージシャンの世界にアンナが見た悲しい事件を描くシリーズ第2弾!
ヴァレリー・ソマーズ、10歳になったばかりの可愛いブロンドの少女。8カ月前母親のミシェルとイタリアへ旅行したとき、ポンペイの遺跡でとつぜん消えてしまった。行方知れずだった少女がついに見つかった-何者かがソマーズ家に郵送してきた《ニンフェット》という雑誌の中で。アムステルダムで出版されている子供ポルノの雑誌で、見るもおぞましい恰好のヴァレリーの写真が載っていた。私立探偵フランク・デナルドは、憔悴しきった母親ミシェルの依頼をうけ、悪魔のような連中の手から何とかしても少女を生きたまま連れもどすべく、敢然とヨーロッパへ飛び立った。手に汗にぎるスピーディな展開とヒューマンタッチで描く、社会派アクション・ハードボイルド!
カムチャツカ半島北方のカバツニャに、ソ連のレーザー基地が設置された。その怖るべき威力により、アメリカの偵察機RC-135と偵察衛星、さらに新型大陸間弾道ミサイルが一瞬のうちに消滅した。脅威を感じたアメリカは国連安全保障理事会を召集、ソ連の行為を非難してレーザー基地の封鎖を図る。だが、その試みは失敗した。そんな折り、ネバダ州の空軍基地から飛び立った一機の爆撃機があった。B-52“オールド・ドッグ”-B-52Hを全面改装して最新電子機器と強力なミサイルを搭載、レーダー波を吸収する金属で覆ったステルス爆撃機である。卓越した技術と不屈の魂を持つレーダー航法士のマクラナハン大尉、その相棒の航法士ルーガー中尉、重傷を負いつつも操縦輪を握り続けるエリオット将軍、副操縦士のオーマック中佐、そして二人の女性、電子戦オペレーターのウェンディと銃手のアンジェリーナ。彼ら六名の搭乗員が、死力を尽くして息づまる航空戦を展開する。元航法士が最新情報を駆使して描く軍事スリラーの超話題作。
時間泥棒社-和歌月北斗の仕事場には、小さなプレートが下げてある。記憶を消すのが彼の商売である。霊魂の憑依によって、脳裡を支配していた意識を深層に閉じ込める。憑霊治療と呼ばれる闇の商売だ。「娘の失語症を治してほしい」倉地と名のる男が訪ねてきたとき、背後に胡散くさいものを感じた北斗だったが、治療をひきうけることにする。しかし、倉地に大金をまきあげられたパチプロ・松木が現われ、倉地は少女・木花咲耶を残し逃亡する。言葉を失った咲耶の過去に何があったのか!?神話の炎が、いま甦る!書下し長篇伝記アクション。
「僕は殺し屋になりたい。高校生という役割を演る(ロールプレイ)のはもうごめんだ」陽奥峯士は思った。三週間前、全てがロールプレイに過ぎないことに気付いてから、学校にいくのは止めた。担任がやって来るのも、母親がおろおろするのも、それぞれの人間の役割だからそうするだけ。現実とは、都市のすべてのエネルギと物質と情報を管理する、都市中枢制御体・クォードラムが与えてくれた虚像にすぎない。果せるかな、そんな峯士の願いは聞き入れられた…。発狂し壊れてく「未来都市」を描き出す、鮮烈サイバーシティ・ファンタジー!
女子高校生連続殺人事件が都内各所で頻発するある日、向陽学園高校ではミニ新入生コンテストが催された。1年生の朝生萌は女子プロ並みの肉体を誇る小暮小鈴といっしょに参加した。彼女たちのお目当ては泉麻沙樹、生徒会長で全女生徒憧れのプリンスだ。最初に誰を選んで彼がダンスを誘うか?時葉ヒカルはじめ美少女たちの目は、完全ハート型…妍を競っている最中、神秘的な美貌で人気のある仁科瞭子が血まみれの死体で発見され、同時に萌は瞭子の体にのり移る異常体験に見舞われた。その夜、闇の奥から“声”が、寝室から出るように萌を招き寄せた…!?書下し長篇コミック伝奇アクション。
バンコックで宝石商を営む元日本大使館員、津上啓助は商用で訪れたロンドンで殺人事件に巻き込まれた。タイに戻り、宝石の買い付けに行った北部国境地帯でも武装集団に襲われる。その頃、タイ国内での軍事政権打倒運動が起こっていた。この一連の事件の背後に巨大な罠が…。タイ、ビルマなど東南アジアを中心に、ロンドン、東京を結ぶ国際的スケールの謀略アクション巨篇。
2年来の世界的な異常気象による飢餓と貧困は死者300名を超える東京大暴動をもたらした。そんな不穏な状況下で、確実に信者を増やしている組織があった。〈コムレ協会〉である。巨人津荒羅の復活による世界の「立替え立直し」を説く協会の開祖・古牟礼マキは実質的な指導者・生島郷治を片腕に、太古の黄金時代「古牟礼御世」の再建を目指すのだが…。《復活篇》に続く近未来SF長篇、待望の第2弾。
松永丈太郎、かつて敏腕記者、今、しがない探偵。そんな彼に儲け話が舞いこんだ。依頼主は政界に絶大な力を持つ服部宗十郎、調査相手は大学生片瀬直人。楽な仕事と高を括っていたが、偶然、片瀬の凄じい武技を目撃、加えて服部の失脚を狙う現職総理の密命で、内閣調査室まで動きだしたー。1200年、連綿と続く服部一族の権力の秘密は何か?片瀬の正体は?一撃必殺の拳法が炸裂する超伝奇アクション。
長州征伐前夜の幕末の江戸。幕府典獄・石出帯刀らは、伝馬町大牢から獄門寸前の元大船頭本荘長太夫をひそかに破獄させた。長太夫に影のようにつき従う幕府お庭番。果たして帯刀らの狙いは何か?新興開港地横浜の異人館に逃れた長太夫らは、数万両の大金とともにシャンハイに向かった。博多商人、俳諧宗匠、遊び人と次々と姿を変えて謎を追う鞍馬天狗も、蒸気船であとを追うが…。痛快時代長篇。
鞍馬天狗の追及を逃れてシャンハイへと向かった本荘長太夫は、はじめて破獄の真相を知った。長州征伐のためシャンハイで軍艦を買付け、日本に回航させようと目論んだのだ。だが、この企みは失敗に終り、長太夫は奇兵隊隊士篠塚多七郎のつてで長州へと向かった。一方、鞍馬天狗も西郷隆盛の密命をうけ、京から長州戦争の真只中へ。ようやく巡り会った長太夫と天狗の巖流島の対決。痛快時代長篇完結篇。
俺は私立探偵のジョー・コップ。こいつは全くの偶然だが、もとは警官だ。聖人君子というわけにはいかないが、正義感もほどほどに持っている。ちょっと強もてもするし、ストリート・ファイトもまあ得意なほうだ。そんな俺のところへトラブルの匂いをプンプンさせた女が訪ねてきた。ところが、この女は俺の事務所を出たとたんに、轢かれちまった。-傑作〈死刑執行人シリーズ〉につづく待望の新シリーズ誕生。
冬の午後にさす一条の斜めの光-。大伽藍にひびく重厚なしらべのように光が胸をふたぐ。孤高の詩人エミリー・ディキンスンをモデルにデュラスがつづる、愛することと書くこと、そしてしのびよる死をめぐる物語。最愛の息子への“遺書”とも思えるデュラスの最新ロマン。
本書は映画「ビバ・ラ・ビ」をノベライズしたものである。「ビバ・ラ・ビ」はひとつのミステリーであり、夢である。「ビバ・ラ・ビ」のスペースは晩秋から冬にかけてのパリとその郊外、タイムは私たちの生きている今…。スペースとタイムの設定はあくまで日常の域-しかし、この作品全体の印象はきわめて夢幻的だ。
松井滝彦はフリーのカメラマンである。カメラの仕事をしていると、彼には何かが憑くという感覚にしばしば襲われることがあった。取材先で出会う超自然現象に、現実ともつかない夢ともつかない幽界を漂うことがある。特に、怨念に満ちた過去の男たちと女たちのどろどろした愛欲シーンを垣間見たり、あるいは彼自身が、現実の女か亡霊かもわからないまま、その女との愛欲に取り憑かれ、おぼれてしまうのだった…。ファインダーから覗く異形の世界を余すところなく描く、官能ミステリー。
東京・新宿の超高層ビルに謎の組織「至福教団」が出現して以来、都内で異常な事件が続発した。通り魔殺人、ポルターガイスト、さらには、突然身体が人肉花火のように爆発する超カマイタチ…街は恐怖に怯え、猟奇の世界と化した。果たして、この怪奇現象は至福教団の仕業なのか?そして教団の教義〈土竜の心臓〉とは?教団の正体を暴くため、陸自中央調査隊・陣内と内調・氷室の切れ者二人が手を組んだが…。スーパー猟奇アクション。
純白のドレスに、真っ赤なしみがついた。観客が騒ぎだした。オペラの舞台上で、本物の殺人を目撃した孔雀警視は、そのまま怪事件の渦中へ!謎の館に幽閉され、全裸で縛りあげられて、鞭とローソクで…。つぎつぎ起こる奇怪な殺人、そして若き人形師への恋の予感!恋と事件が大好きな、おなじみ笙子の大冒険、第13弾。
丸の内銀行、東京駅前支店に大変な美人がいる。中上川良子、銀行の創業者中上川弥太介翁の孫娘である。一般行員にはアンタッチャブルのこのお嬢様がなんと、関東ではもはやただ一つの賭場を取り仕切る二代目賭博師であった!美人賭博師が男たちをしり目に、次々と起こる難問題に立ち向かう好評“博徒シリーズ”第2弾。