1989年10月発売
なんと美しい娘だー元ピアニストのローアルは、偶然見つけた一世紀前の写真の女を愛してしまった。彼女はなんという名前で、どんな生活をしていたのか?人里離れた山荘でひとり妄想をつのらせていく彼の前に、ある日写真と瓜ふたつの女が現れる。…人間心理の深淵を描いて並ぶ者のないB・M・ギルが、宿命の愛に溺れていく男の姿を描く心理スリラー。
黄金で造られたという名車、イスパノ・スイザ。舞姫ら、’20年代の上海を遊び尽した“選ばれたる冒険者”たちの象徴。この秘宝を巡って、東京、バルセロナ、パリ、香港、上海と、激しく渦巻く陰謀の数々…。書下し長篇国際冒険小説。
警視庁捜査一課の大谷努警部は、非番の今日、シックな3つ揃いでピタリときめて、部下兼恋人の愛くるしい香月弓江刑事と楽しんでいるホテルのロビーへ現われたのが、彼の唯一苦手の母親である。「努ちゃん、今日はお見合よ」と有無をいわせずラウンジへ。相手は杉山涼子という18歳の可愛い娘だった。息子に好意を持つ女性はみなライバルと敵視するママは、庭園を散歩する2人の後を尾けてゆく。と、突然、2人の男が涼子を襲った…。弓江も駆けつけてトリオの大活躍が始まる。「命がけのライバル」他4篇を収録。
いつの日か、常温超伝導は可能になる。自動車の歴史にまったく新しい一ページが書き加えられる可能性が見えて来た。騒音と排気を出さず、地球の環境を破壊しない電気自動車の可能性が…。超伝導現象に注目したダイハツは、独自のプロジェクトチームを組織し、超伝導蓄電池を積んだ電気自動車の開発にあたっていた。折しも開催された全行程一万八千キロ、スペシャルステージ二千キロのパリ-北京ラリー。人類と地球を愛する人々の夢は、技術の壁を突き破れるのか…。長篇カーノベル。
正義感と人情に溢れる熱血どてらい刑事・犬伏大太。故あって警察を辞め、今は気楽なフリーターだ。特異な“小便健康法”で体調もすこぶる良い。ある日、彼の住んでいるマンションの隣人・高村雲之進の依頼で、家出娘を捜すことになった。雲之進は、よく当ると評判の占師。家出人や落し物の行方を占っている。彼の占いを証明するため、大太が実地調査にのりだしたのだ。相棒は雲之進の孫娘・亜美。おっさんくさい大太を、初めは毛嫌いする亜美だったが、コンビを組むうちに…心あたたまるペーソスの世界。
タロット占いの名手・二階堂日美子の友人・京子が、柳島ロミを連れて日美子を訪れた。ロミが信仰する〈日本精霊教〉教祖の戸田芳香が不吉な予言をしているというのだ。日美子の占いでも同じ結果が出てしまった。その数日後、ロミが失踪し、日美子は名古屋の精霊教本部に教祖を訪ねるが、何ら手がかりは得られなかった。が、ロミから京子に宛てて助けを求める手紙が…。タロット日美子シリーズ、書下し長篇。
〈私〉には、奇妙な依頼がお似合いのようだ。マイケル・キスカドンという若者が、父親の自殺の動機を調べてほしいという。35年前の自殺を。だが、父親の名前を聞いて、にわかに興味が湧いてきた。パルプ・マガジンの大御所的作家ハーモン・クレイン、その人だったのだ。しかし、調査の結果でてきたのは、自殺と縁遠い作家の実像と、身元不明の“骨”だけだった…。“名無しの探偵”シリーズ待望の最新作。
エロスにはじまり死に終わる生の根源を幻想的光景のなかに鮮烈に描きだすマンディアルグ文学の極致。淫らで猥雑な行為も妖しい官能、高度のエロティシズムとして昇華する。孤高の作家マンディアルグのエロティシズム小説集。
『一握の砂』をかかえて、青春は北へ旅立った。苦汁にみちた炭鉱での少年期、そして上京後の挫折を記憶に甦らせながら…。石川啄木の軌跡に現代の青春を重ね、透明な詩情と緊密な思索が交響する青春文学の不滅の名作。
連合赤軍事件(1972)-かつて全国の学園を席券した全共闘時代の末期、ある驚くべき事件が起こった。あれから十数年、青春の熱はさめ世紀末と呼ばれる時代に、新たな銃声が響く…。セスジも凍る、オモシロ恐怖のワンダーランド。
連合赤軍事件(1972)-かつて全国の学園を席券した全共闘時代の末期、ある驚くべき事件が起こった。あれから十数年、青春の熱はさめ世紀末と呼ばれる時代に、新たな銃声が響く…。セスジも凍る、オモシロ恐怖のワンダーランド。
中国人船員・陳を射殺した日笠耕介が留置場内で自殺した。事件は犯人死亡により一応の終息をみる。だが、東西新聞の戸部新太は日笠自殺と陳殺害の真相を探り、暗黒の麻薬密輸組織の実態を掴んだ。一方、警察も極秘捜査を進め、組織の潰滅を行なおうとするが、日笠の関係者が次々と殺され、その魔手は戸部にも向けられた。迫りくる敵の罠をかい潜り、戸部が桃んだ黒幕の正体とはー?長篇ハードサスペンス。
十七人の剣客により結成された新選組。将軍家警護を旗印に、日々尊王攘夷を叫ぶ浪士の首を狙って京の街を奔走していた。密使を疾らせ尊攘浪士の動向を追う一方、新選組内部では土方歳三、沖田総司らが対立関係にあった芹沢鴨一派の動きをも探る。倒幕のため着々と準備を進める尊攘浪士の動向と内部での分裂。情報が錯綜するなか、浪士決起の会合を池田屋でもつことを察知した土方ら精鋭は池田屋への道をひた走る。
神奈川県警二階堂警部とともに、“奥の細道3百年”で沸くみちのく温泉旅行を計画していた日美子に友人梅枝葉が訪れた。葉の娘真理の旅の安全を占ってほしいという。真里もまた〈サンタ芭蕉〉の企画でサンタの一人に当選し、東北旅行を予定していた。東北の知人へのプレゼントを配達するこの〈サンタ芭蕉〉の旅を日美子はタロットで占ったが、カードは非情にも不幸を予言!あえて旅に出た真里を襲う魔の手。さらに芭蕉の足跡をたどる〈サンタ芭蕉〉のメンバーが次々と殺されて…。二階堂警部の必死の追跡がはじまる。名作『奥の細道殺人事件』を凌ぐ著者会心の書下ろし長編推理。
MM重工研究開発2課に所属し、人工知能ロボットの開発を手がける末永拓也は、将来を嘱望され、オーナーの末娘、仁科星子の婿養子候補に挙げられていた。だが、その陰では恋人、雨宮康子の妊娠に困惑していた。そんな矢先、拓也は同僚の橋本と共に、星子の腹違いの兄、直樹から、康子にたいする共同殺人計画を打ち明けられる。康子はこの三人と同時に関係を持っていたのだった。大阪ー名古屋ー東京を結ぶ完全犯罪殺人リレーは、計画どおり進行していったが…衝撃!死体は何と…。さらに、第二の殺人、拓也も何者かに狙われる。乱歩賞作家の偉才が、新手法“倒叙推理”に挑戦。主人公の屈折した心理を描いた堂々の書下ろし長編推理の傑作。
東大医学部のうす暗い標本室に並ぶ、首もなく、手足もなく、刺青をした胴体だけの塑像。不気味な色彩で浮かびあがる妖術師「大蛇丸」。この一枚の人皮から、醜くも、恐ろしい惨劇が始まった。密室殺人と、怪しく耽美な世界に挑む、名探偵・神津恭介。戦後、本格推理小説の礎となった、高木彬光の処女長編、ここに登場。