1989年10月発売
ー米大統領アンダーウッドはTVの元ニュースアンカーマン。ファーストレディは元ミス・アメリカ。一見、夢のようなカップルだが、私生活は冷えきっていた。そこへアジアの島国ランパンから若く美しい未亡人大統領が経済援助を求めて訪米。初対面でアクダーウッドは彼女に一目ぼれした。だが、それをマスコミに嗅ぎつけられ…。-大統領同士のラブロマンスと国際的な謀略。小説の名手がホワイトハウスの内幕を描いた痛快ノベル。
世界中に存在するあらゆる国境のなかで、アメリカ合衆国とメキシコとの境界を画すボーダー地帯ほど「熱い」国境はない。国家を国境線で区切ってゆくような思考法は、もはや現実に起こっている現象を上手につかまえることができなくなった。本書は、世界がそうした新しい移動の論理を含み込んだ社会システムの発見へ向けて脱皮しようとしているときに、その流れの先頭に立って私たちを先導しようとしている。
ここはホテルの会議場。トレーシーは新聞関係者の集まりで顧客を探していた。彼女の仕事は能率技師。整理整頓の方法を指導し、オフィスの環境を整えるのだ。そんな彼女に1人の男が声をかけてきた。チャンス到来。またもや混乱を極めたオフィスを救ってほしいというに違いない。張りきる彼女に、男は難題を出してきた。オフィスだけでなく、ベットルームのクロセットまで整理しろですって?とまどう彼女に、男は片眉を上げて微笑んだ。
女優のメリル・ストリープにそっくりな女性だって?ぼくが39歳の独身だからといって勝手なお膳立てはやめてほしいな。ライランはパーティーの場をひとり離れ、車に戻った。と、向こうからトラックが突っこんでくるではないか!すんでのところで止まった運転席から現れたのは、白いブーツとフリンジ付きのスカート…。これが噂のメリル・ストリープか。ライの目は赤毛の美女に釘づけになった。
社交界にデビューしたての妹のナネッタはどうやら恋をしているらしい。相手は全目当てで女に近づくという評判の悪い男。妹を守るにはどうしたらいいのだろう?プルネラは思い悩んだ末、亡き父の知り合いだったウィンスロー伯爵を訪ね、力を貸してほしいと頼んだ。ところが彼は、長い田舎暮らしで、恋も知らずにきたプルネラをさんざんばかにし、ナネッタの肩をもとうとするのだ。
父親の急死で、ひとりぼっちになってしまった貧しい小作人の娘アンジェラは、土地の富豪ジェイコフ・メイトランドにひきとられた。南北戦争が終わったばかりの南部、アラバマ。アンジェラ17歳の春だった。彼女はメイトランドの長男ブラッドフォードに、深くあてのない想いを寄せていた。ところが、心ときめかせるアンジェラを待ち受けていたのは、ジェイコフの愛人という口さがない噂と、ブラッドフォードの不在だった。
ニューヨークを舞台に、華やかな作詞家の道を歩んでいた23歳のホリスは、今や傷心の極みにあった。夫は有名なポップスシンガー、その彼が女優との仲を噂され、あげくに謎の自殺を遂げたのだ。心ないマスコミの取材から身を隠すようにしてロングアイランドの知人の別荘に身を寄せたホリスはここでも心休まる時は持てなかった。使用人たちの冷たい態度、かたときもホリスから目を離そうとしない庭師のピートのことなど、ホリスは混乱していくのだった。そんな心の傷を慰めるかのように近づく男がいた。植物学者、アランだ。
ルポライターの村瀬浩一が六本木のラブ・ホテルで殺害された。隣室にいた親友のTVディレクター伊沢亮は、けたたましくドアを開けて飛び出した全裸の女と剃髪頭の男を目撃した。村瀬はなぜ殺されたのか…?伊沢はその謎の犯人を追う。だが、何者かに襲われ、気がついたときには彼の横に女の絞殺死体が横たわっていた。村瀬殺害の犯人を追いながら、自らも殺人犯として追われる身となってはもはや警察の助けは求められない。伊沢は、ついに恐るべき事実に突き当たった。暴力団幹部二人を自由に操る組長情婦とその裏で糸を引く利権屋、そして、その陰には悪徳代議士が…。-金と女に狂奔する残忍なサディストたち、単身挑戦する伊沢の前に意外な結末が。
「なぜ海部なのか?」派閥論理に破れた若手議員は、海部総理誕生の瞬間、無力感に打ちひしがれた。かたや橋本龍太郎を、かたや羽田孜を担ぎ奔走したものの、結局は老獪な長老たちに利用されただけだったのだ。「大臣なんかやる気はない。でも。総理大臣は別だ」と河野洋平は言う。一方、安倍晋太郎を脅かす渡辺美智雄は着々と足場を固めている…。はたして海部以後の権力者は誰か?次を狙う永田町の野心家たちを描くドキュメンタリー・ノベル。
柴木俊子はすでに26歳、売れない女優だったが、幸運はある日突然やってきた。テレビドラマでの演技が、映画界の巨匠・神保監督の目に止まったのである。が、出演のため、京都太秦に赴いた俊子を待っていたのは、凄惨な放火殺人であった。元大女優の付き人であり、今は歯科医の妻である道代が殺されたのを契機に、俊子は、14年前に起こったあるスキャンダルに巻き込まれていった…。数奇な運命を辿る大女優と新進女優の葛藤を描く岬の女シリーズ第2弾。
1917年4月、ロシア革命の動乱下、トボリスクに幽閉された皇帝ニコライ2世を救出し、“シベリア国家”を樹立すべく日英共同の作戦が立案される。この作戦の打ち合わせのため英国情報部からサマセット・モームが来日。参謀本部第1部長宇垣一成は、日本側の救出隊の隊長に、ハルビン特務機関員でロシア語に堪能な志摩薩之介中尉を選ぶ。そして、この救出隊は姫路の“陸軍懲治隊”の者で編成することを志摩に命じる。“陸軍懲治隊”とは、不良卒ばかりを集めた最低にして最強の囚人部隊である。2カ月の猛訓練の後、志摩を隊長とする1行8名は極寒のシベリアへ…。第5回サントリーミステリー大賞・読者賞のダブル受賞の気鋭が放つ渾身の長編歴史ロマン。
日本赤十字社の社員として大陸に渡った志摩たち救出隊は、オムスク駅で日本大使館補芦田均の出迎えを受け、英国側と作戦を練り直すため、モスクワに向かう。ペトログラードでは、レーニンによって指揮されたボルシェビキが武装峰起、臨時政府を倒して政権を掌握した。一方、元秘密警察の調査部次長ワシリー・イワノフは、甥のゲンリヒ・ヤーダとともに怪僧ラスプーチンが秘匿したというロマノフ王朝の厖大な財宝を手に入れるべく、皇帝一家が幽閉されているトボリスクへ…。果たしてニコライ2世救出は成るか?財宝は誰の手に!シベリアを舞台に息づく間もなく展開する救出行!第5回サントリーミステリー大賞・読者賞のダブル受賞の気鋭が放つ本年度最高の話題作。
東京で女子大生が誘拐された。父親のもとへ届いた犯人から手紙には、芭蕉の俳句が書かれているだけだった。仙台在住の郷土史家・実相寺禅堂と助手の貝原佐緒里が、謎の解明にのり出す。「奥の細道」ゆかりの地を訪ね歩いているうちに、事件の意外な真相が明らかになって…。須賀川-登米-鳴子…「奥の細道」ゆかりの地を舞台に展開する、長編トラベル・ミステリー。
日本の領空を侵犯したソ連の軍用機を、スクランブル発進した自衛隊機が撃堕した。航空自衛隊始まって以来の重大事件の発生に、防衛庁幹部、政府首脳はパニック状態に陥る。おりしも、陸上自衛隊にクーデターの動きが-圧倒的な迫力で読者を魅了する、近未来クライシスノベル。