1989年11月1日発売
数奇なる運命を辿った父、バーナードと日本人の妻、ケイの長男として京都に生まれた工学者タローが、波乱万丈の人生の中で垣間見た様々な人間模様、心象風景を、時には暖かな目で、時には痛烈な批評を加えて展開する異色のノンフィクション小説。
冴木隆の父親・涼介は、女に弱く、頼りがいゼロの私立探偵。そんな涼介に、モンローばりのグラマー美女ジョーンから来日中の必殺調毒師タスクを捜して欲しいとの依頼があった。ところが何を血迷ったのか、ジョーンは涼介にタスク特製の48時間後に効く毒をみまってくれた!!中和できるのはタスクが持っている解毒剤だけ。絶体絶命、どうする隆…。ドタバタ親子が繰り広げる、笑いとスリルいっぱいの探偵物語。
経済危機と反政府運動に揺れるパナマで、住菱商事の支店長が誘拐され身代金四百万ドルを要求された。統幕別室から離れた鬼道組はこの事件に当たりパナマへ潜入。実態を追う連城たち精鋭は背後に潜むCIAと魔王の兵士・ノーマンの陰謀を掴み、支店長救出のため密林深く追撃する。
菅原道真の二十五代目で元侍従頭、現在は日本橋にある銭湯の主人・唐橋在家、通称杏之介は、光格天皇の政事に関わる重大な密勅を受けて、東海道を京都へと向かっていた。公家の慣習を嫌い改革を進めた杏之介が半ば追放という形で京を離れて以来の道中であった。だが、杏之介の存在に末だに嫌悪を抱く異母弟の陰謀により、道行き刺客に狙われる。執拗に迫る刃に立ち向かい、殪した杏之介が旅の果てに見るものは…。
店の金を持ち逃げした銀座のホステスを追って、鹿児島へ飛んだ取立て屋。やっと見つけた女は、取立て屋をネグリジェ姿のまま迎えた。男はホステスの色仕掛けを甘んじて受け、その夜にもう一度集金に来ることを約束した。ところが、男を部屋で待っていたのは!男女の性と暴力をテーマに、官能とサスペンスで描く傑作集。
髑髏月の精を受けた代議士・八岐忠義は、謎のホステス・比良坂いずみと妖艶な一夜を過ごした。それを知った権堂幹事長は、突然、八岐の政治生命を絶とうと謀る。汚辱にまみれ、闇の主・堕導師の許を訪れた八岐は、暗黒のパワーを手に入れ、権堂に立ち向かった。政界の背後に蠢く魑魅魍魎の世界を描く大伝奇ロマン。
王道の武術を志す宗近恭平。前編〈疾風編〉の北海道から舞台は転じ、より雄大の地・中国へ。統一前夜の大陸で、待ち受けるは試錬の罠、必殺の双竜刀、牙剥く匪賊、妖麗の美姫。一難去ればまた新たなる強敵が!新興教主、満州浪人、愛弟子次郎らをまじえ、求めざる闘いに巻きこまれつつ、磨かれる武技、悲願はなるか往け恭平。
源平の昔、今より、八百年以上も前に、本邦随一の美貌の女武者が存在した。この本は、正室の座よりも愛一筋に生きようと共に戦場を駆けめぐった女性の、愛と武勇に生きた絢爛華麗な物語である。
江戸の町奴関根弥次郎は、旧主越後松平家の騒動の渦中に身を投じて、颯爽と正義の刃を揮う。彼をめぐって主家の娘照姫と、女剣士佐々木留伊が恋の騒け引きに鎬を削るが、その背後に陰謀の魔手が…。
悪人一味の手に落ちた照姫。それを案じる弥次郎の姿に、留伊は嫉妬の鬼となる。将軍家綱は病床に臥し大老酒井雅楽頭と老中堀田筑前との将軍継嗣争いに巻きこまれて、越後松平家の騒動は破滅の淵へ…
アラブ過激派に人質にされているアメリカ人27名の救出作戦。極秘裡に進行するこのトップシークレットが『ワシントン・ポスト』紙にかぎつけられる。記事にせぬよう圧力をかける大統領。「国民の知る権利」を主張する記者。そして、記者は謎の事故死を…。事件解明の過程で暴かれるホワイトハウスの陰謀!-ワシントンを舞台に、政治とメディアの中枢に生きる者たちの悲哀と葛藤を鋭くえぐったポリティカルフィクション秀作。
暗殺された両親の復讐を果たすベく、テロ組織“スカルペル”に身を投じたドルー。だが、ホメイニ暗殺作戦を遂行中、標的の中に自分の忌わしい過去を発見し、現場から逃走。そして6年…。戒律厳しいカルトジオ修道会の修道僧となり、祈りの日々を送るドルーのもとに刺客が…。僧院を脱出した元テロリストは、その日、再び血にめざめた。-映画「ランボー」の原作者が、好評『ブラック・プリンス』に続いて放つ長編冒険アクション。
イギリス植民地時代のスリランカ。コーヒー園主の娘アレックサは、射撃と乗馬が得意なお転婆娘に育っていた。男性の目を常に意識するような、しとやかなレディになどなりたくもないアレックサだが、18歳の誕生日は明日にせまっていた。誕生日には、総督邸で開かれるパーティで、社交界にデビューすることになっている。しかし、夜になって美しい月が輝きはじめると、持ち前の冒険心が顔を出し、こっそり海へと抜け出した。ニンフのように波とたわむれるアレックサだったが、つかのまの夢をやぶるようにあらわれた見知らぬ男に、生まれて初めて唇を奪われてしまった。
夫、ジョン卿の死をきっかけに、ひとりロンドンへと旅立ったアレックサ。目的はただひとつ、母と自分を捨てさった実の父、ニューベリー侯爵とその母、アデリーナへの復讐だった。だが、実の娘とも知らず誘惑の手をのべてくるニューベリー、そして権力を握るためなら手段を選ばない母アデリーナの虚飾に満ちた姿に、アレックサは、憎しみと共に深い孤独をもおぼえるようになっていった。そんなある日、かつて激しい愛をかわしたあのニコラスが、突然アレックサの前にあらわれた。
南北朝争の世に文芸の心を持して生きる兼好法師はきびしく己を律しながらも、また夢みる法師でもあった。あやしく揺れる幻の女人は延政門院一条であり、苛烈な政治家として知られる足利直義との間にも不思議に相通う心の微妙な共鳴があった。異色歴史小説。