1989年11月1日発売
パリ、ルーブル美術館で白昼、日本人高級コールガールが殺害された。凶器は東側諜報機関が暗殺に用いる猛毒リシンを仕込んだ毒矢銃だった。被害者の国籍と凶器の性質上、パリ警視庁はICPOの葉山警部に捜査協力を要請した。舞台はパリからウィーン、ベオグラードへ。やがて葉山の手であぶり出されてくる東側諸国と日本マスコミ界要人との陰謀…。気鋭が活写する長篇国際謀略小説。
実の父親を求めて春をひさぐ少女。家族を探すために密入国した中国人。アル中の元プロレスラー。薬に溺れた自暴自棄の少年。横浜でシップチャンドラー(外国船に食料、雑貨を納入しマージンを取る)を営む久須見のもとに、なぜかトラブルと心の傷を背負いこんだ人間が集り、そのたびに久須見は事件に巻き込まれていく…。港街を舞台に、傷つきながら生きていく人間たちを描いた連作ハードボイルド。
性交の余韻にまどろむ女、その女を突如襲う緊縛の縄。ほんのお遊びのつもりでボーイフレンドを交換し一夜のアバンチュールを愉しむはずだったのに…。豹変した男は、逆エビに縛られてむきだしになった女の秘裂から溢れ出る蜜液を獣のようにピチャピチャと執拗に舐めつづける…。
物語はある一族の一枚の写真から始まる。中央には、ドーン家の頂点をなす女ソフカ。そして彼女をとりまく4人の息子と娘たち。放蕩を尽くした夫はすでに亡い。ソフカは、このブルジョワ家庭を律する厳しい意志の女として生きてきた。だが、そのからだの奥底には、もう一人の別の女がひそんでいる-。倦怠。反目。情熱。孤独。…ドーン一族の男と女が、それぞれにたどる人生。4枚の結婚式の写真が、抗いがたい血の宿命を絵解きしていく。
いま、注目を集めるビルマ。その厳しい社会状況の中で、たくましく“現実”を描出する女性作家たち-。ビルマ最高の文学賞《国民文学賞》を四度受賞のモゥモゥ(インヤー)始めマ・サンダーなどベテラン作家から新進まで12人が、庶民の多彩な夢と人生を活写して“知られざる国”ビルマを浮き彫りにする1974年〜85年の12作品。明日への希望をこめて綴ったビルマ《ミャンマー》の熱きアンソロジー。
虚言癖のある男の妻に恋した主人公の千々に乱れる心の動きを克明に追った表題作「嘘つき」ほか、「五十男の日記」「モード・イーヴリン」の中篇3作を収録。登場人物の内面に〈視点〉を置くという画期的な手法で20世紀文学の扉を開いた、ヘンリー・ジェイムズの傑作心理小説。
母親のあえぎ声を聞きながら育った亜由子は、高校2年の17歳。そろそろ処女と決別する時期だが、ボーイフレンドも童貞で、あと一歩進むことができない。そんな時、別れていた実の父と同居することになり、次第に彼女は父に魅かれていく。そして、遂に父の腕に抱かれた時、彼女は歓びの声を-。