1989年1月発売
時効-このスリリングな限界に挑戦した著者会心の一千枚に及ぶ大長篇ミステリー。戦後日本を揺がした「60年安保」。右翼少年が起した暗殺計画が、15年の歳月を経て殺人事件に発展する…。
秀吉亡き後、家康は最後の決戦・大阪夏の陣を迎えようとしていた。その頃由加は、京都四条河原で歌舞伎舞を極めようとしていたが、最愛の前関白近衛信尹の死で、いまはただ悲嘆に暮れるばかり。一方、千加は堀端の混戦の中で師宮本武蔵と出会い、戦場を離れる苫舟で武蔵と結ばれた。慶長二十年、大阪城は落ち家康はその野望を達したが、姉妹の前途にはいまだ暗雲が晴れようとしなかった…。戦国絵巻時代長篇。
桜咲く4月、晴れて高校入学…。だけどさっそく志望大学の選択、受験のための勉強スケジュール。それでも高校生活はそれだけではない。…女生徒との出逢い、初恋、両親との葛藤、登校拒否、将来への悩み、社会への目覚め、早すぎる絶望、そして反抗…。人生へのスタートラインにならびながら、不安の迷路をさまよう少年少女の群像を、芥川賞作家が愛惜をこめて描き出す評判の自伝的青春小説。
来日した中米の副大統領が帰国の途中、ハイジャックに遭遇し、消息を断った。外務省から人質の探索依頼を受け、中米へ飛んだ天才拳法家の野口は決死の救出作戦を始める。だが、副大統領を拉致し、政府転覆を企てる暗殺集団は執拗に罠を仕掛け、野口を襲った…。ゲリラ戦となった壮絶な死闘の末にASSの魔手から脱出した野口だったが、要人の誘拐監禁劇の裏では彼もまだ知りえぬ驚愕の謀略が…。拳聖シリーズ完結篇!
〈声楽コンクール〉の前夜、優勝候補のナンバーワンの井田貴子が何者かに狙われ、咽喉に悪い激辛の薬味をサラダに入れられた!不測の事態の発生を恐れた審査委員長の要請で、しぶしぶ会場に出かけた警視庁捜査一課の片山義太郎と妹の晴美、石津刑事と三毛猫ホームズの一行。はたして会場周辺で不穏な動きが…!?貴子はライバルの恭子が怪しいというが、犯人は意外にも…!?超人気シリーズ珠玉の短編三編に、著者の自伝的エッセイ「三毛猫ホームズの青春ノート」を加え、待望のシリーズ第17弾登場!
実業家・黒住泰造のもとに、“殺されかけたお前の息子より”という奇妙な脅迫状が届いた。脅迫者は、25年前に岩手県宮古市で起きた母子放火殺人事件の犯人が黒住であると述べ、その口止め料として3千万円を要求してきた。殺されかけた息子とは誰なのか!?公になることを恐れた黒住が、独自に脅迫者の正体を調査し始めた矢先、執事の池上が密室状態の部屋で短剣で刺されて殺された。謎の脅迫者の犯行なのか。捜査に乗り出した警視庁捜査一課の八木沢警部補と新米刑事の村岡は、殺人と脅迫事件とを結ぶ鍵となる25年前の惨劇を追うが…黒住の別荘で第二の密室殺人が。密室トリックで読者に挑戦、書下ろし長編推理小説渾身作。
28階のホテル『ハイライズ下町』が国際通りに華ばなしくオープンした。ロビーは往来と同じで、人間模様の縮図となった。掏模も忍び込み、コールガールも現われる。果たせるかな開業早々、奇妙な事件が発生!ホテル専属探偵(ディック)こと田辺素直元刑事の名推理が冴え、事件ごとに読者の期待を高めていく。浅草の風俗も活写した名作。
売れないタレントの鳩村八一は、ある夜ふとしたことから、美貌の人妻と巡り合う。罠にはまり、夫殺しの容疑で追われているという。その女・岡部安芸子の妖しい魅力にひかれた鳩村は、彼女の無実を晴らすため、真犯人捜しを決心するが、事件は意外な方向へ…。計られたのは牡か、牝か。人間心理の謎を抉る傑作長編推理。
「すごいわ…」アスレチックジムの受付で、パットはとまどっていた。豪華な設備…。ふだんのつつましやかな生活が嘘のようである。オロオロしているパットに、ステキな男性が近づいた。彼の名は、マイク・テイラー。その彼が実は、このジムのオーナーで、有名なオリンピックの選手だったとは…。パットの中で、ときめきの胸さわぎがはじまった。
18世紀、霧のロンドン。最高の贅沢を身につけた誇り高いレディ、シャナは、今、窮地に陥っていた。21歳の誕生日までに結婚相手を見つけなければ、父にどんな男を押しつけられるかわからない。一代で豪商に成り上がり、今やカリブ海のロス・カメロス島の領主となった父の野望は、シャナを名門に嫁がせ、由緒ある名前を手にすることだった。約束の日は迫る。あせったシャナは、ある日、死刑囚との偽りの結婚で父を欺くことを思いついた。「あとは、悲しみにくれる未亡人のふりをすればいいわ」選んだ男はルアーク。彼は、傲慢にも一夜を共にすることを条件に、シャナのプロポーズを受け入れた。
死んだはずのルアークが生きていた!父を欺くため、偽りの結婚を遂げたシャナの夫。死刑囚だった彼は今、奴隷としてロス・カメロス島に送りこまれてきたのだ。不安にかられるシャナ。が、心は次第に彼に魅せられていく。あげくのはて、ルアークに言い寄るミリーへの嫉妬から、シャナは彼を島から追放してしまった。その騒ぎの中、シャナは海賊の島、メアズヘッドに掠奪される。「逃げ出さなくては…」海賊たちの目は欲望にぎらついている。穴の底に落とされ、弄ばれ、もうこれまでという時、目の前に差し出された男の手は、あろうことかルアーク、その人だった。
時は、1066年。イギリスは今まさに、ノルマン軍の手中に落ちようとしていた。ダーケンウォルドの領主の一人娘、エイスリンもまた、血なまぐさい戦乱に巻きこまれた。父や部下たちは目前で惨殺され、自分は母と共に奴隷という屈辱の身の上である。傷ついた心のエイスリンは、はげしい憎しみと愛の中に身を投じていくのだった。
エイスリンは、いつしかウルフガーに魅かれていった。父の領土を略奪した狼の騎士、自分を奴隷としてひざまずかせる男なのに、ふたりの魂は、複雑にからみあい、運命の糸をおりあげていく。はげしい生きざまを闘わせる騎士たち、愛にゆれる美しい女たち-壮大なヒストリカル・ロマンスが今、再び!!
世界じゅうの石油を一滴残らず無用にするバクテリアが出現した。いったい、誰が何の目的で開発したのか。細菌学教授に変身したレモとチウンの行く手に待ちかまえる敵とは?