1989年7月1日発売
「ああ、奥さんの、名器だ。すごいですねえ、よく締まる。しかもザラつきがいい」といいながら医師の御主人、さらに深く入れてくる。主人も、医師の奥さんも、ベッドの上に起き直って、こっちをじっと眺めている。-初体験のスワッピングに戸惑いながらも、甘美な官能に痺れる人妻を濃艶な筆致で描く。
昼下がりの喫茶店に一人いた悦子は、突然見えざる触手に体をまさぐられ、思わず絶頂の呻きをあげそうになった。TVディレクターの本郷はその奇妙な事件を追ううち、超能力者の存在に突きあたる。やがてこのエスパーの奪い合いで、新興宗教勢力と自衛隊の暗闘が始まったが、実は背後に極東全体の情勢すら左右しかねない秘密が隠されていたのだ。
ボクの名前は坂本勇作。夏休みを利用してアメリカのペンフレンド、アリサ・ミルフィードを訪れているんだ。ところがある日、ボクたちの乗っていた遊覧飛行機が、進化した恐竜人の支配するパラレルワールドにワープしてしまった!近くの村に住む親切な恐竜人に助けられたものの、その夜「ハンター」と名のるなぞの集団に襲われる。アリサのパパをはじめほとんどの人間はさらわれてしまったが、ボクとアリサはたまたま通りかかった恐竜人の勇者ゴメシスに助けられた。アリサのパパたちを救い出すため、ボクは恐竜界の旅に出ることを決心するのだった。
ベトナム帰還兵ジェイムズ・ウォーカーは、かつての上官で現在は米陸軍情報部大佐“J”の策謀で、メイン州の刑務所に収容されていた。奇襲突撃隊員としてベトコンに恐れられた彼は、あまりにも危険な存在だったからだ。ある日、刑務所にまで“J”の黒い牙が迫っているのを察知したウォーカーは、脱走して山岳地帯にたてこもる。包囲する地元警察。なんとしても彼を抹殺せんとする米陸軍。ウォーカーの“たった一人の戦争”が始まった!
近未来のアメリカ。そこでは選抜された十四歳から十六歳までの少年100人を集めて毎年五月に〈ロングウォーク〉という競技が行われていた。アメリカ・カナダの国境から出発し、コース上をただひたすら南へ歩くだけという単純な競技だ。だが、歩行速度が時速四マイル以下になると警告を受け、一時間に三回以上警告を受けると射殺される。この競技にはゴールはない。最後の一人になるまで、つまり九九人が殺されるまで、昼も夜もなく競技はつづくのだ。体力と精神力の限界と闘いながら、少年たちは一人また一人と脱落し、射殺されていく。彼らは歩きながら、境遇を語り、冗談を交わし、おたがいを励ましあう。この絶望的な極限状況で最後まで生き残るのははたして誰なのかー。死と直面する少年たちの苦闘を描いた、鬼才キングの問題作、ついに登場。
SIS長官ケネス・オーブリーは二年ほど前からKGB副議長カプースティンとヨーロッパ各地で秘密裡に接触を重ねていた。カプースティンから亡命の希望がよせられ、二人はその条件や手はずを話し合っていたのだ。接触は組織を離れた個人的なもので、カプースティンはつねに独り、オーブリーのほうも工作員のハイドを随行させただけだった。ところが、話も煮詰まった冬のウィーンでの接触で、KGBの副議長は不意に亡命の意志を翻した。その直後、オーブリーはソ連のスパイとしてバビントン率いるM15に逮捕されてしまう。〈涙のしずく〉というコードネームを持つソ連のスパイである、というのが彼に着せられた容疑だった。あやういところで、逮捕をまぬがれた部下のハイドは、敵味方の両組織から命をねらわれながら、オーブリー逮捕の手懸りを求め、救出にのりだした。
オーブリー逮捕劇の真相とは?ウィーンのKGB駐在官を拉致したハイドは、その男から驚くべき人物の名前を聞き出した。ペトルーニン。オーブリーのために大失態を演じ、アフガニスタンに左遷されたKGBの大佐だ。今回の〈涙のしずく〉作戦はペトルーニンが考案した謀略だというのだ。KGB上層部は彼をアフガニスタンへ追いやりながらも、その計画だけは取り上げ、いまそれを実行に移したのだ。だが、計画の全貌は発案者のペトルーニン本人から聞き出さなければならない。ハイドは宿敵を求めて単身、戦乱のアフガニスタンへ飛んだ。繊細な野獣に変身した工作員ハイドが、駆け、吠え、襲い、逃げ、殺し、恐怖に身を震わせ、苦痛に身をよじり、ウィーン、アフガニスタン、チェコスロヴァキアと、地獄のなかを疾走する。
右大臣兼家の第二夫人で、本朝三美人の一人といわれた道綱の母は、夫の愛を独占出来ぬ一夫多妻の世で、日夜懊悩する。染め物・和歌・散文と多芸多才な、平安女流作家の謎の生涯を描いた書き下ろし長編歴史小説。
派闘争いに巻き込まれ、背任の濡衣を着せられて、大日本商事を辞めたエリートサラリーマン・谷沢。身の潔白を証明し、真相を究明する谷沢が、事件の鍵を握りながらも謎の失踪を遂げた元上司・佐々木の行方を追ううちに辿りついたのは、意外にも新興宗教団体〈浄霊九竜教〉の存在だった。しかも、調べを進めるにつれ教団の背後には麻薬とセックスを餌にした、とてつもない野望が浮び上ってきたのだ。谷沢は、教団本部に囚われているらしい佐々木の救出を決意。ひとり内部に潜入する。だが、そこで谷沢が眼にしたものは…。書下ろし長篇官能バイオレンス。
新宿発小田急線経堂行き最終電車が、ライフルを持った男にジャックされた。警察は直ちに犯人との交渉を開発した。だが、男は警官に発砲、その後は不気味な沈黙を守るだけだった。一方、唯ひとり人質にされたOL杏子は、恐怖に震えながらも、凶悪犯とは思えぬ男の優しさに、何か割り切れぬものを感じていた…(「朝の柩」)。都会の闇に、ポッカリと口を開けた落し穴に嵌った人間たちのあがきを活写する、異色作品集。
横浜の分譲マンションの地下受水槽から、若い女性の腐乱死体が発見された。そして、時を前後して起きた幼女誘拐事件。新聞記者・梶は、一見何ら関連性のない二つの事件に〈水問題〉が絡んでいる事に着目し、一人調査を開始する。だが、二つの事件は交錯しえないばかりか、関係者に失踪・変死が相次ぎ、混迷の様相を呈してきた…。著者の代表的長篇推理三部作の第一弾。(全二巻)
幼女を誘拐したまま犯人の連絡は途絶えた。二人の容疑者も連続して殺され、その葬儀と殺害現場に犯人からの雛罌粟の花が…。雛罌粟の示唆するものは何か?一方、腐乱死体の女性の過去を洗った捜査員は、思いがけない人物の影に遭遇した。ついに一点で交錯した二つの事件は、様々な運命を弄びながら、悲劇の終局を迎える…。大河ミステリー第一部完結編!(全二巻)
あたし高田周子、15才。あたしの特技は、毎晩、夢の続きを見られるってこと。2ケ月前、あたしはホンのいたずら心で、理想のカレの顔を描いた紙を枕の下に敷いて寝た。そしたらちゃあんと出て来たじゃない。あたしの理想のカレ。22才、オトナの香りがするけど、案外無邪気な人。その日以来、あたしは夢の中で毎日カレとデート。ところがある日、お姉ちゃんに誘われてテニスにでかけたあたしは、もうビックリ。だって、お姉ちゃんの恋人が連れて来た男の人、夢の君にウリふたつなんだもん…。夢と現実の間で揺れる周子の夏のラブストーリー。
純子は元気印の14歳。幼なじみの充弘をいじめて遊ぶ夏休みにあきたなーと思った夕暮れ時。ボーと歩いている純子を避けたバイク少年が、事故ってしまった。ヘルメットを取った彼は、まさしく理想の人。傷は浅かったけど、身寄りのない彼をしばらくあずかることになって純子は舞い上がる。そして、海辺で愛を告白された時には、これぞ幸福の絶頂!と思ったのだが…。なんと、初めて恋した人の正体は?夏に負けないピュアガールのロマンチックコメディ第1弾。
ナミビアの僻地で突如起こった村民皆殺し事件。一夜にして消えた死体。それは世界を揺るがす大陰謀の発端にすぎなかった。恐るべき謎に挑む米人記者スティーブ・デントン!アフリカ、パリ、ニューヨーク、ワシントン、地中海を舞台にスピーディーに展開する国際的スケールのカタストロフ・フィクション。フランス・サスペンス賞受賞。
街中の白い目を逃れて、ケヴィンとセイディーが故郷ベルファストから駆け落ちして4年。お金も、家も、たしかな仕事もなにも持っていない。ロンドンへ、リヴァプールへ、ふたりは、自分たちの本当の場所をさがして移り住む。やがて、ちいさな新しい家族ブレンダンも加わった。だが、ようやく落ち着いたチェシャーの田舎暮らしもつかのま、農園主の突然の死が、一家の運命をまたもや変える…。若い夫婦と赤んぽう、そして犬のタムシンは、ポンコツのワゴン車を改造して、ふたたび旅立っていく。カトリックの夫、プロテスタントの妻。旧世代がけっして越えることのできなかった、あの厳しい宗教的対立を、この若い夫婦は身をもって乗りこえようとする。イギリスの女性作家ジョアン・リンガードの感動の5部作、待望の完結篇。