1989年7月1日発売
はじめに、ほんの少し彼にやきもちを焼かせたかっただけなのに-。カリフォルニアの実業家スティーヴと電撃的な結婚をしたジニイは、夫との些細ないさかいから、思いもかけない方向に波紋が広がっていくことに激しく動揺していた。スティーヴを残し、独りパリに来てしまったのも、本当は、彼に迎えに来て欲しかったからだ。そんな女心を踏みにじるかのように、スティーヴが、イタリアの妖艶なオペラ歌手、フランチェスカと恋仲になっているなんて。お腹には彼の子がすでに宿っている。激しい気性の男、スティーヴに翻弄されるジニイだった。
熱病から記憶喪失になったスティーヴは、その看護をしてくれた女、テレシータと結ばれる。遠いテキサスまで、はるばる探しにやって来たジニイとの再会にも、まるで見知らぬ他人に会っているかのようなスティーヴ。愛と情熱に彩られた二人の思い出が、すべて無になってしまうのだろうか…。ジニイは苦しみを振り払うかのようにパーティーの踊りの輪に加わる。すると、いつの間にかスティーヴが近づき、強引にジニイの唇を奮う。「はじめて会った女なのに、昔から知っているような気がする」-彼はジニイのことが忘れられなくなるのだった。
隅田川につり糸をたれていた二人は、平賀源内と桜兵之介であった。川岸へ視線を向けた源内と兵之介が見たものは、無頼の男どもに追われているひとりの娘であった。兵之介は娘を救ってやった。その可憐な娘は、烏山の浪士泉川作太郎の娘多喜であった。多喜は芝愛宕山寂光院門前の茶屋の主忠兵衛を訪ねたが、まもなく、上州館林六万一千石松平藩の重職菅沼右兵衛の命をうけた紋次の手で、いずことなもなく連れ去られた。菅沼右兵衛と老女蔦枝に無理に薬をのまされた多喜は、そのまま麻布清徳寺墓地に埋葬された。奇怪なことに墓に記された名は楓であった。楓というナゾの女の身代わりに葬られた多喜の運命とは?兵之介・源内の活躍は。興趣満点、角田喜久雄時代長編大作。
バラバラ事件発生ー!男の切断された片腕が、九州宮崎の西都原古墳公園の土中から発見された。血液型と指紋照合の結果、この腕は鎌倉の古美術商『悠雅堂』の主人伊良子為三のものと判明したが、鎌倉の人間の片腕がなぜ九州の地に…?生前、その指には、“男女交合図”の彫り込まれた奇怪な指輪がはめられていたという。悠雅堂の捜索をその息子から依頼されていた『週刊スクープ』の事件記者岬大助と美人と評判の易者ギャル桃花堂桃花の前に、古美術ブローカー、新興宗教の美人教祖など怪しげな人物が浮かび上がってきた。なにやら、悠雅堂が九州のどこかに隠されていることを突き止めた古代インド王朝の莫大な秘宝をめぐって…。シャンドラの秘宝は実在するのか?青春ミステリー。
清潔美人近藤利代子と肉体美人酒田多意子。崇高な使命感に燃えて警視庁入りした2人の先祖は、江戸時代に一世を風靡した名探偵コンビ、同心むっつり右門と岡っ引おしゃべり伝六だった。見えない縁に結ばれて、再び名コンビ(?)が誕生したのである。さっそく痴漢退治とオカマ刺傷事件で名を上げた2人は、鬼の警ら第2課長三河八重子警部の下に配属され、犯罪都市東京に続発する難事件に体当りしていくが…。ベストセラー作家が痛快に描く『夢みる婦警』シリーズ第1弾。
〈真昼の陽射しの下でシェリーを飲もうという彼女の提案に、私はわくわくするほど心動かされた。グラスを掲げて彼女は言った。「あなたの恋に乾杯」私は少し戸惑ったが、彼女に尋ねた。「なぜ私の恋に乾杯したのですか」彼女はにっこりと言った。「あなたならとても素敵な恋をしているにちがいないと思ったのよ」私は少し曖昧な笑みを浮かべた…〉燃える恋の渦中にいながらも、不安に慄く繊細な女性の心を、瑞々しい筆致で描く書下しろ恋愛小説。
第三次世界大戦が勃発。そのさなかに飛びかった核ミサイル群とは別に、終戦直前にケープ・カナヴェラルから複数のロケットが打ち上げられるのが、米ソ両軍によって観測されていた。これらのロケットの正体は何か?知っているのは元宇宙飛行士のコルファックスだけだった。ロークは、第二合衆国軍からコルファックス保護の依頼を受けるが…。
突如、調査隊一行を襲った高重力世界人たちの反乱を避け、カイたちが冷凍睡眠に入ってから、どれほどの時が過ぎたのか。ここは金色の翼竜が空を舞い、大型竜が跋扈する惑星アイリータ。この謎に満ちた星で、長い眠りから覚めた調査隊メンバーを待ちうけていたのは…?人気女流作家が失われた恐竜たちへの追慕をこめて描く傑作シリーズ第2巻。
恒星間を巡り、数多の異星生命体を捕獲してきた名うての狩人、ビリー。とうに引退した彼が、ある日国連から召喚されるー通商条約締結を目前に相手星の過激派が送り込んできた暗殺者を阻止せよ。彼は任務遂行のため、かつて捕らえた最強の生命体、変身獣“キャット”に協力を乞うー彼自身の命と引替に。ビリーの最後の戦いが始まろうしていた。
チベット自治区の一郭を占める孤立の地、ギャンカーラ。今この一帯を、反共武装ゲリラの一団が跳染していた。首領と目されたのは、数年前CIA工作員として撹乱行動に従事中死亡したはずの男。だが中国政府はこれを受け入れず、米国の侵略行為と断じて、締結寸前の科学技術協定を破棄する構えに出た。困惑した米国政府は、真偽を確かめるべく男の妻トレイシーを現地に送りこむが…。大自然の彼方、トレイシーは果して何を見たか?
オクスラン・ステーションへようこそ。ここは何かに憑かれた町。-ちょうどひと月前、シドはオクスランに帰ってきた。めくるめくようなヨーロッパ旅行だった。それにひきかえ、この町の刺激のなさと言ったら。相変わらず眠っているようだし事件も起こらない。ただ、両親や兄たちの様子がちょっと変なのが、気にはなるけど…。そんなある日、一台のリムジンが彼女を轢き殺そうとした!ついに、オクスランが目覚めた。シリーズ第三弾。
「そんな馬鹿な」クーリッジは愕然とした。全世界の情報を収集、分析する究極の謀報機関〈図書館〉。館員の一人クーリッジは、秘密漏洩防止のため仲間の監視を命じられてたのだが、ある日、〈ドクター〉と呼ばれる館員が外部と通じていることに気づく。アメリカ合衆国の最高機密を知りつくした12名のアナリストー彼らの中に裏切者がいるというのか?現代スパイ小説と国際謀略小説の妙味が渾然となった、衝撃の超大作登場。
東ドイツの国境地帯。ソビエト連邦が始めた駐留軍隊の増強は、エスカレートの一途をたどっていた。高まる東西間の緊張。切迫する第三次世界大作勃発の危機。だがこのときのために、〈図書館〉はひとつの切札を用意していた…!一方クーリッジは、紆余曲折のあげく、ついに〈ドクター〉の正体を突き止めるに至ったが、そのために絶体絶命の窮地に立たされてしまう。はたして彼の運命はーそして全世界は、どうなってしまうのか。
森の国シャンバラーは、死の冷気に包まれていた。数年前に襲った天変地異のため、水の恵みも人々の往来も遮断され、国が滅びようとしていたのだ。死の床にあったセフィロト王は、いまわのきわに遺言を残した。「如意宝珠を探し出し、谷に投げ込め。それしか国を救う手立てはない」この遺言を耳にした第2王子は、祖国を救うために立ち上がった。黒魔術を自在に操る偉大な魔道士でもある王子は、その名をメスロンといった。スーパーアドベンチャーゲーム。