1989年8月1日発売
あたし、小原舞子、18歳。人気マンガ家神月センセのアシスタント兼駆けだしの新人マンガ家なの。同志でBFのトオルくんとは、コミケ(同人誌の展示即売会ね)で一緒にがんばったりといいムードだし、初の長編の原稿依頼もきて、絶好調の日々。ところが、ライバルの桐生さんがアシ仲間に加わってからというもの、なんだか心がもやもやしはじめて…。好評舞ちゃんシリーズ、第3弾。
夏休みになって、ななほはタイクツな毎日をすごしていた。2年になってクラス替えがあり、『片想いクラブ』のメンバーも、次第に会わなくなっていった。そこで、ななほは恒例の旅行を計画、他の3人に通知を出した。はじめは全員行くといっていたのに、ナツミが抜け、サトが抜け、結局中止。がっくりしてるななほに、冬子は新人コント・ボンビーズの1人、浦さんを紹介した。どういうこと?
トゥルルルルー真夜中のベルは不吉な知らせ。それとも素敵な夜の王子からのラブコール。電話の声は心地良い音楽のように弾んでる。雨上がりのダンスみたい。間違い電話とわかっても、あたしは受話器をおろさなかった。そうして、ふたりの恋ははじまった。恋はまるでレモンドロップス。ちっぽけだけど、ザラじゃない。はじめはちょっとすっぱいけれど、そのうちだんだん甘くなる。そしてー。
アマチュア女の子バンドだったファイアー・クラッカー。ラッキーなことにプロデビューして、ツアーや雑誌取材やTV出演と、世間から注目をあびてきたんだよね。ワ〜イ!でも、ボーカルの美土里には悩みがあるの。それは、マネージャーの中西サンに恋しちゃったこと。でも彼ったら冷たいそぶり。そんなある日、人気絶頂の串刺し連盟の番組にゲスト出演して、うれしいハプニングが…。
ニューヨークに住む日本人カメラマンと雑誌レポーターとの愛の深層心理を描く表題作をはじめ、スキーのオリンピック選手を目指した男が、骨折で断念。もう一度、そのコースを滑り降りることで、過去に訣別、新たな思いを抱くという「北の峰ダウンヒル」など、6篇を収録した中短篇集。
昭和火災海上保険産業開発室長・郷本が、アメリカ西海岸で手がけているマリン・リゾート計画。その潜水作業をしていた潜水ティームが消えた。「海の中で…戦車を見たんだ…」という言葉とマイクロフィルムを残して。一方、三浦半島とスウェーデンに漂着したブイの謎を追う、通産省貿易局の平岡と明石。ソ連〈レジスタンス・グループ〉が口にした“ソ連の新たなる核攻撃システム”とは-。第三次世界大戦計画をめぐって、KGB、CIA、DIAをも巻き込んだスリリングな死闘が…。迫力の近末来長編。
もしも、あの時、釣りに行くのを中止しなかったら、もしも、あの時、顔見知りに会わなかったら…偶然が重なって、一人の男が死んだ。ごく平凡に見えるこの事件に微かな違和感を抱いた刑事がいた…偶然性を扱った画期的な作品「偶然かしら」の他、一幕サスペンスの「歌で死ぬ」写真トリックを使った「仰角の写真」「印画紙の場面」など、9編収録のオリジナル短編集。
やっぱりあたしがついててあげなくっちゃー不思議な力を持つ少女アナは、スポーツ万能のケン、天才科学少年のロイドといっしょに、地球の危機を救う闘いに立ち上がる。マジカントの国の女王、クィーン・マリーの助力を得るため、世界中に散らばった八つのメロディを探す三人に、宇宙人の魔手が忍び寄る。恐るべき敵の正体とは?糸井重里入魂の超大型RPGを完全小説化。
酒場のカウンターで、年下の男から突然見せられた妻にあてた「ラヴレター」-。結婚十年目をむかえた夫婦の家庭に傍若無人に割り込んできた若者の、ひたむきだが不可解な言動の秘密を描いた表題作の「もうひとつの恋文」をはじめ、すぐには言葉にならない、様々な想いを抱きながら、都会の片隅で生きていく若い男女が演じる〈愛のドラマ〉五編。直木賞受賞作「恋文」の姉妹編。
日露戦争で満州軍参謀として日本の命運を担い、後に昭和の宰相となった田中義一。幕末に駕篭かきの悴として生まれた彼は、立身の手段として軍人の道を選び、近代国家の歯車となって生きることを決意する。義一は軍事大国ロシアの内情を探ることを命ぜられ、ペテルブルグに赴いて情報収集の秘密任務につくが…。明治の男の強烈な上昇志向と自己実現の軌跡を辿る書き下ろし長編小説。
30歳の公証人ローモンは、ひそかに若き美貌の未亡人フローラに恋をしている。しかし、彼女は小作人の息子で文学青年のジルダスに夢中だ。彼は、男たちを魅了している小悪魔的な小間使いのマルトと愛しあっている。そしてマルトの真実の告白が愛の悲劇を招く…。七月王政下の1930年代、フランスの牧歌的なアキテーヌ地方を舞台に、愛に生き愛に死んだ人間模様を描く長編恋物語。
エルサレムの丘でアラブ人らしい少女の全裸死体が見つかった。切り刻まれ、入念に洗い浄められて。一週間後、同じように、もうひとりの少女が殺された。辣腕警部シャラヴィと4人の部下は、全く手掛りを残さないこの犯人を、執拗果敢に追いかける。だが第三の犠牲者がー。想像を絶する異様な変質者の心理と、個性豊かな5人の刑事の艱難辛苦を、重厚な筆致で描いたサスペンス大作。
数々の難事件を解決した聖戦の英雄シャラヴィ警部と、記録あさりの名人シュメルツェル、巨大の中国人リー、アラブ系のダウド、新米のコーヘンーマスコミの妨害や政治的圧力にもめげず、捜査班は辛抱強く働くが、犯人はその輪郭さえ掴ませない。そして、ある日、シャラヴィの最愛の娘がいなくなった!半ば狂ったようにシャラヴィは、目星をつけた場所に突進する…。
かつて戦闘機乗りとして鳴らしたプロスのもとに、情報局からある依頼がきた。中国の特殊任務で潜入した彼の元同僚を、最新型ヘリ・リンクスで救出し、香港まで運んで欲しいというのだ。いやいや承知した彼の補佐には、美人諜報員のローガンが付けられた。香港へと向かう二人だが、その行く手には謎の中国人リンの執拗な妨害が待ち受ける…。高性能ヘリが活躍するシリーズ第一作。
「出張して本を読みます。文学書、ノンフィクション、その他何でも」幻想的熱情、性的憧憬、頽廃的媚薬ーどんな本でも美しい声で朗読するマリー=コンスタンス。車椅子の少年にモーパッサンの官能的な短編を、革命好きの女伯爵にマルクスを、多忙な実業家に愛のレッスン付きで教養書を。だけど老判事が強要した「ソドムの120日」は…。マリーが体験する不思議な危険な《愛の時間》。
アビーは父ディーン・ローソンの葬儀ではじめてレイチェルに出会った。レイチェルはディーンと愛人との間の娘だが、アビー同様、彼女もローソン家特有の鮮かなブルーの瞳を受け継いでいた。ディーンの没後、アビーは莫大な財産を相続するはずだったが、残されたのは借金だった。一方、レイチェルには多額の信託財産が遺されていた。ふたりの異母姉妹の宿命の葛動がはじまるー。