1989年8月1日発売
商事会社勤務のOL、得田彰子は、結婚を前提に交際していた、車のセールスマン、常沢尚広に裏切られ、傷心旅行のドライブに出かけた。そこで親密になった内村が、つづいて高田が不審な死を遂げる。彼女は事件を報らせるTVをみて、2人の死があまりにも似ていることに愕然となった。事故死か、殺人か?一方、警察は検証の結果、両方の事件にマスコット人形が媒体になっていることをつきとめた。が、今度は常沢が自宅で死体となって発見され、彰子は参考人として呼ばれる。そこでうかびあがった意外な真犯人とは?
砂漠に浮かぶ街・レイテアにヤケィは引き寄せられた。彼は“知る者”全ての魔法が終末を迎える時、それらを知った上で新たなる魔法を生み出す男。彼はこの街で何を知るべきなのか…。街の酒場で、ヤケィら4人の旅人のパーティは、赤い瞳を持つ少女・ネイに出会った。「明日、街の神・ニーギラの祭壇に生贄として捧げられてしまう」と言う。4人は少女を守ろうとするが…。ニーギラとの凄絶なる戦い。街を覆うギジュガの大木、その内部、神室で光る輝きの塊とは?神殿でヤケィの見た光景とは?怒涛のファンタスティックアクション。
新年早々、京都二年坂で、首と手首のない男の死体が発見された。京都府警の橋口と検視官・江夏冬子は、死体の足の爪に付着していた嵯峨菊をヒントに、大覚寺の庭から切断された小指をみつける。一方、府警には、行方不明になっている夫、兄、父ではないかと、三人の女性からの問い合せが相ついだ。結局、指紋から大和田ユリの父親と確認されたが、事件は意外な展開をみせ始める…。本格長篇ミステリー。
静岡県藤枝市で起った“食堂一家殺害事件”の犯人として逮捕された岡野保は、一貫して無実を主張したが、死刑が確定。拘置所で刑執行におびえる日々を送っていた。一方、東京では岡野の冤罪を晴らすべく特別弁護団が結成された。弁護団の一員月村耕介は再調査のため静岡に赴き、かつて岡野を取調べ、今は停年退職している志木元刑事を訪ねる。月村は新事実をつかんだが…!?会心の長篇法廷ミステリー。
福浦美絵は、4年前に事故死した元恋人の大谷雅也の墓参に、雪の降りしきる津軽へやってきた。パトロンの我妻英之輔との結婚を間近に控え、その報告をすることで雅也と訣別しようと思っていた。命日、美絵は墓前で雅也の友人だった安藤と会い、雅也は謀殺されたのではないかと聞かされる。疑惑は徐々に拡がり、複雑に絡み合った事件の糸口は、やがて美絵の過去へと遡ってゆくが…。長篇ミステリー。
身勝手でわがままな義夫にいいようにあしらわれ、苛立ちがつのるばかりの美沙子は、ある晩ついに別れ話をしに彼の家を訪ねた。ところが,義夫は頭に無残な傷を負い、意識不明で倒れていた。恐ろしい光景に途方に暮れながら、ふと美沙子は思った-彼が死んでくれたら、面倒な別れ話なんてしなくても済んだわ-。義夫の後頭部にとどめの一撃を加える美沙子だったが、意外な人物がその一部始終を見ていようとは知る由もなかった…。日常生活のなかに潜む殺意を新鮮な感覚で鋭く描いた、傑作心理サスペンス。
津吹淳一、19歳。花の1浪予備校生。10月ともなると、心臓がしめつけられるような気分だった。浪人仲間の吉沢や大道寺らは、それぞれ問題をかかえて動揺していた。淳一は、失恋の痛手から立ち直ったと思ったら、またしても女の子から手紙がきて大動揺!?さらに悪いことに、津吹家の両親が冷たい戦争を…。勉強ひと筋の浪人といえども、人生にはいろいろ問題がある。ガンバレ、津吹淳一!『学問ノススメ《挫折編》』に続き、爆笑とペーソスの青春まっただなか《奮闘編》!
豪邸を建て、子どもは一流校へ。しかし一家団欒の夢は、妻が金属バットで何者かに殺されて吹き飛んだ。迷宮入り事件になる寸前、中年の元刑事がつきとめた真相とは?(表題作)…信州の旧家にまつわる猟奇事件、ホモセクシュアル、青年の暗い怒り…現代の〈奇〉なる部分に焦点をあて、想像力を無限に飛翔させた傑作集。
サルベージ船海邦丸は、当初の目的から離れて、針路をとつぜん奄美から南沙諸島へ向けた。なぜかいつもと違い、社長も乗船している。そして、社長令嬢の密航や漂流ヨットにいた若い女性の救助など事件が続発。社長の思惑はいったい何か?人間たちの確執と愛憎とロマンスをのみつくす無限の海。海洋サスペンスの傑作。
父母を失い、頼る人もいないドルーシラは今は住み込みの家庭教師として公爵家で働く身。そんなある夜、ドルーシラの部屋に、今は候爵となっている幼なじみのヴァルドが飛び込んできた。「きみだけが、ぼくを助けることができるんだ」思いがけない再会に驚くまもなく、雇い主の公爵が現れ、公爵夫人とヴァルドとの仲を疑い、決闘を申し込もうとする。ヴァルドをかばうためにドルーシラは思わず、彼から求愛され、結婚するつもりだと告げる。
ジェニー・ウェバー、30歳。いまN・Yで活躍中の売れっ子コピーライター、離婚歴あり。ロングアイランドでの週末、溺れかけたジェニーはたくましい男に助けられた。男の名はクーリー、コロラドから来たカウボーイだ。ジェニーと、クーリーはその日のうちに恋に落ちる。だが、恋の喜びもつかのま、あまりにもかけ離れた二人の生活に、ジェニーの悩みに深まってゆく。
ボストンの法律事務所で弁護士を目指して働くローラ。そんなローラのもとに、何と母が逮捕されたという知らせが飛び込んできた。とるものもとりあえず駆けつけてみると、もう辣腕弁護士が身受けしていったというではないか。その弁護士とは、ボストンでは知らない人はいないという存在、ケイシーだった。古きよき街並を守るために、現在D・J・K社の地域開発計画を阻止しようと戦っている彼に、ローラは正義感の強かった前夫の姿をだぶらせる。2人は互いに惹かれ合うが、そこには意外な落し穴が待ち受けていた。
きらびやかなグランドオペラ舞踏会は、ジニイとスティーヴの噂話でもちきりだった。アメリカ上院議院ブランドンの娘ジニイは、ロシアの貴族サルカノフの未亡人となっていた。ジニイを連れ戻したスティーヴは、ふたりの過去がスキャンダラスな話の種になることを辟易してくる。ついに彼は、一年の約束でジニイに結婚をせまる。華麗な結婚式-だが、それもジニイには空ろな出来事として映らなかった。二人の間からはわだかまりがぬけず、スティーヴの態度もどこかよそよそしい。そんなある日、スティーヴは彼女を娼館に連れこむのだった。
義理の母ソニヤはスティーヴの愛人だった!ジニイはスティーヴと別れる決心をすると、ひとりメキシコに旅立つ。その傍には、ジニイを自分のものにしようとするアンドレがいた。が、突然の大地震で失明してしまうジニイ。スティーヴは彼女が死んだと聞かされるや、アンドレを追い、決闘の末、彼を殺す。傷心のスティーヴは、ジニイへの思いを振り切るようにプレヤーズ・エンドに向かうのだった。南北戦争直後のアメリカ南部を舞台に、淑女と娼婦のふたつの顔をもつヒロイン、ジニイとスティーヴの愛と憎しみのドラマ「甘い野生の恋」の完結編。
あるときはかたむいた遊園地、あるときは7,900年後の海辺、またあるときはカラッポの水族館。電報を巡って、会えないあなたとわたしがくり広げる、谷山ファンタジーのメリー・ゴー・ラウンド。回転木馬にのってでかけよう。現実と異次元との間を自在に駆け回るヒロコさんの最新作!