1989年発売
事件の発端は青森県の板留温泉だった。ほとんど名も知られていない小さな温泉場だが、年に1度の「火流し」の日だけは見物客で賑わう。後醍醐天皇の霊を慰めるというこの祭りの日に、1人の若者が殺された。死体のあった場所は「火流し」が行われる中野川の河原だった…。南朝伝説の地隠岐、吉野、長野、青森を繋ぐ殺意の罠。事件の鍵を握る“幻の乾坤通宝”。乱歩賞作家の本格推理小説。
「恋はたいせつなもの…永遠だ。人生は、あっというまに過ぎるのに、聞いてごらん。流れる水が教えてくれるのもそのことなんだ…」少年の、月あかりのように淡く幼い愛と時間と死が、幾筋もの虹のように交錯しつつ展開する美しいメルヘン「恋のお守り」、主人公の少年と頭のおかしいオールド・ミスの奇妙な交友を描きつつ人間の宿命を暗示する「ミス・ダヴィーン」など、珠玉の抒情小説10篇。たそがれの詩人デ・ラ・メアによって誘われる、夢と現実のあえかな境界ー。
死刑判決に対する控訴を拒否し、刑の執行を望む村井晋助。監獄医中川らの目から見ると、彼は拘禁ノイローゼによる被害妄想のように思われる。しかし愛人菊江の目にはまた別の姿が…。“死”を欲する彼の真意はどこにあるのか。やがて訪れる主人公の意外な終末。死刑囚と監獄医の葛藤を描いた表題作の他、刑務所を看守の目から描いた「制服」、孤独な死刑囚の独白「夜宴」の2作を収める。
ど、どうしてそうなるんだ。シャンディ教授はうめいた。ホースフォール農場で起こった怪しげな事故死。他殺の線を考えていたら、近所にある冴えない石碑が正真正銘ヴァイキングの遺跡らしいと知れたとたん、事件もその呪イのせいにされてしまったのだ。悪夢のように押しよせる野次馬の群れのなか、果して捜査は行えるのか?好評ユーモア第三弾。
ソビエトが月軌道上に建設した巨大な宇宙島。ソ連政府当局は、これこそ彼らの宇宙計画の平和的目標の象徴であると主張した。しかし、合衆国国防総省の見方は違っていた。この宇宙島には強力なX線レーザーが積み込まれているに違いない。平和目的どころか、これこそ究極の攻撃兵器なのだ。この謎を解くため、二人のエージェントが送り込まれたが…。
監視の目をくぐって監房を抜け出したマッケインたちは、〈テレシコワ〉内部の偵察に乗り出した。だが、武器のたぐいはいっさい発見できない。では、〈テレシコワ〉はソ連のいうとおりに平和目的のスペース・コロニーなのだろうか?しかし、マッケインたちは、それでもどこか心にひっかかるものを感じていた。このコロニーはどこかが狂っている。
暴力をふるう夫を、レズビアンの恋人と謀って毒殺した実際の事件を基に、夫との出会いから裁判に至るまでの、刻一刻の女の心理を鮮やかに描き出す。『ベルリン・アレクサンダー広場』で大都市小説の金字塔を打ち建てた奇才デープリーン異色の実験作。
新宿のドヤをねぐらにしている加藤剛介は、探偵が本業だが、あまり仕事熱心とはいえない。その剛介に、もと美容師をしていた娘の行方を捜す、という仕事が舞いこんだ。早速、調査を開始すると、かつて同僚だったルミ子が剛介に好意以上のものを示し、アシスタント役を務めてくれた。調査が進むにつれ、美容師の単なる行方不明事件だけでなく、同僚が何人も死んでいることが判明し、背後には凶悪な犯罪が潜んでいる臭いがぷんぷんとしていた。剛介自身の生命も危機にさらされ、また警察からもマークされ、剛介は退くに退けぬ状況に追いつめられていった。大都会新宿を舞台に正義派の著者が渾身の力でペンを揮う書き下ろし長編バイオレンス。
おれは、必ず有名人になる。もしその才能がなければ、金持ちになって名声を手にしてやる。拝原欣次はこうして財産のある女性を狙う。志摩子はレストラン・チェーンの女社長。豪華な邸宅に住み、伊豆と軽井沢に別荘を持っている。年齢は一回り上の44歳だが何、構うものか、金のためだ!こうして拝原は志摩子と結婚する。ところが夢は無残に破れて拝原は僅かな金を受け取るだけ。裏切られた思いの拝原に殺意が芽生える。完全なアリバイを設定し、妻が在宅なのを確かめて寝室に忍び込んで殺そうとするが意外や意外そこには…。緻密な、二重三重に用意されたトリック、絶対失敗のない殺人計画、それが何故?本格派の巨匠がサスペンスを充分に盛り込んだ書き下ろし傑作長編。
夏休み中のある夜、光風学園高校の敷地内にある紫水殿から仏像が盗まれた。宿直は大苗先生だった。その先生、犬や猫の言葉を理解できるので犬猫先生と呼ばれていた。その後も殺人、誘拐など事件は続発し先生は苦境に立たされる。それを助けるのが愛犬スージー、愛猫トミー、それに教え子のモッペル君、彼らの協力を得て先生は犯人を追いつめていく。
19時25分新宿駅4番ホームに到着した〈あずさ18号〉から、最後の乗客が下り立っても夫は現われなかった。首をかしげながら車内に入った妻は、座席で寝入っている夫を発見、肩を叩いた。その瞬間、夫の体はくずおれた。口からアーモンドのような甘い香りを漂わせて。-列車内の死者は無差別殺人の犠姓者か、それとも?著者渾身の長編ミステリー。
竜崎三四郎、自称はみだし刑事ーところがどっこい特別製の45口径拳銃を扱わせては天下一、おまけに男っぷりと気っぷが良く柔道空手の高段者。そんな凄腕野郎が悪のグループ群れる名静市に乗りこんできた。暴力団、密輸屋、暴走族といずれ劣らぬ悪ども相手に鉄拳が唸り拳銃が火を噴く。ただし泣き所もあって女と酒にはメチャ弱い、変ったヤツ!
ラシーク対アリサ。あの壮絶な戦いから、およそ1000年の月日が流れた。その後アルゴル太陽系はさらに発展し続け、巨大なコンピュータ・マザーブレインが総ての星を管理し、平和で豊かな暮らしを築き上げるにいたった。だが、ある日、アルゴル太陽系に不気味な怪物が出現した。バイオモンスター。バイオシステムの作り出した悪性動物だ。ヤツらは、平和な暮らしに慣れきった人々を襲い始めた!総督から、バイオモンスターの秘密を探るように命令されたユーシスは、妹ネイを連れてバイオシステムへと旅出った!!
オレは流れ者の魔物バスター。名前はない。ただ、ひとはオレをファイターとよぶ。ある日のことだ。ここコーネリア国をおさめるアルデ4世からお呼びがかかった。「この世の魔王ブレードひきいる魔物どもに、おびやかされている。世界に平和をとりもどすために、コーネリアの古い伝説に語られる、悪しきものを打ち倒すという破邪の宝玉ーアライの玉をさがしてもらえないだろうか」魔物どもには、いろいろ借りもあることだし、よろこんでひきうけることにした。