1989年発売
甲賀の忍者・猿飛佐助は、主人・真田幸村を敬愛していた。その幸村は、豊臣秀頼の要請に応じ関東方との合戦に備える大阪城に入った。しかし盟主秀頼はいまだ若年、大阪方の人心も腐敗しきっていた。城内は関東方の放った間者が跳梁し、幸村が狙撃され、秀頼も毒殺されんとした。佐助の働きで辛じてこれを防ぎ、野戦を主張する幸村が城外に出丸を急造し終えるころ、冬の陣が始まった。長篇歴史ロマン。
10歳で丁稚奉公に出た小右衛門、学問好きが災いして店を追い出され、途方に暮れているところを大坂・船場の両替商・升屋の二代目に拾われた。そして十余年の後。失意の底で逝った二代目に、升屋の後事を託された小右衛門は、お店の苦境脱出に米どころ奥州・仙台に着眼、だが伊達藩は上方商人の嫌われ者で、小右衛門の苦闘が始まった…。大坂屈指の豪商にのし上った男の生涯を活写する傑作時代長篇。
血のしたたる殺人料理を16種類とり揃えました。生のまま、生焼けのレア、それともよく火の通ったウェルダンがお好みですか。味つけも父殺し、母殺し、夫殺し、兄弟殺し、幼児殺しと多種多彩、殺しの万華鏡の観があります。ホラーの名シェフ、ロバート・ブロックが腕をふるった恐怖のメニューをじっくり愉しんでください。
プルースト、ワイルド、ミュシャ…。あらゆる芸術家を魅了した大女優サラ・ベルナール。彼女は「神秘の窓」と謳われたひとみと「黄金の声」で、「フェードル」から「椿姫」まであらゆる役をこなし、世紀末からベル・エポックまで長期にわたり、世界的な名声を欲しいままにした。人並みはずれた豪奢な生活、そして恋愛遍歴-スキャンダラスな伝説を身にまとい、不幸なき栄光の道をひたすら走りつづけた彼女の本当の素顔とは?サラの華麗な生涯にサガンの熱い夢を託した、架空の往復書簡による伝記ロマン。
日光の山並みが青空に浮き上がる北関東の城下町。鬼塚探偵社に、一人の若者がある女性の捜索依頼にきた。その女性・徳大寺しおりを捜索するうちに、鬼塚はいくつかの過去の事件につきあたる。三人の若い男女の蒸発事件、そして文学賞受賞作家の謎…。やがて、凍てついた雑木林から白骨化した一つの遺体が発見される。若者は、なぜ“冬の旅”を続けたのだろうかー?私立探偵・鬼塚渉の推理がさえる長篇サスペンス。
湘南、葉山の私立高校にとんでもないセンセーがやってきた。早川美久、ハワイ帰りの22歳。ホノルル・シャミネード音楽院で、ベートベンからマイケル・ジャクソンまで勉強。できる楽器はピアノとロックンロール・ギター。特技は実戦カラテ!-表向きは音楽の特別講師。ところが実体はなんと番長グループ壊滅の使者だった!?文庫書下ろし。
ハワイでしがない探偵稼業をつづける京平は、訳ありで当分日本へは帰れない。今日もワイキキ・ビーチをさまよううち、事件がやってきた。依頼人はとびきりカワイイ娘。4年前、取材中に死んだ記者の兄について調べてくれという。ハワイの観光地、食べ物などの情報を織り交ぜながら、新鋭が書き下ろした傑作探偵物語。
真田幸村など大坂方の凄まじい戦いぶりに、一時は東軍の本陣も総くずれとみえた。しかし老獪な家康は、淀君をまどわして城内の約束をみだす。落城に臨んだ猿飛佐助は、ある秘密を抱いて脱出を試みた。完結編!長編時代小説。
カリフォルニア州東部を南北に連なるシエラネバダ山脈の山中で発見された墜落機。機内にはメキシコから密輸された2トンものマリファナが積まれていた。山に魅せられ、ザイル一本に生命を託してきたクライマーたちが手にする思わぬ大金。だが、そこに死んだはずのパイロットが現われ、グループのメンバーが次々と不審な死を…。クライマーのメッカ、ヨセミテ国立公園を舞台に、男たちの欲望と破局を描く傑作山岳サスペンス!
「なんですって?ちょっと待ってよ。『売春婦が経済に及ぼす影響』を研究しているあなたがどうして私にインタビューに来たの?」ひょんなことから、ダーシーは売春婦と間違われ、とんだ会社調査の対象にされてしまった。しかし、彼女はこの突然の訪問者に頭にきながらも、心は惹かれてゆくのだった。黒い髪にがっちりした体、社会学の教授だというフィリップ・マニング。奇妙な出逢いが2人のハートに火をつけた。
アマンダは父の遺産のゲストハウスを売り払うために、ウィスコンシンのジュネーブ湖を訪れた。田舎なんか大嫌い。早いところ売り払ってワシントンに戻りたい。彼女は「売り家」の立て礼をにらみながらゲストハウスの扉を開けた。しかし出迎えたのは、管理人でも掃除婦でもなく、洗いざらしのジーンズに白いニットシャツを着た肩幅の広いセクシーな男だった。男の名はリチャード。アーティストにして詩人、そして恋の達人と本人は言うけれど…。
極秘の任務を終えてコーザンに着いたドロゴはロープをつたって家を抜け出そうとしている娘、セクラを手助けすることになった。そして一緒に町に出かけるが、暴動に巻き込まれ、ドロゴはセクラを家に連れ帰った。一夜明け、革命が起きたことを知ったセクラは絶対に家に帰れないと言う。セクラはコーザンの王女だったのだ。
若き県議鳥原十三郎は代議士への野望に燃え、県政派閥を転々、派閥のボスが急逝するやその地盤を引き継ぎ、念頭の衆院選に打って出た、最激数区にあって、青年層の支持が弱いと知った鳥原は、地元の青年団長池中に手持ちの若い女を抱かせて懐柔、それが効を奏してついに最下位ながら初当選を果たした。意気揚々と国会の赤絨毯を踏んだ鳥原は、選挙中に関係を結んだ美しい人妻静代を愛人兼秘書にして東京生活を始めるが、そこに思わぬ落し穴が待ちかまえていた…。人気絶頂の著者が、自らの政界体験をもとに、権力と美女を追い求める代議士の姿を赤裸々に描く異色政界サスペンスの傑作!
暴力団市富士組組長・市村の女となった光枝は“姐さん”として生きるべく、秘所に蛇の刺青を彫った。それが“凶運の女”の誕生だった。縄張りを狙う新興の堂政一家との血で血を洗う斗い。やがて抗争は全面戦争へ突入した。ヒットマンに仕立てられた男と、掟を破った男と女への凄惨なリンチ…。暴力によってのみ繁殖し、また滅亡する組織とその興亡。女を犠牲にして悪を生きる男たちと、その男を愛してしまった女の凄まじい姿を、綿密な取材をもとに描く著者初のバイオレンス・ロマンの傑作!