1989年発売
エスキモーとヨーロッパ人捕鯨船員の共同生活が徐々に破局へと至る物語を通して、19世紀末エスキモーの独自な社会構造を、勇壮な狩猟生活を、おおらかな性を、詩情豊かに生き生きと描き切る。
エリック・リーベンー天才的な遺伝子工学者。彼はその才能を武器にベンチャー・ビジネスを成功させ、莫大な財を築いていたが、別居中の妻レイチエルと口論した直後、自動車にはねられて即死した。しかし、奇怪なことに彼の死体が、市の死体公示所から忽然と消失した。この報せをうけたレイチェルはあることに思い当たったが、それはあまりにも恐ろしい想像だった。信頼する恋人ベンとともに極秘の調査を開始したレイチェルの前に、謎の追手が立ちふさがる。一方、エリックが手がけていたプロジェクト〈ワイルドカード〉の機密流出を恐れた防衛保安情報局の高官アンスン・シャープも二人に対する追跡を開始した。〈ワイルドカード〉とはいったい何なのか?エリックになにがおこったのか?日本でも人気集中、モダンホラーの鬼才クーンツが放つ、超大型サスペンス。
不老不死を実現する野望に取りつかれた天才的遺伝子工学者、エリック・リーベンは自らに施した遺伝子工学的処置〈ワイルドカード〉によって死から蘇った。しかしその副作用は激烈だった。暴走する遺伝子は彼を怪物へと変容させた。額に角が盛り上がり、尻尾が生え、体に鱗が生じた。彼は地上に現れたこともない爬虫類の怪物へと変容していったのだ。だが、エリックは怪物と化しながらも、自分から離れていった妻への復讐の念に燃え、レイチェルを追う。また、情報局の高官シャープ、そして正義派の警官たちが三つ巴、四つ巴となって彼らを追いつづける。奸計により、指名手配されラスベカズへ向かって砂漠を移動するレイチェルに、もはや人間の姿をとどめなくなったエリックが襲いかかったー。鬼才クーンツがくりだすストーリーは最後まであなたを絶対に離さない。
津村和美は、色白で目鼻立ちのはっきりした美少女。和美が高校三年になった春、母親の綾子が結婚した。相手は東京下町の成金。私生児として母娘二人きりで生きてきた和美は、幸福の到来を予感した。だが。和美の初々しい体に這いまわる義父の視線と、次第にエスカレートする行動に和美は当惑する。そして、ある日ついに和美は義父に…。
プロ野球開幕を直前に控えた、桜の花散る春のこと。ナカシマ・カズシゲと由紀子の仲睦まじい若夫婦はヘンテコな殺人事件に巻き込まれた。春先から縁起が悪いとゲンナリする由紀子。もしかして、またカズシゲさんの命が狙われているのかも…。その予感は見事的中し、なんと、カズシゲが何者かに誘拐されてしまった。よ〜し、夫を守るのは妻の役目とばかり、由紀子は健気な少女探偵に大変身!愛するダンナ様のため自ら誘拐の調査に乗り出した…。
鋼鉄のように衰えを知らぬ若々しい肉棒を肉襞の迫間に差し込まれ、快楽の深淵をさまよう女たち。美貌のコピーライターはうごめく腟襞に男の熱い樹液を受けとめ、歓喜の声をあげる。ファッション雑誌の女編集者は、ぬらぬらと光る亀頭を貧り自ら腰を打ちすえ絶頂へと昇りつめる。淫らな女たちの性の饗宴が、今、幕をあけた。
人気急上昇中の美人TVキャスター神野結花。男を知らぬ躯が放つ甘い香は淫獣たちを呼び寄せる。羞昼の蜜襞を押し開かれ、初めて迎えた肉の凶器の蹂躪にあられもない欹歔を漏らす。生番組の最中に秘肉に埋め込まれた筒具が妖しく蠢きはじめたときカメラの前で顔を桃色に染めながら美人TVキャスターは、己れが淫牝と化したことを知る…。
群雄割拠から統一の時代へ。武略から政略の時代へ。毛利元就の三男隆景は、強敵尼子大友大内との合戦に明け暮れの中で「歴史の底流を見抜く哲人武将」に成長する。本能寺の変-中国大返しの秀吉軍追撃を制止した隆景は、五大老に選ばれ毛利一門は全盛期に-。占領地の民に「神の軍」としたわれた治政の手法は?50倍の明の大軍を撃破したヘキテイカンの鬼謀。毛利乗っ取りをはかる秀吉との外交戦。大転換の時代を敗れることを知らずに駆け抜けた名将の生きざまに奇才の筆が迫る。
16世紀フランス。新教と旧教が激しくせめぎあう覇権争いの時代。この歴史の舞台で、人びとはいかなる青春を生き、どのような生を閉じたか。嵐は、ピレネーの小国に育つ少年アンリを巻きこんで、首都パリへと連れさる。ルーヴル宮を背景に、アンリとヴァロワの王女マルゴをのせて、愛と政略と野望の人間ドラマは展開する。一方に『エセー』の賢人モンテーニュとアンリの出会いを配しつつ、苛酷な宗教戦争の真只中を生き抜いたアンリ四世の躍動する青春をダイナミックに描きだす歴史超大作。
筑豊人には百年の間、石炭採掘によって日本経済を支えたという誇りがある。その誇りこそが、雑草のように逞しい根強さとなって、若者達に伝承されなければならない無形の遣産だと思う。筑豊炭田に奏でる青春讃歌。
交通事故で、たったひとりの弟を失い悲嘆に沈む天涯孤独な美歩。彼女の悲哀のプロセスを見守る桂田にも、娘貴和を同じ事故で失った深い悲しみと、妻の狂気の苦悩があった…。励まし、すがる二人の間に生れた愛が、美歩を立ち直らせようとする時、桂田は死の周辺にむらがる黒い影を感じ、密かに追い続ける。
カリフォルニア州サリーナスにほど近い港町キャナリー・ロウで、ある日突飛なパーティーが催される。-皆から「先生」と呼ばれ尊敬されている生物学者、ビジネスにはうるさい雑貨商リー・チョン、女主人ドーラの経営する売春宿の女たち、「ドヤ御殿」と名づけられた小屋に寝泊りする浮浪者たちが巻き起す笑いと涙の物語。
人生というばくちに敗れ、はずれ者として死んでゆく男虫喰仙次に対する深い親愛と共感を綴る表題作ほか、入学試験に失敗し挫折してゆく叔父〈御年さん〉や元海軍司令の父に寄せる想いを描く作品など7篇を収録。