1989年発売
警視庁のエリート刑事・水上夏樹は、カクテル作りが趣味という独身貴族だ。そんな彼のもとに、レイプ殺人事件発生の報が入ったのは、いきつけの酒場でたまたま美人キャスターの西光寺綾子と知り合った時だった。折りしも、白いソアラの美女ばかりを狙うレイプ事件が頻発していた。水上は犯人の手口を分析、囮を使って間もなく一連の事件の容疑者を上げた。だが、問題はそれからだった。男は犯行を全面否認したうえ、冤罪事件番組の担当である綾子に保護を求めたのだ。惚れた女と対決するハメになった水上に、次いで男の自殺の知らせが入った…。
新米中学校教師の浅太郎が深夜のドライブ中に拾った、ネグリジェ1枚の美少女。触れなば落ちんという風情についフラフラとなった浅太郎。少女を車の中に連れこんでヨロシクやったまではよかったが、実はその少女が、自分の教え子だったから大変。弱味を握られた浅太郎は、少女の色仕掛に翻弄されて…。小悪魔のような少女たちの奔放な性を描く傑作官能ロマン。
その建物がまだホテルだったころの名残で「夕陽ホテル」と呼ばれる小さなマンション。そこの4階の住人たちに、ある日、オーナーからパーティの招待状が届けられた。ほとんどの住人が出席してささやかな祝宴は開かれたが、その日を境にして、それまでお互いの生活にまったく無関心だった住人たちの関係に、小さな亀裂が生じていった…。都会人の孤独を浮き彫りにする、傑作長篇ロマン。
横浜のマンションで大学浪人生がガス自殺を図った。その数日後、浪人生の保険を査定していた岩佐が、何者かに殺されたうえに住まいを放火された。この火災は、さらに隣室の主婦をも巻き込み、彼女は重傷を負ってしまう。毎朝新聞の梶三郎は、避難梯子の欠陥によって主婦が怪我をした事に注目し取材を開始するが、そこには岩佐殺害に関わる謎と意外な人間関係が浮び上ってきた。
焼却炉の中から死体で発見された女が残した1枚の手紙。そこから判明した消防士・有本の殺人動機。だが有本は、湘南で起きたLPG運搬車爆発事故で多くの人命を救い、現場に居合わせた梶の記事もあいまって、一躍英雄として注目される。捜査陣の困惑をよそに続く“火”の惨劇と連続殺人。狂気の炎はさまざまな人間の愛憎を巻き込み、事件はクライマックスへと燃えあがる。大河ミステリー第2部完結篇。
南国生れの小麦色の肌。その若々しい健康な肉体を狙う野獣たち。磨き上げた肉体を武器に野望と欲望の渦巻くファッション業界にのしあがろうとする麻紀。ようやくたどりついた専務秘書その華麗な響きとは裏腹の欲望処理の牝奴隷。花淫に専務のペニスを口喉にカメラマンのペニスを男の体液にまみれながら終わりのない凌辱の饗宴に汚辱はエクスタシーへと昇華する。
ふとしたきっかけで56才の女性に、65才の男がせっせと恋文を送り始める。男側の恋文だけで成り立つこの小説は、デリベス得意のモノローグもので新小説の萌芽といわれる「マリオとの5時間」の延長線上にある。ユーモアとアイロニーに満ちたスペインの書簡小説。
四国の名家に生まれ、東京の女学校に学んだ百合子。だが、大正14年雑誌「文芸日本」を興こした進藤延との結婚は破局に終わり、やむを得ず3人の子供を両親に預け、一人東京で暮らしていく。転々と職を変え、やがて蒲田の大部屋女優となるが、ついに我が子と気持ちを通じ合えぬまま、一人孤独のうちに生涯を閉じる。死後、長男の著者の手に渡った遺品の日記からは、我が子を手放さざるを得なかった母親の切実な叫びが聞こえてくる。-あたしは愛したい-この言葉を残して逝った母親の姿を綴った一代記である。
フィリッピンの古老がいい伝える。男を狂わせ女体を悦楽に落とす幻の魔草があるという。この妖草を求めて、現代になお残る石器時代人が守るテリトリーへ、1人の日本人が潜入した。カカリ族の目を盗んで採取された妖草は、密かに日本へ運ばれ、東京湾沖の埋め立て地へ移植された。妖草は男たちの欲望をかきたて、彼らの血と命を求めた。海と空を舞台に繰りひろげられるネオサスペンスの書き下ろし長編。
同じことをしても、夫とは違う。夫なら、もう少し大胆に吸い、あるいは指を差し入れたり、アヌスにまで舌を這わせる。しかし、新鮮な感じに酔って、彼女は増々大胆なポーズをとっていた…。濡れて悶えて、一瞬の悦楽をむさぼりつくす、様々な不倫の関係を赤裸々に描く傑作群。