1990年5月1日発売
神部界の救世主・ワタルは、創界山での厳しい戦いの果て、神部界に平和を取りもどした。無事、自分の家にもどった翌朝、突然オババたちがワタルの部屋になだれこんできた。新しい危機だ。オババによると創界山の頂点に祭られていた「界破の石」が、何者かによって奮われたのだという。「界破の石」は、人間界を一瞬にして消滅させるほどの魔力を秘めているのだ。これは人間界が絶滅するかどうかの重大事。人々を救うには、ドアクダー一味から「界破の石」を取り返すしかない。ワタルはシバラクと共に再び創界山へ旅立った。
作戦名『大天使』。目標は北米大陸。命令書を見たソ連原潜『レッドスター』の艦長コルサコフは、北大西洋の海底で目を疑った。自分に人類破滅の引金を引けというのか。それを救う道はただ一つ、対峙する米潜水艦『インデペンデンス』と協力することだった。そのころ、異常に気づいたクレムリンは『レッドスター』の撃沈を目論んでいた。懸命の努力を続けるコルサコフの頭上に、いまた敵となったソ連艦隊が忍び寄る…。
〈ゼブラ・ワン、ゼブラ・ツー〉この謎の暗号名を情報提供者の口から聞いた直後、モスクワ駐在のCIA局員マカリスターはKGBに捕えられた。そして拷問を受けるが、不可解なことに突然本国へ送還される。が、空港に降り立った瞬間から彼を待ち受けるのは、意外にも米ソ双方の暗殺集団の罠。決死の逃亡を開始した彼が生き延びる途はただひとつ、〈ゼブラ〉の正体をあばくことだけだった。謎とアクションが横溢するスパイ小説巨篇。
舞台は1934年。農業集団化、工業化を強行しながら、スターリンは党内勢力の一掃に乗り出そうとしていた。主人公サーシャは、暗黒に向かいつつある時代のなかで、他の若者となんら変わらぬ23歳の青春をおくる学生だった。しかし、大粛清の波は、サーシャとともにモスクワのアパート街に生きる若者たちを次つぎに呑みこんでいく。無数の人びとの生死をその手に握る独裁者とその体制下の生が鮮かに描かれる。
全体主義という20世紀の暗黒をきずいたスターリンとはイかなる人物だったのか?またその時代に青春を迎えた若者たちの運命は?粛清下いわれなき罪状でシベリア流刑となり、死線をくぐり抜けてきた青年が、20年の歳月をかけて、スターリンをなま身のままに、その心理と感情の襞を探り、文学をもってしかなし得なかった〈人間スターリン〉の再現を果した。
東京午前4時。始発直前の地下鉄表参道駅の線路上で、カラスがついばむ男の刺殺体が発見された。シャッターに閉ざされた駅構内は、前夜終電後から完全密室だった。営団広報課員藤林は、構内に入り込んで死体に群がり、忽然と消えたカラスに着目し、解決の糸口をつかんだかにみえた。だが、地下鉄日本橋駅で起った第2の殺人は…。地下鉄ミステリーシリーズの第1弾。
男と女の微妙な感情のすれちがいを淡い筆づかいで切なく描き上げた表題作「クリスマス・ソング」、親子ほども齢のちがう美貌でわがままな妻にふりまわされる六十男の悲哀(「軽騎兵少佐」)、娘の婚約者に会う父親の右往左往するさまをユーモラスに描いた逸品「咲け、美しきばら」など10篇を収録。
時は西暦2002年、かつて大英博物館だった「神殿」で分析係と呼ばれる神官たちが死者の霊と交信している。ゲイブリエラ・サンプターもそうした亡霊の一人だった。ゲイブリエラの語る《人生のルール》に興味を抱いた「わたし」は、次第に彼女に心魅かれていく。現代イギリス屈指の人気作家が奇想天外な着想で描く、近未来心理小説。
エロスと暴力で燃える女たちの世界。この愉快で、思いがけない、セクシーな小説は、ロウアー・イーストサイドの商店や、アングラ・クラブや、レズビアンのサブ・カルチャーに案内してくれる。アメリカ図書連盟ゲイ&レズビアン書籍賞受賞作。
あなたの旅立ち(ダイエット)は、あなたの冷蔵庫のとびらから始まります。他に「エンプティ」「エスケイプ」の2編を収録。コピーライタこばやしユカが生みだした、はじめてで不思議なダイエット小説。
ペレストロイカのソ連の素顔。伝統の都レニングラードの「海軍の家」と北極海を臨む軍港都市ムルマンスク。両市を舞台に国家と愛の狭間で揺れる主人公ネリー。これは著者の実体験をもとに描かれた波瀾万丈の物語である。
豊かな想像力が造る、魅力あふれる夢とロマンの代表作。歴史・時代小説の充実の軸となる巨匠・新鋭のヴァラエティに富んだ作品群を収録した年度版アンソロジー。