1990年6月1日発売
日本を深く愛しつづけたラフカディオ・ハーン(小泉八雲)。1890年に来日以来、日本の物語や民間信仰、風習等を通して、西洋至上主義に捉われることなく日本を理解しようと務め、数多くの秀れた作品を残した。本巻は八雲の作品の中でも「耳なし芳一」「轆轤首」「雪女」等、一般に親しまれている怪談・奇談42篇を、気鋭のハーン研究者達の新訳で収録。さらに巻末にこれらの原拠30篇も翻刻した。
86のバストを震わせて竜子は怒った。恋人春彦と美人美容師の密会写真を前にして、「ヘアデザイナーの取材だなんて大ウソなのね。」職権乱用なんのその、新宿中央署の総力あげて二人をマーク。ところが春彦誘拐を告げる電話がとび込んで。春彦が掴んだ美容界の黒い陰謀とは?ご存知ボディコン竜子の名推理。
「頼子が死んだ。」十七歳になったばかりのひとり娘を殺された父親の手記の一行だ。手記は、通り魔殺人で片づけようとする警察に疑念を抱いた父親の孤独な推理行と、遂に犯人をつきとめ相手を刺殺、自らも死を迎えるころで終わっている。だが本当の物語はこの手記を名探偵・法月綸太郎が読んだ時に始まるのだ。あなたが手記に抱く違和感が謎を解く鍵だ。
初恋の人・美佐子に別れをつげ、和倉勇作は苦労を重ねて警察官となった。その勇作の前に殺人容疑者として現われたのは、学生時代どうしても勝てなかった宿敵の瓜生晃彦だった。しかも美佐子の夫として。宿命を背負った二人の対決が極限に達したとき語られる、ただ「ひと言」の衝撃。感動の名作、ここに誕生。
うりふたつの人間ドッペルゲンガー(D)の急激な出現!人類は滅びの道を歩むのか、それとも逆にD現象は地球に進化をもたらすのか?また満月に大量発生するわけは?そして謎の美少女椎名恵の正体は?すべての秘密を明らかにする驚愕の総完結編。日本のSF史上に新時代を開いた記念碑的巨編ついに完成。
警備会社に転職した江原光彦は、派遣先のスーパーできれいな顔をした女が万引するのをつかまえた。正式の取調室をいやがる女を江原はラブホテルへ連れ込んだ。泣きながらかぶりを振る女に江原は強引に挑みかかった。悪徳ガードマンの赤裸な日常をあますところなく描いたピカレスクロマンの長編傑作。
第2次大戦の終了まぎわ、日本軍によってマレーシアの奥地に秘匿された時価数百億円の財宝探しが計画された。チームのメンバーに、美貌の女・須賀涼子、ボディガード役に、元情報工作員で射撃の名手・原卓二。そして謎の現地組織。恋と欲望の修羅場の勝者は誰か?著者渾身の長編冒険バードボイルド。
「メキシコ沿岸でソ連原潜が事故」というベタ記事を追った商社マン今田総吉は、メキシコ政府が秘かに進める天然ガス開発計画を察知。プラント受注に動きだした途端、米国メジャーの不可解に介入が強まり、イスラム過激派はサウジ油田を爆破する。複雑な世界エネルギー情勢なのか、熾烈をきわめるプラント争奪戦の内幕を描いた経済情報小説。
港で、行き場を失った怪物ー二度と素晴らしいスピードでアイスバーンを滑降することも出来なくなった一台のボブスレーが放置されているのを見つけた歯科医の青年は、医院の開業資金をつぎ込み、そこにカフェ・レストラン〈ボブスレー〉を開店する。青春への郷愁をドラマチックに描いた秀作四編を収録。
六大学野球の時、彼はショート・ストッパーで、二番を打っていた。別れた妻と暮らす九才の息子が、今年リトル・リーグに入ったので、グローヴを贈った。彼の選んだポジションは、父親と同じくショート。思ったよは小さなその手を握りしめ、そして別れた…。かろやかでみずみずしい世界を描き出した短篇集。
あくまで私小説に徹し、自己の真実を徹底して表現し、事実の奥底にある非現実の世界にまで探索を深め、人間の内面・外界の全域を含み込む、新境地を拓いた、“私”の求道者・藤枝静男の「私小説」を超えた独自世界。芸術選奨『空気頭』、谷崎賞『田紳有楽』両受賞作を収録。
琵琶湖のほとりに嫁いで2年、家の重みと夫の背信から、子を連れ東京四谷へ帰る。心に残る“湖の美”の再現を夢み、新しい愛につつまれながら、染織の世界に生きる。精魂をこめて格調高く織りあげた傑作長篇。
キャッ!大学の学食で、エリカは手にした盆を思わずとり落した。一瞬、憎しみがこめられた強烈な「力」を感じたからだ。そして、プレイボーイと評判の折田という学生が「胸が…苦しい」といって息絶えた。殺したいほど憎い、と思った人間を念力で殺す力を持って生まれてしまった少女の運命をエリカとクロロックは救おうとするが…。
そもそもの、事件の起こりは薫の手紙。ワインレッドの封筒には、恐ろしく不愛想な招待状が入っていた。さっそく薫の家を訪ねてみるとーカーク、美女丸、シャルル、そしてなんと和矢までーみんなが笑顔でむかえてくれたのよ。うっ、感激。でも、突然、シャンデリアの明かりが消えたと思ったら…。90年夏公開予定の、アニメ映画のために書かれたマリナ・スペシャル版、ついに登場っ!