1990年8月1日発売
地下室の扉が再び開かれるのは72時間後。人工的に“孤島”を作り、その中でミステリー講座を開催する。参加者は立案者の推理作家と若い教え子たち7人。ところが初日の夜、推理作家は死体となって発見され、続いて第2の殺人が。さらに人間消失。新トリック・メーカーが読者にあえて挑戦する不可能犯罪の極致。
夜の闇が忍び寄って来る。廃てられた大きな館に続く荒れた道を、冷たい夜風が吹き抜けて行った。館は人気もなく、すっかり荒れ、深い闇が中をおおっていた。闇の中を老婆がひとり、物悲しい子守り歌を静かに口ずさみながら歩いていく。今は亡き子供たちに、ずっと昔歌ってきかせた歌ー悲しく美しいJ・ハーバートの怪奇スリラーの傑作。
青春の時間は自分の手で廻したい。そう決心した僕は、’60年代最後の年、たった一人東へ飛ぶ。ハワイから本土、大陸を横切ってNYへ。そこには子供のころ、ベースの内側にしかなかったアメリカがあった。そして病める素顔も。“青春の光と影”をBGMに、光り輝やく国アメリカとの対決を鋭い感性で描く傑作。
京都の茶道家元の跡取り息子でジャズカルテットでベースを弾いている遠田宗春は、日米委員会の2人の米側メンバーを自らの茶室に招待した。が、その茶会に「バール教団」と称する国際テロ組織の3人の女テロリストが潜入するという情報が流れた。遠田ら超人カルテットは彼女らの拳法を粉砕できるか。
巨額な借金と経営乗っとりの大ピンチを救った、野性あふれる参謀の戦略とは何か。その男・広瀬宰平は、住友の礎である別子銅山を守りぬくため、幕府を相手に一歩も引けをとらぬかけひきを展開する。内にむかっては膨大な金利支払いを解決するため、大胆な経営大制を敷く。危急存亡に対処した手腕を描く。
幼なき日の思い出も、恋も、すべてが夏の日の煌く海辺から始まるー。一人の男が、スポーツに夢中になったわけ、初めて女性を知ったときの心理、そしていま、家庭の人となるまでの長い道程で味わった喜びと悩み。人生の機微・哀歓を瑞々しく綴ったショーの秀作長編を、作家・常盤新平の清新な訳で贈る。
室町期、西日本切っての勢力を誇る守護大名大内氏の三十一代当主義隆はとりわけ貴族趣味が強く、武力強化よりも京都文化の摂取に熱中する。山口を京都の街並みに模し、文化人を招いては宴を催した。その結果、家臣間に亀裂を生み、やがては救いがたい破滅への道をたどることになるが…。大内氏の栄光と失墜を活写する長編。
激動する1990年、世界経済は恐慌へ突入。日本は未曽有の危機を迎えた。サバイバリスト鈴原冬二をカリスマとする政治結社「狩猟社」のもとには、日本を代表する学者、官僚、そしてテロリストが結集。人々は彼らをファシストと呼んだが…。これはかつてない規模で描かれた衝撃の政治経済小説である。
世界恐慌を迎えた1990年、世界には奇妙な動きが相次いだ。日本でもパニックとクーデターが誘発する。暗躍する巨大金融企業集団「ザ・セブン」に全面対決を挑む政治結社「狩猟社」が企てたのだ。若きカリスマ、トージの意識が日本を動かし始める。この危険な小説に描かれた世界はすでに現実である。
M農地開発公社嘱託として満州に赴いた木川正介。喘息と神経痛をかかえ、戦争末期の酷寒の中で、友情と酒を味方に人生の闘いをはじめる。庶民生活の中の「小さくて大きな真実」。“日本の親爺”木山捷平が、暖かく、飄逸味溢れる絶妙の語りくちで、満州での体験を私小説世界に結晶させた。芸術選奨受賞作。
星子、ハワイで結婚式、ついにやったか宙太サン、と思いきや、ハネムーンに出かけたカップルが現地で次々と姿をくらますという怪事件。星子と宙太が、結婚カップルになりすまして、オトリ捜査ってわけ。星子、不勤慎にも、プレスリーのようなステキでセクシャルな男の子がいるかもーなんて思って、出かけたところが、またまた凶悪事件発生。おまけに不死鳥まで登場してきちゃって…。
「アシラスは、わたくしのことをどう思っているの?マルタは真剣に恋をすることがあるのだろうか?」そう考えると、クレオパトラの胸は騒ぐのだった。どちらか一人を選ばなければならない日が、迫っているような気がする。そして、彼女の前に現れた第三の男は、ローマの英雄・カエサルだった。一方、アシラスは、自らの出生の秘密を探ろうと、今は滅びたキルマ王国へと旅立つが…。
10年前に引っ越していった幼馴染みのタクマくんが、あたしの高校に転校してきた。ピアノがバリバリに弾ける彼はバンドを結成しようと人集めに動き回り、あたしにも声をかけてくれた。彼と一緒にいたいという一心で、歌には全然自信のないあたしだけどヴォーカルとしてバンドに参加。だけどタクマくん以外のメンバーは、あたしと似たりよったりの実力。このバンド、どうなることやら…。
子供子供子供子供…チカの頭の中で、今さっき言われた言葉がこだましていた。数年前から自分でも気にしていた童顔+幼児体型コンプレックスをものの見事に、しかも密かに思いよせている同級生のユータローから指摘されてしまったのだ。その夜、チカは、本に載っていた『魔鏡願望達成術』とやらを面白半分でやってみた。たわいもな願い事が三つ。だがそれが世にも恐ろしい事態に発展して。
親友のマロンの家へお泊まり会で行った時、ふとしたことで、あたし(聖純子)は、村雨くんと知り合った。彼って超ハンサム、そして偶然にも、同じ高校に通ってた。でもマロンは、彼は札付きのワルだから付き合っちゃダメって言う。だけど、あたしにはどうしてもそんなふうに思えない。そんなある日、もの凄い美少女が転校して来た。紫野原美桜さん…。男子も女子も、もう、大騒ぎ。
あたしは恵、12歳、ロビンソン学園の最年長。この学園は、理由があって両親と住めなかったり、両親がいなかったりする子供たちの施設だ。これまで面倒をみてくれたロビンソンおばあちゃんが亡くなった。代わりにやってきたのは、黒沢さんという40くらいの女の人。これまでと違って行儀作法や規律に厳しいので、あたしはことごとく反発を始めた。どんな意地悪にも、あたしは負けない。
夢は(女子剣道日本一!)の千倉雛子。三歳から剣道できたえた元気少女だ。でも「知性・母性・清純」がモットーの名門、香蘭女子高へ入学しちゃったので、困ったッ。思いあまって、修練館男子高の剣道部へ合同練習を申しこんだけど、この剣道部ときたら部員はたったの4人。しかも天野章吾って主将が顔は雛子好みだが口の悪いヤツで…。夢と恋ひとすじにがんばる少女の青春記。
風吹きすさぶペルーの高山地帯。「狼」と呼ばれ、ゲリラの指導者となり、村の守護神として尊敬を集めている水野竜一を村沢がつけ狙う。彼は殺すべきではなかった男を射殺し、その心の傷をいやすべく傭兵となり、ペルーをさまよう元刑事だった。村沢は「狼」の村の攻撃を計画、あらゆる手段をつかって「狼」をおびき寄せようとするが…。