1990年8月発売
戦争が終った4年目の夏-。原因不明の発熱と頭痛に悩まされている丈太郎は、彼の最後となるかも知れない15歳の夏を母の故郷の家の土蔵で送っていた。ある日のこと、土蔵の窓から外を見ていた丈太郎はひとりの少女を見かける。その瞬間、彼は彼女こそ自分が求めていた夢であることを直感する。しかし、突然そこにあり得べからざる光景が現われた。少女は成熟し、そばに男がい、辺りの風景は一変している…。(「幻窓の夏」)。7つの星にも似て輝く好短篇集。
新宿歌舞伎町の高級クラブの美人ホステス星合美奈子が殺された。歌舞伎町の揉め事相談屋・草薙凰介の恋人だった女だ。事件の鍵を握るクラブのママ九紋由妃子を草薙は追いつめたが、寸前でその女もまた何者かによって殺害されてしまう。そして、連続美女殺人事件の背後には恐るべき国際犯罪の秘密が潜んでいた…。巨悪に敢然と立ち向かう新宿の闘殺屋探偵・草薙凰介の復讐心は猛然と燃え上がる。-権力や悪に抗して生きるスーパー探偵の活躍を通して、大都会の夜に蠢く男女の色と欲、現代風俗の核心に鋭く斬り込む都会派ニュー・バイオレンスの傑作。
世間知らずの母親・香織さんのひとこえであたし、海の見える、バラ園つきのボロ屋敷に住むハメに…。そこであった和之さんは、とっても鋭くて、どこか透明な眼をしていた。
わたしの家は、七尾谷家っていう旧家。両親が早く亡くなって、広い家には執事の内藤さんと、家事をやってくれる久保田さんとの3人だけ。親友は、妙ちゃんひとり。ある日、あこがれの根岸くんに「七尾谷って、おれのタイプじゃないよ」といわれて大ショック。ところが、死んだおとうさまからの手紙を持った美佐子さんが現われて…。
可愛い顔の少女の左足が、目に見えぬ速さで松野というヤクザの股間に飛んだ。彼は、彼が苦心して改造した自分の大事な肉体が、平たい靴の爪先によって無残にも破壊されたことを知った。玉を埋めこんだ大事ないちもつは、潰れて玉ごと骨盤にめりこみ、彼は絶叫を上げて地面をころげ回った。-盲目の美少女白麗華の恐るべきカンフーが炸裂する。
芸能プロの社長が病院から誘拐され、時をおかずして犯人より、身代金1億円を要求する電話が入った。受け渡し場所は新宿駅、それも急行「アルプス82号」の車内という。周囲は私服警官で蟻の這い出るスキもなく固められた。しかし車内に入るや1億円は忽然と消え失せ、残されていたのは男の生首だった…。残酷な手段に隠された犯人の真の狙いとは?
レバノンの米国大使館員たちがテロリストに誘拐された。やがて人質の幽閉先が衛星写真によって明らかになる。そこはリビアの砂漠の只中だった。付近にソ連軍が守護するウラン濃縮工場があるため、国家レベルでのうかつな軍事行動は取れない。これを知った映画スターのレディングが独自の人質救出計画を立案。彼の依頼を受けた退役陸軍少佐クエイリーはプロフェッショナルの男たちを選りすぐり、ロケ隊を装った救出部隊を組織した。
町かどのポストのそばのミカン箱。ジムじいさんはいつもそこにすわっていました。通りに住む少年デリーは、若い頃船乗りだったジムの、奇想天外な冒険談に胸を躍らせます。-8歳の少年と80歳の老人の間に芽生えた友情を、新鮮な着想とあたたかいユーモアで描いた、楽しく優しい物語。
豊満で美しい継母ルクレシアの入浴姿を天井から覗き見る幼いアルフォンソ。耳や鼻など体のすみずみを磨きあげることに偏執的な喜びを見出している父親リゴベルト。ギリシア悲劇風の物語を織りまぜながら、少年の倒錯した心理、肉欲が昇華したエロス的世界を描く問題作。