1990年発売
貴族のお姫さまなのに意地悪い継母に育てられ、召使い同然、粗末な身なりで一日中縫い物をさせられている、おちくぼ姫と青年貴公子のラブ・ストーリー。千年も昔の日本で書かれた、王朝版シンデレラ物語。
顔見知りの刑事に頼まれ、片山刑事が、赤いスーツの女を尾行して列車に乗り込むと、そこにはなんと、同窓会で旅行に出た妹の晴美、石津刑事、そして名探偵三毛猫ホームズがいた。尾行中の女が酔っぱらいにからまれたところを助けだし、そのまま一行は、温泉で大宴会。その直後、浴場で殺人事件が発生。おかげでゆっくり湯につかる間もないけれど、お馴じみ三人と一匹なら大丈夫!はじける楽しさ、超人気シリーズ第12弾。
三国争闘の状態は、呉の脱落によって蜀・魏決戦の様相をみせはじめる。ともに天下一統の野望に燃える蜀・孔明、魏・司馬懿の両雄が、大軍を擁して五丈原に対決する。知謀のかぎりをつくし、戦なき戦をたたかいつつ日時を過ごすが、ついに運命の八月中秋、稀代の英傑・孔明は、雄図をはたしえないまま陣没。五十四歳の生をおえる。司馬は炎に至って晋を建て、天下統一を実現、さしもの乱世もここに終わりをつげる…。
せつない嫉妬のほむらに身を灼く光乃。辛抱していればいつか花咲く日もくるかもしれない。女中として仕えながら、端麗この上ない歌舞伎役者、のちの十一代目松川玄十郎に寄せる献身と苦悶。
たったひとりで主の子を産んだ光乃。一生かげの人間でいいんです。歌舞伎界不世出の名優、十一代目・松川玄十郎との宿縁に、つつましくも激しく燃え、やがて妻となった60年の忍耐の生涯。
喫茶店で見た油絵は、亡父が宝物にしていて高名画家の作に似ている。そこから回想はわが家の過去にと及ぶ。父の死、経済危機、姉による絵の売却、さらに姉の私生活の秘密とその死。あの絵はわが家の人生のみならず、売られる度に幾多の人生模様を眺めてきた。人生での休息点「時のカフェテラス」を舞台に人間の哀歓を巧みに描く秀作集。
ハワイのホテルのベッドで、女が男の耳に囁いた。「大きな仕事をして、おいしい暮らしをしようよ」女は高級クラブのホステス、男は未収金の取立屋。女が店の金を持ち逃げし、男が女を追いかけるふりをする。ほとぼりがさめた後、女を訪ねた男を待っていた意外な罠…。男と女のだまし合いを描いたハード・バイオレンス・ロマン。
「悪い星の下に生まれた女」-ライが殺された。オレたちのロックバンドナイトメアのグルーピーだった。誰もその本名を、その哀しい過去を知らない。オレはハード・ロックの神話をいくつでも思い出すことができる。シド、ジミ、テリー、ジャニス…。ハード・ロックにハッピー・エンディングは似合わない。
梨羽五月香は虎の化身伝説をもつ台湾・飛虎族と飛騨忍軍末裔の間に生まれた少女である。自衛隊反乱子によって姉を人質にとられ、日本クーデターと台湾革命計画の渦中に巻き込まれる。旧日本軍埋宝をめぐる残雪の旅路は、陰謀の背後に潜む“鎌倉法王”との対決へ。そこには自衛隊特殊部隊が立ちはだかるー。
寝台特急「富士」に乗っている男が、同時刻に他の場所で殺人を犯すことができるだろうか?日向・札幌・東京で起った殺人事件の真犯人を追って、黒江壮、笹谷美緒の探偵コンビが、犯人のめぐらした鉄壁のアリバイ崩しに挑む。宮崎、北海道、東京を結ぶ、傑作トラベル・ミステリー長編。
父をこよなく愛した幼、少年の日々。敗戦により海軍軍人であった父の失職の帰還。失意と家庭の不幸を耐えた父のストイシズム。人間の魂の高貴を平明、粉飾なき文体で描く秀作群。惜しまれて急逝した不朽の文学者魂・阿部昭の世界。
図書館に蔦の緑濃く、懐しく甦る遥かな日々。初恋に心揺らぎ、悩み、ためらいながらひたむきに歩む学生たち。1960年代のはじめ、チャコールグレイの青春を生きた群像を確かな眼と静謐な筆で描く傑作長篇。
祝・ひとり旅シリーズ20作目。いつにもまして大ハリキリでいい男さがしの旅に出ようとして星子のところへ、緊急事態発生のTEL。リツ子の話だと、宙太が結婚して、奥さんとふたり、自由が丘であまーい新婚生活を送っているらしい。あたしというものがありながら、あのペテン師めッー。さっそく、コトの真相をつかむべく、宙太の新婚家庭へ潜入した星子さんだったが…。ユーモア・ミステリー。
渋谷にある都立T高の遠足の日。足のマメをつぶしたノリミは、リョウに人のいない山中につれていかれ、いきなり抱きしめられた。もうだめかもしれない、と思った時ノリミを助けてくれたのは、ノリミの大好きな麦倉先生の友人と名のる男。翌日、藤堂というその男が行方不明になったというニュースが流れノリミはびっくり!崖下に転落して炎上した藤堂の車が発見されたというのだが…。ユーモア・ミステリー。