1990年発売
川越藩の城代家老・早川主馬は、自分の娘を藩主の妄にさし出し、その妄が生んだ千若を藩のあと継ぎにしようと奸計をめぐらせていた。その陰謀を知った井上伝八郎は、悪家老一味に敢然と立ち向かう。剣をとっては無双、言を吐いては剛直な伝八郎にふりかかる、試練のかずかずー。秘剣、剛剣、妖剣入り乱れる痛快時代娯楽の表題作とほか2編を収録。
平和だった忍の国に、ドクロ将軍率いる悪の忍者軍団が現れた。忍の国を創り上げたラホイは、そのドクロ将軍に石にされてしまったのだ。人々が夢も希望も失いかけていたそんな時だった。雲谷斉というベテラン忍者に育てられた主人公風丸は、ドクロ退治の旅に出ることを決意したのだ。しかし、ドクロを倒すには、5つの巻物を手に入れその謎を解き、最強の忍術を身につけなければならなかった。はたして風丸は忍の国の平和をとりもどすことができるのか?仲間と力を合わせ、必ずやドクロ将軍を倒すのだ。
アメリカとソ連首脳の平和サミットが間近に迫る頃、一隻の中国の原子力潜水艦がひそかにハワイ沖へ向けて出発した。彼らを派遣した将官が目論むのは世界制覇。そのためにサミット初日に米ソ両国をミサイル攻撃して第三次大戦を誘発させるのが艦の使命だつた。情報を察知した米海軍は未曽有の破局を回避すべく、ソ連に協力を要請するが…。深海に展開する米・ソ・中原潜の死闘。ハイテクの粋を駆使して描く軍事スリラーの傑作。
戦後の業界再建に一丸となっていたアイチ自動車が突然の経営危機に陥った。社長の佐一郎は全策に奔走するが…。メインバンクたる関西系都銀の冷酷なあしらいの前に万事休した時、支援の手は意外にも…。日銀の底力と人脈の妙、そして一人の女。トヨタの怨念と15年目の復讐をモデルに描く迫真の経済小説。
私立探偵・萩原が中本澄江から依頼された浮気調査は一流会社に勤める夫とバーのママを別れさせるというありきたりの仕事だった。だがその仕事を受けた直後、萩原の行動を阻止すべく暴力団が動き出し、情報提供者が殺される。事件の裏に陰諜の勾いが?萩原は失踪した中本の行方を追うが、その行く手には凶悪な銃口が立ち塞がっていた…。銃撃戦とカーチェイス。ベトナム帰りの私立探偵・萩原大吾の活躍を描くPART1。
「新しい日本国は俺の頭脳から生まれる」。佐賀鍋島藩のどん底武士の家に生まれた新平は、八面六臂、彗星のように維新政府の司法卿に躍り出ると強烈な自信と学才を駆使して僅か一年で法治国家の礎をつくったが-。官僚制国家を目ざす大久保と、自由民権国家を理想として燃える新平の間の亀裂-「維新の志を忘れ腐敗の限りを尽くす巨悪」にただ一人で挑戦した新平は、佐賀の乱の鎮静のために西下、大久保によって首魁にされ、太政官法廷での大論陣の計画も空しく、暗黒裁判で梟首刑に-。現代の病根の源流に肉迫。
生を少しずつ感知できなくなっていく男の不安と哀しみを描いた「天の声」、日常に欠けたささやかな意外性、創造の発見を求めてパイプを削る「サンライズ・クラブ」など、不可解な笑いの黒い影を淡々とした文体で浮き彫りにした最新作品集。
朝鮮戦争勃発の年に大学入学して知り合った在日韓国人と経営学を専攻する主人公との交友を’88年ソウルオリンピックまで、複雑に曲折する祖国への思いと次世代の姿とを描く表題作ほか、変貌する産業社会の無慈悲さに直面して生きる群像を描き出した連作小説集!
恐怖と笑い、幻想とリアリズム、痛烈な諧謔ー。稀有の文章で自らの世界を紡いだ百〓@6BE1文学から、『冥途』『旅順入城式』以降に執筆された短篇小説21篇を初めて1冊にまとめ、現代かなづかいにしたアンソロジー。
フランキーが十二歳の夏は、不思議な奇妙な季節だった。背ばかりひょろひょろ伸びてはいるが、友だちらしい友だちもいない孤独な少女フランキーは、兄が結婚することを聞いてある決心を固める。ひと夏の終わりに、多感な少女期の終わりを象徴的に重ね合わせて描いた、マッカラーズの代表作。待望の新訳。
黒魔術の痕跡が色濃く残る孤島を訪れた14歳の少年マイクと父ロバート。ロバートの友人トニーの娘リザは、島にはまだ魔女がいる、義母ジャナインも魔女だ、という。もちろん大人たちはそんなことは信じない。マイクだって信じたくはなかった。だがやがて本当に恐ろしいことが起り始めて…。本邦初訳の恐怖小説の佳編。
いなかの古い館で暮らすことになった13歳の少女マリア。さびしい森にかこまれたその館では不思議なことがつぎつぎとおこります。額に銀の角をもつ伝説の白馬(ユニコーン)に導かれ、マリアはその謎にいどみますが…。幻想豊かなファンタジーの傑作、待望の復刊。第9回カーネギー賞受賞。
11歳で夭折した天才作家、エドウィン・マルハウス。友人のジェフリー・カートライトは、彼の伝記を執筆するのだが…。現代アメリカ文学の旗手による二重三重に仕掛けがほどこされた異色のパロディ小説。
『伝奇集』はアルゼンチンが生んだラテン・アメリカ文学の旗手、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの代表作である。不思議な『百科事典』をめぐる奇譚「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」、夢の世界の〈秘儀〉を描いた「円環の廃墟」、永遠なる図書館の神秘を語った「バベルの図書館」、占星術や“無限のくじ引き”の歴史を考察する「バビロンのくじ」他、全17篇を収録。伝説、神話、博物誌等、虚実織り混ぜた、さまざまな書物に対する限りない偏愛に満ちた作品集。