1990年発売
吹雪のボストン。イメージ・コンサルタントのジルは、ようやくタクシーに乗れ、ほっとしていた。だが、渋滞の中、ジルと運転手のルークは、何げない言葉のやりとりから、険悪になっていた。やっと目的地に着き、代金を払おうとすると財布がない。困るジルにルークは、同窓会に出席する僕のためにイメージチェンジをしてくれないかと、提案した。もしだめなら、無銭乗車で警察に突き出すという。どうしよう…。ジルは仕方なく提案に従い、再会を約束するのだった。
2年前に夫を亡くしたソフィーは、幼い双子を抱え、ここモンタナで暮していた。ようやく双子が寝てくれた…。ほっとして外を見ると、見慣れぬ車が隣の屋敷に止まり、男が降り立った。あの家は、この前女主人が亡くなったところだ。見慣れない男が、いったい何の用なのだろう。男は、はじめて訪れる家に勝手がわからず助けを求めるように、こちらに近づいてくる。今、ベルを鳴らさないで!赤ちゃんが起きてしまうわ。ソフィーはあわててドアを開けた。と、そこに立っていたのは、グリーンの瞳に、肩までの長髪、引き締まった体の持ち主だった。
トリナの母レディー・シェリントンは、ジロンヌ伯爵と恋に落ち、結婚するという。ある日、トリナは、プロヴァンスにある伯爵の城に招待された。トリナは、その城の立派さに驚きながらも、実は、その維持のために莫大な費用がかかり金持ちの未亡人に貸すまでになっていることを知った。その未亡人は、伝説の「若返りの妙薬」が手に入るならば大金を積んでもかまわないと言っている。トリナは、自分で薬を研究し、彼女からお金を得ようと策略した。名案を思いつき、計画に着手したトリナだったが…。
時は1838年、インディアンのセミノール族は土地を追われようとしていた。部族の窮地を救いに来た金髪の男スローンは、その中に美しい白人の娘を見つけ、驚いた。〈ワイルド・ハニー〉と呼ばれるその娘は、白い肌を持ちながらセミノール・インディアンとしてフロリダの自然の中で暮らすチャラ。美しさの中にも、インディアンとしての気高さを秘めたチャラに強く惹かれていくスローン。だが、チャラは誰かに似ている-スローンがその答えを見い出したときから、チャラの運命は、思いもかけない方向へと導かれていった。
激動の幕末、京の都を震憾させた“誠”の組織を、風雲児藤堂平助を中心に据えて描く。元治元年(1864)秋中旬、下谷御徒町にある伊勢津藩32万4千石は藤堂家の江戸家老立花監物の屋敷を、家紋の「蔦」の紋付きの黒羽2重を着た若待が訪ねてきた。若待は、その名を藤堂平助といい、藤堂和泉守高猷が、側妄綾瀬に産ませた子であった。新選組の猛者平助は、隊内では“ご落胤”の渾名で通っていた素姓の正しい待であった。近藤勇に従って東帰していた平助は、「文武館」道場主の伊東甲子太郎や、その門下で円明二刀流の達人服部武雄らと会うことができた。やがて新選組に加入してきた伊東一派は?-京の隊内では、副長山南敬助と土方歳三との対立が、ことごとに表面化していった。
幻想は変幻自在。メイ・ウエスト、マリア・カラス、ハーポ・マルクスなどとベジャール自身の分身である「私」は、イメージの迷宮で交歓する。そしてベジャール作品の詩的展開が「夢の快楽」をもたらす…。ベジャールの自伝的幻想小説。
ホテトル、ポーカーゲーム、ノミ屋、韓国クラブ、そしてビル乗っ取り-。新宿の街の奥には、欲望にかかわるものは、何でもある。その只中を、才覚と腕力を武器にして「事業」のためにすさまじい闘いをつづける「在日」の若者2人。いったいどうしてこんな世界に入ったものか。そんな思いも優しい心もひとまず措いて、今夜も渡る夜の河。
イギリス情報部を退職したホランドは、目下、クラシック音楽のエージェントとして活躍している。ある日、何者かが彼を毒殺しようと図った。その後、彼は行く先々で命を狙われる。誰が?いったい何の目的で?謎を解く鍵は、六年前、任務を帯びて赴いたプラスにあるらしい。絢爛たる歌劇場やコンサート・ホールを背景に、凄愴なエスピオナージュを描く傑作シリーズ第二弾。
ロサンゼルス空港のギフトショップに勤める普通の女の子と、何の因果か石油王の三男坊として生まれてしまった不運な青年。あまりにかけ離れた世界に住むこの二人が、ある日空港で発覚した殺人未遂事件をきっかけに、悪党どもと壮絶な争奪戦を演じる羽目になる。めざすブツはただひとつー豚の貯金箱。女流サスペンスの名手がユーモアたっぷりに描く、とっておきの冒険物語。
時は大恐慌時代。銀行強盗と脱獄を繰り返し、全米を震え上がらせた男がいた。その名はジョン・デリンジャー、司直の手によって〈公敵ナンバー・ワン〉のレッテルを張られたギャングのボスである。彼はしかし、富める者からは奪うが貧しい者には決して手を出さぬ男の中の男として、民衆の人気を集めていた。そんなデリンジャーが4度目の脱獄を果たしたのちの生きざまをジャック・ヒギンズが別名を使って克明に描き出した冒険長編。
あたし、28歳の淫乱な女課長なんです。社長をはじめ、部長も、平社員も、あたしのムチムチの肉体が目当てで、舌なめずりして寄ってくるんだけれど。あたし、気の向いたときにしか、このからだを投げ出してやらないんです。でも、仕事がらみだと、イヤな相手にも、つい、させてしまうことが、あるんだけれど。で、あたし、ある建設会社に沖縄のゴルフ場の建設を安く請け負わせるため、その建設会社の実力部長に近づき、彼の沖縄旅行に同行して、熟れきった肉体をフルに使って迫ったんです。あたしの必死のお色気戦術でも陥落しない部長に業を煮やして、あたし、とっておきの奥の手を使ったんです…。
「逃げろ!お前、殺されちまうぞ」それは突然やってきた。正体不明の男たちが、ひたひたあとを追ってくる。次から次と襲ってくる。その数なんと五、六百…。逃げだしたのは岡田遊子、24歳。見かけは平凡なOLだが、実は彼女には秘密がある。悪夢を誘う謎もある。ひょんなことから知り合った2階の男が、救いの手を差し伸べてきたように見えたが…。スリルとユーモア、恋とアクション。読みだしたらとまらない、書き下ろし傑作長編ロマンチック・ミステリー。
花奈の作ったポプリで現代によみがえった、古代レムリアのファシーネ王子。人気アイドルとなって、主演映画を撮ることになったが…。『恋のポプリを抱きしめて』の第2弾。
天野美鈴、高校1年生だけど、剣道の達人。ロスから修業に来てるジミーとは両想い…のはずなのに、ジミーの幼ななじみクリスの出現でー『好きよ!バンカラボーイ』続編。
砂漠のどこかにあるという伝説のピラミッド。その謎を追い、不二子はアマゾンへ飛ぶ。待ち受ける危険も知らず…。いっぽうルパンは秘宝「炎の涙」を盗むべくギリシアにいた。強奪に成功したルパンであったが、敵の追撃に遭い、セスナ機もろとも地中海へ墜落。その事故でルパンは記憶喪失に…。ルパンと銭形、2人の奇妙な脱出行が始まり、舞台は砂漠へと移る。はたしてルパンの記憶の行方は?そしてピラミッドの謎とは一体…!?
燃える船上で盲目の美少女白麗華は、希代の使い手李百姫と対峙した。百姫は相手が凄い拳法の使い手であることを、最初の攻撃を外された瞬間に悟っていた。炎は次第に火勢を増していた。鋭い百姫の蹴りを宙に舞うようにかわすと、それを予測していたように百姫が宙空の麗華に右手のナイフをハッシと投げた。-好評〈少女拳シリーズ〉の第2弾。