1991年1月発売
「男」が、飛び降りた。目撃者が駆けつけてみると、そこには「女」の死体が転がっていた。続いて起こる第2の殺人。被害者は死の直前に「オンナは逆から、オトコは反対へ、赤いシルシには裏がある」と謎の言葉を残した。全編にちりばめられた仕掛けと伏線。稀有の言語感覚を有する新人、新本格推理デビュー作。
受験生-雷太が目覚めて初めて目にしたもの、それは、親友の田中の惨殺死体だった。人間ワザとは思えない残忍な手口は、見るものすべてを震えあがらせた。疑惑の目が雷太に集中するなか、彼のまわりでまた、同じような殺人が。雷太の恐怖はやがて、街全体をのみ込んでゆく。鮮血飛び散るパニック長編の傑作。
一本多い手の話、手に映ったサムライの顔の話、何度も雪に埋めた死体の話、手で歩いてきた女の子の話、逆さ悟空、暗い優しいあな、せつなくん、異形戦士、輪廻譚、ヒトニタケ、ふりんのみち…等々、奇才夢枕獏の最初にして最後の怪異に満ちた掌編小説集。読み始めたら、一人でトイレに行かれなくなる。
自殺した同級生の葬儀に故郷秋田を訪れた作家がふりかえる自らの生の軌跡。友と聴いたクラシック、仲間と励んだ雪の中の野球…。万引事件や生家の破産を越えて胸に迫るのは懐しい思い出の数々。人生の終楽章を迎えて、自分を支えてくれた友人、父の愛、妻の献身に気づく。胸を打つ感動的な直木賞受賞作。
ソ連の写真ジャーナリスト、ユーリ・クレバノフが西アフリカはボダンウエの米大使館に逃げ込んできたとき、それが世界を恐怖に突き落とす恐るべき国際謀略の幕明けと感じたものは誰もいなかった。だが、青年の祖父は元ソ連首相、父はプラウダ編集長、そして彼のフィルムには奇妙なものが写っていたのだ。
伝説の英雄、あの矢沢高雄が、復活!戦士・沢村ゆりが愛した、地上最強の男矢沢が生きている!?一方、ゆりを愛する新たなる戦士・風祭凱。魔女マダム・マヌーのあくなき野望を粉砕すべく戦士たちの激烈な闘いの中で揺れる二つの愛。北アフリカの赤い砂漠を舞台に白熱する、究極の戦闘物語、第5弾。
バンベルグ文書ー謎に包まれたまま闇に封印されたナチスの最高機密文書。全世界に秘匿された莫大なナチス秘密資金の所在が書かれているという。超能力者鬼道タケルは、南米の秘密のナチス・コロニー探査を米国筋より依頼され、単身彼の地へ乗り込む。黄金郷に眠るインカの秘宝を追って禁断の知の旅へ。
第1回日本ファンタジーノベル大賞(『後宮小説』)受賞作家の初めての作品集。究極のミステリー、あるいは哲学・求道の青春小説そして恐怖と幻想、寓意譚。澄んだ文体で人間の謎と小説の可能性を見つめつづける27歳、新鋭の鮮やかな物語世界。
炎のように激しく燃える愛はなくなっていたが、お互いに仕事をもつ身の共感と、少々のことでは消えない愛情は、十分に育ててきたと信じている周一と真柄の夫婦。しかし周一に愛人が、真柄もまた仕事関係のカメラマンと逢瀬を重ねた。共働きの夫婦に忍び寄る揺れる心。危い夫婦の関係を描く書下し長編小説。