1991年12月発売
俺の名は次元大介。ひょんなことからICPOによる、ルパン三世逮捕の全面作戦の情報を耳にした。コードネームは“戒厳令作戦”。世界中に一時的に戒厳令をしき、各国の警察を総動員するという、大がかりなものらしい。とにかく、相棒のピンチは放っちゃおけねぇ。なんとかこれをルパンに知らせなきゃ。それに、やつと一緒にいれば、スリルが味わえる。俺の真価はスリルのなかで発揮される。一瞬の判断と、反射神経のゲーム…。久しぶりに、それが始まろうとしていた。
神秘につつまれた美くしい王国ブリタニアに、滅亡の危機がしのびよる。伝説の8つのルーンを奪い去った、暗黒の騎士ブラックナイトのたくらみとは何か?いま、勇気と正義にあふれる冒険者の前に、ムーンゲイトが開かれる。ブラックナイトの8つの地下迷宮に挑むのはキミだ。
1970年、日本に潜在するアメリカ人の人類学者メルヴィルは、情報部と通じているらしき男スウィートウォーターと、旧知の実業家ミスター岳から思わぬ依頼を受けた。西側への亡命を望む中国の一将軍をひそかに連れだしてほしいというのだ。その将軍が目下駐屯する場所はチベットの山中。岳との過去のしがらみと多額の報酬ゆえに依頼を承諾したメルヴィルは、雪深い極寒の秘境に分け入った。
仮借ない大自然の猛威にさらされる中の行軍は困難をきわめた。しかも、周囲には中国軍の目が光り、頼みの綱の原住民ゲリラが留まる村には邪教の権力者の思惑が渦巻いている。やがてようやく問題の将軍と合流できたメルヴィルだが、自分に課せられた真の役割はそのときも知る由がなかった!アントニイ・プライス、テッド・オールビュリーが絶賛した英国の新鋭が放つ冒険サスペンス巨篇。
滝連太郎は、教授の紹介で、映画製作にからんだ楊貴妃ゆかりの地を訪ねるツアーに講師として参加することになった。依頼者は、楊貴妃の末裔と称する美容総合センター社長の唐渡美帆だった。翌日、滝は武見香代子を誘い、デパートで開催されている「泉涌寺秘宝展」に出かけた。展示されている楊貴妃観音を見るつもりだったが、そこで警視庁の大曽根警部に声をかけられた。彼もある殺人事件との関連で捜査に来ていたのだ。数日後、捜査本部に楊貴妃を詠った白居易の「長恨歌」が送られてくる…。楊貴妃渡来伝説に材をとった書下し長編伝奇ミステリー。
レミー、メル、弥生、ミニヨンは弱小詐欺集団〈ドリームポリス〉。10億Crに目がくらみ、砂漠の惑星サウスに〈聖なる獣〉ムーンパンサーを密猟に出かける。ギイ族とムーンパンサーの秘密をめぐり、さらにヘンな2人組・佐野&忍、革命家、神官ラモーンが入り乱れ、謎が謎を呼ぶ。新感覚な作者が贈るファンタジー活劇。
一流商社マン松平京一郎は、人気歌手マヤと結婚し幸せの絶頂にあった。引退し、家庭に入るマヤは、芸能界の匂いのない慎ましい女性。新婚生活は順調にすべり出したかに見えた。だが、マンションの真下の部屋の主婦が殺されたその日から、マヤはタバコや酒の臭いを身に染み込ませ、人が変ったような言動をとり始める。やがて、京一郎に小さな疑惑が芽生えたー。
情欲の火焔に身悶えする人妻ー。不倫、近親相姦、火種は尽きない。細くしなやかな指先が花淫を割って、妖しく蠢めく洞穴の奥先で魔物が男を誘っている。満たされない体の疼きに、禁断の世界を彷徨う女たちは熱い樹液を全身に浴び、忘我の境地にむせび泣く。
内裏を舞台に行われた大江山の「鬼」達との壮絶な戦い以来、京には束の間の平和が訪れていた。そんなある日、宴の席で、碓井貞光から一条戻り橋に出没するという橋姫の噂を聞き、一人戻り橋に出かけた渡辺綱は、そこで妖しい魅力を湛えた謎の女、茨木と宿命的な出会いをするのだったが…。そして、息子への帝の寵愛を妬む源頼光の父・鎮守府将軍満仲、内覧の藤原道長の地位を狙う伊周、権力を巡る男達のどす黒い野望は、大江山の首魁・呪天童子の、新たな魔手を呼び寄せることとなるのだった-。戦うことに悩みながらも「鬼」との壮絶な戦いに巻き込まれていく頼光と綱達。好評ファンタジー伝奇ロマン第三巻。
租界都市上海・植民地都市香港を舞台に、美しい祖国への夢破れアイデンティティーに苦しむイギリス華橋と腐りきった旧制度の大家族に心底愛想をつかしながら逃れるすべのない女性のロマンスの行方を描く「戦場の恋」他、6篇を収める。崩壊していく文明の本質を鋭く問い直す恋愛小説集。シリーズ完結。
ボウエン夫人の自慢は庭の草木の手入れ。地面に挿し木をしてやるだけで野菜や果物はすくすくと成長し、庭を覆うほど繁茂する。あるとき、彼女は誤って自分の指を斧で切り落としてしまうが、病院から戻ってみると何と…(「園芸上手」)、ポーの「黒猫」を思わせる恐怖小説の逸品(「人殺し」)など戦慄の8篇。
パパは遠くへ行ってしまった。マイブリットとはもう友だちじゃない。いつだって、みんなけんかばかりしてるー。両親の別離や友だちとの触れ合いを通して世の中をみつめ、成長していくヨアキムの世界を描く物語。1990年国際アンデルセン賞受賞。
『むずかしい愛』は、現代人の日常生活の中でのさまざまな“すれちがい”のおかしさを集めた、ユーモアとエスプリに満ちた短篇集である。活字中毒者が繰り広げる微笑ましい恋愛光景を描いた「ある読者の冒険」、写真マニアの秘かな願望を探る「ある写真家の冒険」他、全12篇を収録。
“無類の虚気者”と囃された少年時代から、天下布武の旗印のもと、広く眼を海外にまで向けながら戦国の世を疾風怒涛の勢いで駆けぬけ、天下統一目前にして、本能寺で非業の死をとげた不世出の天才・織田信長の壮絶で孤高の生涯を描く書下ろし歴史長編。