1991年12月発売
現代メキシコ最大の小説家が、近代的な意味における「小説」そのものの創始者にしてその変革者セルバンテスを、その時代的文脈において、そしてとりわけジョイスを初めとする現代の文化的冒険との関連において論じるとともに、読むこと=書くことの根源的な批判を企図した。極めて今日的なセルバンテス論の白眉。
「日刊ゲンダイ」毎週末好評連載。同時進行、ウイークリー馬券小説。待望の単行本化、第1弾。昭和61年6月15日の「福島テレビ杯」から、昭和62年12月27日の「有馬記念」までを収録。健坊の勝率やいかに。
曹操はすでに没し、大勢は蜀に傾きかけたかに見えたが、曹操の息子、曹丕は、司馬懿仲達を軍師に立て、最後の反撃を試みる。対する孔明をはじめとする蜀の三軍師は、精鋭を率いて一気に勝負に出た。ここに、孔明と仲達の死力を尽くした戦いが繰り広げられる。三国の戦いはついにクライマックスを迎えた。炸裂する新兵器“地雷火砲”、五虎将の咆哮が中原に響きわたる。幻の名著、周大荒著「反三国志演義」初の小説化。
職業も年齢も異なる5人の登場人物が繰りひろげるさまざまな出来事をすべて手紙形式で表現した異色小説。恋したりフラレたり、金を借りたり断わられたり、あざけり合ったり、憎み合ったりと、もつれた糸がこんがらかって…。山本容子のオシヤレな挿画を添えて、手紙を書くのが苦手なあなたに贈る枠な文例集。
アルプスの観光地・ユングフラウヨッホを訪れた三毛猫ホームズの一行。片山は、展望台で、氷河を滑り落ちかけた日本人女性観光客を救出。その女性・多田靖子の姉は、結婚式の当日、婚約者に逃げられたのを苦に自殺していた。ところが靖子は、このヨーロッパで姉をふった男を発見して…。ホームズがアルプスで名推理。
ヨーロッパ各地で頻発する、ユダヤ人を標的としたアラブの爆弾テロ。その黒幕を追及するイスラエル情報機関は、イギリスの女優チャーリィに接触し、ある秘密作戦への協力を依頼する。その作戦とはー。イスラエル側が拉致したアラブ人テロリストの恋人になりすまし、テロ組織に潜入して情報を入手するというものだった。架空の人格を緻密につくりあげたチャーリィは、女優としての全才能を賭けて危険な演技に挑んでゆく。
イスラエルとアラブとの熾烈な諜報戦の渦中に身を投じたチャーリィ。テロ組織の一員になることを申し出た彼女は、軍事訓練を受けるべくパレスチナの難民キャンプへ送り込まれた。そこで彼女が見たものは、果てしなき暴力と憎悪の応酬を続ける二つの民族の悲劇的な姿だった。やがて訓練を終えたチャーリィに、イスラエル要人暗殺の任務が与えられるが…。巨匠がスパイ小説に託して中東問題の本質に鋭く迫った衝撃の巨篇。