1991年4月発売
営業部長の妻がロックされた団地七階の自宅で頚骨を折られて死んでいた。つづいて総務部長の娘が謎の自殺を。そのうえ宣伝部副部長が浴槽から溺死体で発見された。関係者がみなヨコハマ自動車の社員か家族であり、殺人現場がいずれも密室風であることから、社内に戦慄が走った。そこでOL探偵団が結成されたが、姿なき殺人者の手は彼女たちにものびてくる。
高木彬光の生み出した5人の名探偵、神津恭介、大前田英策、百谷泉一郎、近松茂道、そして、霧島三郎。五人五様の推理の冴えを競う、文庫未収録作品3編を含む推理ファン必読の作品集。-東大法医学教室の助教授・神津恭介のもとに奇怪な事件が持ち込まれた。7年前に父親が失踪し、最近部屋に血の雨が降るという。しかも血には血液型がなかった。(「幽霊の血」)。
三味線片手に、諸国を旅して歩く門付け女、お丹。息をのむほど美しい新内の名手。彼女を一目見た男は、すべて艶やかな色香の虜になってしまう。ところが実は、無類の力持ち。東海道の宿々で、美貌と怪力にもの言わせ、近寄る男たちを手玉にとりつつ、荒稼ぎ。御金蔵破りの助っ人やら、山賊、果ては大名の姫君の替え玉役まで、奔放に生きる怪美女の痛快旅日記。
不幸は突然、襲ってきた。藩内で陽明学を講ずる門出転に幕府から苛酷な罪科が下されたのである。「切腹」。この学問は国禁とされていた。愛弟子・和三郎の動揺は激しかった。「師の大恩に報いるには自ら介錯人を務めること」と申し出た。師を送る日が迫る。和三郎は“失敗”の夢にうなされた。さて当日は…?。武士道小説の名手が織りなす美しくも悲しい9編の宿命絵巻。
「ソエルディン候爵のもとに嫁ぐのだ」父、マドレスコート公爵の言葉に、レディ・ロレッタは当惑した。夫については、以前から夢に描いた理想像があった。それが、一度も会ったことのないフランス人の男性と結婚するなんて…。思い悩んだロレッタは身分を偽ってフランスへ渡り当の男性の人柄を見極めようと決意した。
タレント・エージェントのローリーは、こともあろうに、テニスコートの男子用更衣室のロッカーに身を潜めていた。マスコミ嫌いで知られる若手No.1プレーヤー、スティーブにCM出演を承知させるためだった。やがて、スティーブの声が聞こえドアの閉まる音がした。そっとロッカーの扉を開けてみると…、日に焼けて引き締まったスティーブの背中が見えた。
マサチューセッツ州ケープ・コッド。リビーは、夫の死後、海辺の小さなホテルを経営していた。ある日、雑誌の編集をしている友人の取材を受けるため、ホテルの整備をしなければならないことになった。そのための人手をどうしようか…。ため息をつくリビーの背後から、男の声がした。ふり向くと、たくましい肢体の男が仕事を求めて、立っていた。彼はこの一年、全国を放浪していたという。彼のグレーの瞳は、冬の嵐のように悲しげだった。
警視庁、暴力団から疫病神と恐れられる悪の天才たちが帰って来た。ハリウッド・スター名を犯罪コードネームに冠する彼ら狼たちの目的は、警視庁に逮捕された仲間二人と恋人の奪還。成否のカギは資金と武器の入手。計画はただちに実行され、彼らは、都内最強の暴力団山桜組の地上げ現場から八億円を強奪。次いで警視総監の愛娘誘拐にも成功。だが、警視庁、山桜組双方の必死の追及によって、狼たちのアジトに、法の牙と抗争の嵐が近づきつつあった…。圧倒的熱望に応え、事件がさらに事件を呼ぶノン・ストップ・ノベルの旗手が、満を持して放つ鮮烈のシリーズ第二弾。
狼たちは新たな難問を抱えた。最強の暴力団山桜組に仲間の一人が拉致されたのである。拷問は必至。もし彼が救出計画を喋ったら…。ただちに山桜組を奇襲し、作戦は成功するが、仲間も凶弾に倒れ、大きな犠牲を強いられることとなった。残る難問は警視庁に逮捕された仲間の救出のみ。計画は続行され、人質の警視総監の娘と女刑事二人との交換を要求。場所は新宿超高層ビル屋上。かくて狼たちのXデイが確定した。待ち受ける四千人の武装警官。果たして作戦は成功するのか?ノン・ストップ・ノベルの魅力を満載して贈る白熱の完結編。
総理大臣の椅子を目前にした北見は、恐怖に震えていた。戦友二人が立て続けに殺されたのだ。それも白昼、自衛隊から強奪された武器を使って…。彼の中で消えつつあった戦争末期の沖縄でのあの事件が、いま自らの死につながろうとしている。史実から抹殺された“大虐殺”の痛みを胸に、四十年の歳月を経て三兄弟の怒りが炸裂するアクション巨編。
1960年代半ば、「ウルトラQ」放送開始に沸く円谷プロに、一人の若者が迷い込んだ。特撮の神様円谷英二を始め、怪獣番組に情熱を燃やす人たちのなかで、若者もスタッフとの恋や友情、離別を味わいながら、監督として怪獣作りの奇妙な魅力の虜となっていく。テレビが生んだ最強のヒーロー、ウルトラマンを作った男たちの青春をいきいきと描いた傑作小説。
その朝わたしは、テレビのVTRで旧友クィンプが己れの死を予言しているのに出くわした。世界に冠たる天才のピエロにして、エンターテインメント界の名物男。彼が死ぬ?慌てて駆けつけたわたしのまえに、鍵のかかった金庫のなかかから扮装したクィンプの死体が転がりだすが…。廃業寸前のホテルに展開する難事件。失業奇術師コルダーウッドの推理の行方を軽妙に綴った第2弾。
1890年晩秋。霧深いロンドンの高架下で、その夜一人の男が殺害された。状況から追いはぎによる犯行の線は消えたが、ではなぜ、平凡な一市民がこのような最期を遂げたのか?未亡人の窮状に接した市警察のブラッグ部長刑事は、真相究明を心に誓うが…。世紀末ロンドンに殺人犯を追う、たたきあげの硬骨漢ブラッグと貴族出身の新米巡査モートン。時代ミステリの新シリーズ登場。
米軍特殊部隊のマイケルは、ベトコンの手から瀕死の神父を救った。そして十数年後。時のローマ法王は、救出以来昏睡を続けてきた神父の生命維持装置を切り、彼を聖人に列することを定める。神父は死んだ。だが9時間ののち彼は甦ってしまった。さらに彼の放った言葉は、ヴァチカンを崩壊に導くものだった。それはマイケルの運命をも大きく変えようとしていた。闘いが、兵士を待っていた…。J.ヒギンズ絶賛、比類なき冒険小説。
四国宇和島の桜祭りに呼ばれた大阪の漫才コンビの一人石原弘司は、仮設舞台で公演中、突然天井から落ちてきた丸太の直撃を受け死亡した。通夜の席上、弘司の祖父は「まだお許しにならんのか」と奇怪な言葉を口走って意識不明に陥った。相棒の森川保夫は、謎を解くべく、弘司の妹を連れて再び宇和島へ。が、そこで二人を待ち受けていたものは…?