1991年6月発売
諏訪御柱祭り。七年に一度、命知らずの男たちが、切り出された巨木にまたがり、急坂を滑り下りてくる。先頭のハナ切りを狙い、欲襲次21歳は諏訪へ帰って来た。殺された養父の無念を晴らし、憧れの誉志子を手に入れるには、ライバル矢頭丸騎一に勝たねばならない。スピードとエロスの新青春小説いまここに誕生。
ソウルへ向かう機中で、29歳の野上陽介は麻里子という美しき人と知りあい、彼女のおかげで商談も成立寸前までこぎつけた。しかし一夜をともにした女性が翌日惨殺体で発見され、野上は殺人容疑で捕まってしまう。異邦の地に張りめぐられさた罠、紫水晶に秘められた意外な事実。愛そして殺意、傑作推理集。
姉への、やり場のない想いを抱いて、弘の黒いマシーンは、緑の風のなかを駆けた…その時、一人が空缶で転倒…この事故が復讐劇のプロローグだった。仲間の推理作家が殺され、その嫌疑がバンドリーダーの弘にかけられた…。仕掛けたのは誰?マシーンとロックのリズムが奏でる、青春の愛と憎しみのドラマ。
夢がまだテレビ界に満ちあふれていた昭和40年代、日曜日の夜6時半に一世を風靡したバラエティ番組があった。ADになりたての僕は憧れの番組についたものの毎日が失敗のくりかえし。鉄拳と罵声の洪水だったけれど、テレビに恋した男たちはキラキラと輝いて、僕にはとてつもなくまぶしく見えたのだった。
夫に内緒でセールスマンの投資勧誘に乗った多恵子は、三カ月後相手会社の倒産を知って愕然とする。そしてセールスマンの自宅を突きとめてみると、その男は殺されていた。幸せな妻の座から転落し、離婚寸前の多恵子だったが、事件は意外な方向へ進んだ…。本格ミステリーの秀作集。
産院から新生児が看護婦付きで誘拐される。わが子を奪われた母親は友人の二階堂日美子に助けを求めた。日美子のタロット占いはどう謎を解くか?捜査陣と犯人との息づまるかけひきのなか、誘拐交渉請負い人や私立探偵まで介入して思いがけぬ展開をみせる。人気の日美子シリーズ会心長編。
世界一騒乱の絶えないベイルートに姿を現わした日本人戦士・矢沢高雄と唯一人生き残っていた戦友ジェリー・キーズの前に、一人の美女が!!だがその裏に、主導権争いを巡って麻の如く乱れるイスラム世界の闇のボスの巨大な陰謀が待っていた。今は亡き闘魂の作家による壮大なファントム戦士伝説最終巻。
伝説も生まれぬベネズエラの涸れた油田地帯に、ある日突然世界経済を根底から覆すような希土類とよばれる超伝導の素材が発見された。オーナーのベルトロメオ・エリゾンドは没落寸前に舞い込んだこの幸運に有頂天となったが、憎み合う息子たちと愛人ベロニカは資産を廻って血みどろの争いを繰り広げた。
国境に近い涸れた油田地帯には、多数のコロンビア難民が住みつき、マグダレナのマリアという聖女が人々の団結の象徴となっていた。中に鍛治と丹波という屈強な日本人が、土地のオーナー・エリゾンド家の追い出し攻勢に備えた。巨億の希土類のため、欲望の権化と化した男たちの血の殺戮劇が今始まった。
肉体を酷使する快感を通じて現代人の不思議な生態が浮かび上がる。もう若くはない男たちが始めたバスケットボール、殴られ役のアジア人ボクサーがリングで知る真実、フリーターが挑むトライアスロン…スポーツと関わる男たちはなぜか哀しく、そして美しい。硬質の文体で奇妙な味わいを醸し出す小説集。
舗道にはザロッティの板チョコが、空一面にはとろりと溶けたクーベルチュール・チョコレート。スシャール・トブラーのミニチュア・ミルクチョコレートを手に、何もかもがチョコレートでできた街を走り抜けるマリリン。チョコレート中毒症のシュールな世界を描いた表題作を含く甘くせつない6つの短編集。
顔も知らない育ての母、自分の出生の傷が彼女の命を奪ったかもしれないという思い、育ての母の熱い抱擁の記憶とその複雑な感情。人生の半ばにて、停滞と惑いの年齢に、日々の生活の彼方から、聞こえてくる呟きにも似た静かな言葉、未明の記憶と実生活の現実。必読の最新小説。
深遠の淵よりいでし魔のもの『超魔』と、超魔を深遠に封ずる者『〓殺師(ようさつし)』-それは相反する二つの力の存在である。人知れぬ闇の中で、両者は互いの生死を賭けて戦っている…。優れた霊感を持つタロットカードの占師“糺の姫君”のもとに、一通の封書が届いた。高一の娘が突然倒れたが、医学的には原因不明、それをみて欲しいという母親からの依頼だ。カードには“死に神”が現れた。超魔の出現か?〓殺師の千剣破と竜樹が呼び出され、二人は急いで少女のいる病院へ向かった。