1991年6月発売
ふとした出来心で、追い詰めた強盗から金を受け取り、目こぼしをしてしまった浜吉親分。そのために御用聞をお役御免となり、百叩きの刑にあって、5年の所払いで江戸を逐われた。年期があけて江戸にもどった浜吉は、風車を作って生計をたてるが、昔鳴らした腕の冴え、捕物の虫はおさまらない。幼なじみの喜助親分の配下留造に知恵をさずけ、難事件を見事に解決。連作短編12編。
アラフラ海に浮かぶリゾート・アイランド、パウイ。アメリカの鉱山会社ネクサスの最高幹部は、毎年恒例のバカンスに、夫人同伴でこの地を訪れた。が、政情不安なこの島にクーデターが発生、重役たちは射殺され、それを目撃した妻たち5人は、未開のジャングルに逃げ込んだー。上流階級の女たちは、未開のジャングルで生き残ることができるか?迫真の大型サバイバル・ストーリー。
自然の猛威、追撃する軍隊、人喰いの風習を持つ原住民。上流階級の女たちは、諍いを繰り返しながらも、ジャングルで生き残る方法を逞しく学んでいく。一方、ネクサスのオーストラリア支社長スコットは、彼女らの無事をあくまで信じ、執拗な捜索を続行。それを知る筈もない女たちは、決死の脱出行を決意したー。南国のパラダイスでのサバイバルを描く、超大型エンターテイメント。
IRAに家族を殺され、復讐の鬼と化した男、サマービル警部。体力はもちろん、武器の扱い、盗聴、戦略、すべてに長けた恐るべきこの〈人間兵器〉に、ある者はショット・ガンで頭を吹き飛ばされ、またある者は首をひねって殺された。ヘリから雨のように降り注ぐ弾丸の中を逃げ回り、クルーザーを乗っ取り、サマービルは敵の黒幕へと迫っていくー。スーパー・アクション・サスペンス。
僕が一番輝いていた年は、僕もアメリカも若かったあの1954年-。熱風のように通り過ぎた黒人女性との禁断の恋、病んだアメリカを予感させる魅力的な娘との恋、作家フォークナーとの出会い、ロックンロール…。すべて、あの年の出来事だ。旧世界のフランスから新しい国アメリカに留学した少年が、異文化との接触の中で、大人の世界へ移行する心騒ぐ時期を描くフランスのベストセラー小説。
加藤唐九郎没後6年…。著者の心の中で唐九郎像が熟成され、芳醇な作品となった。「永仁の壼」事件の真相は何だったのか?天才とは?人間とは?深夜の電話、ラジオの対談、著者と陶工の交わりは淡く、深い。老人の性を見つめ、円空、芭蕉とオーバーラップさせながら巨人・加藤唐九郎の虚実を描いた、著者会心の作。
暴動に紛れて現金輸送車を襲ったのは、おれじゃなかった-。仮出所したばかりの黒人の大男デヴリーズは私立探偵ウォーカーにそう告げた。その事件が起きたのは、20年前のことだった。暴動中にビルが放火され、それに乗じて何者かが現金輸送車を襲ったのである。ビルに放火したデヴリーズは逮捕され強盗の共同謀議で有罪となった。だが放火は、当時知り合った白人の男子学生にそそのかされてやったことだった。この男が強盗を計画し、彼に罪を被せたのか?ウォーカーは白人男の足どりを追って過去の記録にあたり始めるが、そこには野望に満ちた策略が隠されていた。チャンドラーの衣鉢をつぐ著者が自信をもって放つ、正統派ハードボイルド。アメリカン・ミステリ賞受賞作。
空に糸胞があるかぎり、竜騎士は飛んで、糸胞を殱滅しなければならないー。しかし、惑星パーンの安寧をあずかる竜騎士のあいだにすら疫病は蔓延してしまった。療法師ノ長キャピアムが苦心のすえ開発したワクチンも、パーンのあらゆる地点へ瞬時にして運び、人びとに集団接種しなければ効果がない。フォート大巖洞の洞母にして女王竜オルリスの騎士モレタはこのワクチン配付のため、危険きわまる時ノ跳躍に挑むのだった。
さんさんと照り輝くカリフォルニアの明るい太陽。ところ狭しと並ぶ超高層ビル。その間隙を縫うように走る電磁軌道道路網には、コンピュータにより自動制御されたハイテク車が目まぐるしく行きかう。時は21世紀。カリフォルニアの中心部オレンジ郡は、とどまるところを知らぬテクノロジーの進歩がつくりだしたユートピア社会を謳歌していた。だが、この夢のような社会にも、見えざる陥穽がぽっかりと口をあけていたのだ。
ロックとドラッグと車、仲間とのパーティ。それが青年ジムの生活を支配していた。だが刹那的な快楽に溺れながらも、ジムは正体不明の焦燥感をおぼえている。一方巨大軍事企業に勤務するジムの父デニスも、ペンタゴンの新プロジェクトへの参画を契機に、自分たちの生活に疑問を抱きはじめていた。そしてある日、ジムが地下組織の存在を知ったことで、二人の軌跡は微妙に交差しはじめる…。俊英が満を持して放つ雄渾の大作。
〈もはや存在しない場所〉の秘密を解く鍵は、予言者たちの町ケルにあることが判明。その地に保管されている『マロリーの福音書』にすべてが記されているのだ。さっそくガリオン一行はケルへと向かった。だが旅の途中、単独で行動していたガリオンは、奇怪な象の軍団に遭遇。しかも、この巨獣たちを率いる女こそ、宿敵ザンドラマスだった。魔女はガリオンに気づくとドラゴンに変身して、火を吐きながら襲いかかってきた。
いつの時代、どこの国とも知れぬ場所をさまよい旅をする自動人形のパルメラン。かつては、子供の歓声、メリーゴーラウンドの音楽、そんなさまざまな音に満ちあふれた遊園地の片隅でひっそりと将棋をさしていた。自動人形の中には小さな男がいて、将棋の勝負は負け知らず。だが、中の男が眠りこみ、遊園地が閉園になる前の日にパルメランはひとり外の世界へ足を踏み出した…。自動人形の幻想的な旅物語ほか、一篇を収録。
ある日、前庭で飼っているウサギの一匹が電話をかけてきた。「もしもし。前栽のウサギですが」…-ウサギや小鳥などペットたちとの交流を描く筒井康隆の「禽獣」。小説を書くため使いはじめたパソコンに、だんだんのめりこんでいく作家は…-栗本薫の「パソコン日記」、虚無の宇宙を描きつづける光瀬龍の「想い出と夢の間」等創刊400号を迎えたSF専門誌・S-Fマガジンに掲載された作品から選出した年刊アンソロジイ。
失踪した祖父が、遥か離れた町で発見された。交通事故にあって瀕死の重傷を負い、病院に収容されたのだ。祖父の行動の理由を探り始めたデイヴィッドは、さらに驚くべき事実を知った。第二次大戦中に迫害を受けたユダヤ人の祖父は、最近ナチの戦犯を追っていたという。黒い圧力を受けつつも、調査を続けるデイヴィッドは、純真な女性との運命的な出会いの果てに、邪悪な敵との対決の時を迎える。俊英の傑作冒険サスペンス。
英米情報部の密命を帯びた米空軍パイロットのミッチェル・ガントは、ソ連が開発した最新鋭戦闘機ファイアフォックスの強奪に成功した。だが、追跡機との空中戦で被弾したファイアフォックスは燃料漏れを起こし、中立国フィンランドの凍結湖に不時着した。消えた最新鋭戦闘機を手中に収めるべく、必死の捜索活動を展開する英米とソ連。一方、ガントはソ連軍に捕えられ、尋問のためにモスクワのKGB研究所へと送られた。
KGBの研究所から脱走したガントは、CIAの女性工作員アンナに窮地を救われた。彼女は、ガント逮捕の指揮をとるプリャービン大佐の恋人だった。ガントとアンナは陸路でフィンランドとの国境へ向かうが、これを察知したプリャービンは単身で二人の後を追う。一方、英米よりも一歩遅れて最新鋭戦闘機の所在を突き止めたソ連側は、奪還部隊をフィンランドへ侵入させた…。傑作航空冒険小説『ファイアフォックス』の続篇。
シカゴの郊外に住むマカリスター一家は、パリでクリスマスを過ごすため、しんせきの家族といっしょに出席した。ところがひょんなことから、7歳の男の子ケビンが家にとり残されてしまった。うるさい兄さんや姉さんたち、パパとママがいなくなって、ケビンは大喜び。でもそこへ二人組の泥棒が襲ってきたから、さあ大変。知恵と勇気をふりしぼって、ケビンは泥棒に立ち向かうが…。全米で人気爆発の痛快ホーム・コメディ。
1960年代、ロンドンの暗黒街を暴力と恐怖で支配した双子のギャング、ロナルドとレジナルドのクレイ兄弟。厳格な母親に育てられた二人はイースト・エンドで次第に頭角を現わし、一大犯罪帝国を築く。しかし、二人が逮捕されると彼らの実像を暴く衝撃的な証言が続々と現われたー。その特異な凶暴性や歪められた性格、秘められた同性愛と流血の抗争の日々。戦後イギリス社会最大の犯罪者の素顔を赤裸々に描いた戦慄の実録。