1991年7月1日発売
雪どけの北八ケ岳・縞枯山で、目から血を流した男の凍死死体が発見され、長野県警諏訪署の道原伝吉刑事は現場に急行した。が、続いて犯人と思われる女の絞殺死体が発見された。捜査が進むにつれて、男の死には、二年前同じ縞枯山で連続して起きた遭難事故に関わりがあることが明らかになる。そして、真犯人と思われる男には完璧なアリバイが用意されていたのだ。長篇山岳ミステリー。
江戸・元禄の世に彗星のごとく現れ、一代の栄耀を振りまいて歴史のかなたに消えた伝説の男・文左衛門。暴風雨をおして蜜柑を江戸に運び、巨利を手にするや、幕吏に近づき公儀御用達の金看板を手にする。江戸の華・火事を目当てに材木を買い占め、上野寛永寺建立を請け負ったその富の高しれず。しかし吉原に豪遊する文左の心は晴れなかった。野望と冒険に生きた、一代の豪商の生涯を描く傑作時代長篇。
諸口高志、30歳。元探偵社の調査員だった縁で、大手商事会社の広報室長・国井宗男から呼び出しがかかった。三十億円を拐帯して失踪したダミー会社社長・小村紀明を探してくれという。その矢先、国井室長は自殺を偽装し殺害された。三十億円を狙って暗躍する暴力組織・黎明会と、不気味な格闘技集団・旗誠塾。諸口は小村の行方を追うが、姿を現した小村は発狂していた…。長篇ハード・サスペンス。
新潟県・出雲崎で「ヤヒコニ イッテ ウラ」という言葉を遺し、一人の女が殺された。取材旅行で現地を訪れていた編集者の笹谷美緒と堅物の恋人黒江壮は、その女を三度目撃していた。捜査本部の調べで、被害者の銀行員水原千秋は横領の疑いがあり失踪中だったことが判る。更に事件の数日後、弥彦神社裏の杉林から被害者のイニシャル入りの指輪が発見された。美緒と壮は最期の言葉の謎を追った。長篇推理。
トロツキー、イサム・ノグチ、ニコラス・マーレイを虜にした、世界的壁画家ディエゴ・リベラの妻フリーダ・カーロ。夫の愛人やジョージア・オキーフらとの同性愛をも噂されたスキャンダラスな熱情は、だが何よりも、絵画に捧げられていた。メキシコ革命の洗礼、瀕死の事故とその後遺症という聖痕…。フリーダは苦痛を描いて生命を伝え、死を描いて豊穣なる大地の再生を祈り続ける。ブルトン、ピカソ、エイゼンシュテインらが熱き称賛を送った、メキシコを代表する画家フリーダの“自画像”を鮮烈に描く。
この地球を「誰が」救うのか?地球が病んで、動物たちが姿を消しはじめたとき、みんなを救うために「虹の戦士たち」があらわれるという予言を、君の柔らかな心に届けたい。アメリカ・インディアンに伝わる偉大なる「小さな物語」。
降り続く砂に覆われ、廃墟と化していく都市の崩れゆくビルの地下で、前時代の戦車の復元に情熱を燃やすキキと少年たちー。不毛な光景の中、哀しくも美しい愛を求める若者たちの、こころやさしい近未来純愛長篇小説。
本書では、1941年12月の日本軍によるマレー半島占領から始まり、当時16歳のラザク青年がマラッカの興亜訓練所で日本語を学び、南方特別留学生に抜擢されて来日、広島文理科大学で原爆に遭遇し、わずか1年半の日本留学を止むを得ず中止して帰国するまでの、太平洋戦争に重なる4年間の青年時代をとりあげている。
八ヶ岳周辺のゴルフ場にゴルフバッグに詰められた女性のバラバラ死体が分散して送られてきた。長野県諏訪署の道原伝吉刑事は、すべてのバッグの送り主である東京の開業医、赤城貫三郎から捜査を開始する、が、事件は怨恨の線が強く迷宮入りかにみえた。だが、道原の執念は数年前に起きた赤城医師の医療ミスに辿りついて…。長篇山岳ミステリー。
コンピューターメーカー・東洋電気と警察庁が、ある目的のためコンピューターによる“個人監視システム”を極秘に完成させた。しかし天才ハッカーを擁する秘密組織がこのことを察知、「二日以内に百億ドルを用意せよ」と警察庁を脅迫する。協力を要求された東洋電気は、システムの開発者・長我部萌子にハッカー対策を要請。だが、長我部はなぜか突如失踪、二日間のタイムリミットが迫る中、長我部を求め、彼女の同僚・吾妻圭介が必死の追跡を行なうが…。巨悪の殺意が吾妻を襲う。疾る戦慄、溢れるスピード感、期待の大型新鋭が抉る情報社会の裏面。新感覚ニューウェイブ・ハードサスペンス書下ろし力作。
一代で財を成した一ケ原高顕が死んだ。妻子を持たない高顕の莫大な遺産の相続にあたって、生前彼が残した遺言書が一族の前で公開されることになった。一族は高顕がオーナーだった、“回廊亭”と呼ばれる旅館に集められた。さらに、一族の他に、本間菊代という老婆が関係者という形で、回廊亭に招待されていた。だが、菊代の真の目的は別なところにあった。半年前に回廊亭で起きた心中事件の真相を探るためにやってきたのだった。その夜、第一の殺人が。心中事件に絡んで巻き起こる回廊亭での怪事件、何がここで起こったのか?そして、何がここで起こるのか。著者の新境地を拓いた、書下ろし長編推理小説力作。
田坂元太郎は、大手の家庭電化製品販売会社の開発係長。33歳。バリバリ働いて、女性にはモテモテなのに、評判の恐妻家であった。ところが、ある夜、不倫の味を知り、人生観が一変した。女性はすべて恋人である。彼はカチカチカクテルを発明し、OL、社長秘書、モデル…と次々に昇天させ、その結果、出世の糸口を掴んでいく。娯楽と実益をかねた、勤め人の清涼剤。
「ポルシェ959で高速道路を350キロで走ってみせる」元レーシング・ドライバー・唐山から、公安二課に不敵な挑戦状が届いた。唐山の真の狙いは?急遽、特捜刑事に任命された高速隊のはみ出し者、天宮駿介は激しいバトルのすえ、中央道・阿智P・Aの先で唐山を追いつめた。が、突然狙撃され、しかもポルシェは忽然と姿を消した。迫真のカーアクション傑作。