1991年7月発売
1945年8月、出撃を目前にした「神風」特攻隊員原田に信じ難い命令が下った。「戦争は終わった。全員引き揚げよ!」憤怒と恥辱にまみれ、玉音放送に聞き入る原田。この時、彼は復讐を誓った。“いつの日にか、この無念を晴らしてやる!”1991年12月、真珠湾。日米首脳が一堂に会した開戦50周年記念式典の上空に一機のゼロ戦が飛来した。機上には、「神風」の鉢巻きをしめた老いた原田が…。ミリタリー・ノベルの鬼才が放つ問題作。
ダービーの優勝をめぐるブランスカム伯爵の陰謀-。それを知ったアルチェスター侯爵は、復讐を決意する。名もなく、貧しい娘をにせの貴婦人に仕立てあげ財産目あての結婚をもくろむ伯爵に押しつけよう。侯爵は復讐を胸に孤児院を訪れる。そこには、骨と皮ばかりにやせた娘キストナがいた。
深夜、部屋に忍び込んでくる男の影にサラは身を硬くした。ここはニューヨーク-。どんなことが起こってもおかしくない街。でも、引っ越し早々に、いったい何者が?しかし、じっとしているわけにはいかない。サラはテニスラケットを手にすると侵入者に向かって思い切り振り下ろした。
コロラド州デンバー。ダンは、亡き伯父であり、共同経営者だったチャーリーの屋敷の扉を開けた。チャーリーの遺言によって年若い未亡人コリーンに遺された会社の株を譲ってもらうためだった。いったい伯父はなぜあんな遺言を残したのだろう。このままでは、社の実質上の経営権は彼女に奪われてしまう。
奥州八戸よりの旅を急いで江戸は飛鳥天王社の境内にさしかかったのは、妻お霜と愛児のおみやを同道した吾妻一平であった。北町奉行となった遠山左衛門尉景元の密命を受けた一兵が、八戸に闇太郎様にまつわる奇怪な謎を探っての帰途であった。江戸に近づいた一兵は、ふと目にした「闇太郎様」と書かれた紙切れに誘導されて踏み込んだ荒れ寺で、墓場のような地獄の闇を思わせる深い穴の中へと落とし込まれてしまった。日本に亡命したイエス・キリストは八戸太郎と改名、その子孫は生きつづけているという。それが妖しの闇太郎様か、黒頭巾に面を包んだ遠山景元は秘かに常磐津文字千賀を訪ね、元大目付松本左膳の屋敷への潜入を命じた。遠山金さん奉行の活躍は、伝奇傑作長編。
連戦即決で解決したはずの人質篭城銀行強盗事件の陰に、意外にも大手不動産会社と与党大物政治家を長とする土地問題等委員会に一大疑獄が隠されていた。特捜の若手検事たちが再三、正体不明の殺し屋に襲われる事態に、ガードについたのがご存じ竜崎軍団だった。一方、パリの国際刑事機構から、警察庁外事課へ麻薬取締まり強化の指令が飛んできた。いまや全世界を恐怖に陥れている新麻薬クラックをめぐっての国際的陰謀が、この日本国のどこかで実現しようとしている。銀行強盗事件・特捜検事襲撃など、一見無関係に見える二つの線がつながってきた。-悪の世界三大組織を敵に回して奮闘するはおなじみの美女リタ・グレイと竜崎軍団、そして伴、アップテンポに展開する激賛、戦慄の第20弾。
神道夢想流杖術をよくする若き武術家霧波秋彦と片倉麻里は、パリ帰りの令嬢新納深雪を護衛して北海道に住む祖母の家に向った。着いた途端、正体不明の暴漢に襲われ危うく撃退する。そこへまた護衛を連れた少女が現われ、自分が深雪だと名のる。どちらが本物か探ってゆくと莫大な遺産問題が浮かびあがってきた。強奪を図る黒幕に怒りの杖術が唸る。