1991年8月発売
最愛の妻たる美女ヘレネーを誘惑されたことに腹を立てたスパルタ王は、トロイアに宣戦を布告。ふたつの都市の間に、ついに戦いの火蓋が切って落とされた。おりしも、滅亡の予兆のごとき大地震がトロイアの街を襲来。しかも不吉なことに、太陽神の神殿では神の御使いたる大蛇が死んだ。混乱の中で、カッサンドラーは、神々までがトロイアを滅ぼそうとしている夢を見るが…。トロイア戦争に想を得た大叙事詩、堂々の完結。
周囲の反対を押し切って、先祖代代敵対するアラデック家の息子と結婚した妹ホリイ。ところが、何者かの扇動による中傷記事によって二人が営む厩舎が窮地に追い込まれてしまった。憎悪に満ちた記事を陰で操る黒幕は誰か?チャンピオン騎手のキット・フィールディングは、妹夫婦の唯一の味方として背後関係を調べ始めるが、やがて彼の身にも魔手がのび始めた。徒手空拳の騎手がマスコミ界を相手に奔走するシリーズ第24弾。
真夜中にインディアン保留地の砂漠で、セスナが着陸に失敗して大破した。どうやら麻薬を密輸中だったらしい。しかし機の残骸から麻薬は発見されなかった。爆発の直後に何者かが持ち去ったのか?別件の捜査中に事件を目撃したジム・チー巡査は、連邦警察から疑いの目をむけられ、権限外の捜査に踏み出すが…。映画化も決定した全米ベストセラー作家の話題作。
ミドケミアを震憾させたリフトウォーが終結して20年が過ぎた。諸島王国の王弟アルサの双子の息子、ボリクとエアランドも、すでに19歳。平穏な日々をいいことに、二人の王子は、王家の一員としての義務もそっちのけで放蕩三昧の毎日を送っていた。そんなある日、隣国の大ケッシュ帝国から、女帝の誕生祝賀会への招待状をたずさえた使者がやってきた。ケッシュと友好的な関係を結び、同時に息子たちに王子としての自覚を持たせるチャンスとばかりに、アルサは、双子の兄弟を使節として派遣することに決定。王子一行は、意気揚々と砂漠の国ケッシュへと出発した。行く手に恐るべき陰謀が待ち受けているとも知らずに…。壮大なスケールでトールキンの『指輪物語』を越えた評判の〈リフトウォー・サーガ〉の世界を舞台に若き王子たちが繰り広げる幻想冒険活劇、ついに登場。
緑あふれる季節をむかえたヴァーモント-1984年。ニューヨークで大人気のシックな雑誌『カントリー・デイズ』の本社はここにある。人生相談のコラムを連載中のルーシー・スペンサーもここに住み、編集長のヒルドンと愛人関係を続けながら、手紙の最後にいつも「愛している」と書いてきた別れた恋人のことを忘れかねている。この静かな田園を、ある日突然小さなハリケーンが襲った。ルーシーの姪でハリウッドの子役スターであるニコルが、休暇で訪ねてきたのだ。テレビのソープオペラ『情熱の輝き』で有名になった、むずかしい年頃の14歳である。夫の浮気に気づいたヒルドンの妻、ホモの記者、雑誌の内幕を取材にきた女性ライター、ニコルのエージェント、『情熱の輝き』のノヴェライゼーション作家などがいりみだれて始まった、なつかしい1984年の夏の行方は…。ユーモラスにエレガントに、アメリカの時と人々を封じ込めた代表的長篇。
第一次大戦さなかの1917年。オスマン・トルコ軍は、劣勢に立たされながらも、イギリス軍と激しい戦闘を繰り広げていた。そんな中、トルコ軍の軍事機密をイギリス側に流し続ける美貌のユダヤ人女性がいた。彼女の名前はルース・メンデルソン。恋人サウルの影響を受けた彼女は、イギリスがパレスチナを解放した後、そこにユダヤ人の国家を建設することを夢見ていた。だが、その活動がトルコ側に知られてしまった。ルースとその父親を捕らえたトルコ軍の司令官ムラドは、即座に二人を抹殺しようとする。しかし、軍事顧問のドイツ人、フォン・トラウプ伯爵の策略を受け入れ、ルースをその道具にすることにした。彼女をトルコのスパイにさせて、イギリス軍のエルサレム進攻作戦を探らせようというのだ。別人になりすました彼女は、イギリス軍が駐屯するカイロに密かに潜入した。アラビアのロレンス、アレンビー将軍など実在の人物を巧みに織り込んで描く、絢爛たるスパイ・サスペンス。
「ヨットマンのエベレスト」と讃えられる世界一周の「ランカスター・グレート・サークル・レース」。イギリスのポーツマスを出発して大西洋を越え、ケープタウンを回ってシドニー、リオ・デ・ジャネイロ、そしてポーツマスに至る、雄大かつ危険に満ちた大ヨット・レースである。勝者の栄冠を求め、全世界からヨット乗りたちがエントリーする-。操船ミスの汚名をそそがんとするイギリスのエド・コール、豪放磊落なオーストラリア人チューブズ・マーフィ、祖父の代から海で生計をたてているアメリカ人アート・シャッカー、人気を取り戻そうとあせるテレビ司会者デイブ・ケリー、フランス貴族の末裔アンリ・ド・ロシャンボー、女性クルーのエミリー・デハビランドとハリエット・アグニュー…。それぞれの思惑を胸にスタートした彼らを待ち受けるかずかずの苦難。大いなる波涛を越えて、栄光のポーツマスに一位で辿りつくのは誰か?「海のディック・フランシス」と賞賛される気鋭作家が、海を愛する人々の勇気と連帯を爽やかに描く壮大な冒険小説。
白鳥雅也-表向きは輸入ブローカーだが、実の姿は国際刑事警察機構の秘密捜査官である。幾たびとなく任務で生死の境をくぐり抜けてきた彼に、新たな指令が下った。ハンブルグ港であがった東洋人女性の腐乱死体を捜査せよとのことだ。被害者はマダム・オカダと名乗り、ヨーロッパに長期滞在している若い日本人女性に目をつけては金になる仕事があると持ちかけていたという。背後に大がかりな人身売買組織の匂いを嗅ぎつけた白鳥はヒッピーに身をやつし、盛り場に潜入する。ハード・アクションの巨匠、渾身の力作。
日吉組の開帳する手ホンビキの盆に、胴師として招かれた達夫とその恋人花江は、組の幹部伊勢に呼びとめられた。姐さんの鶴子に手を出した達夫はあやうく大切な親指をつぶされるところだったが、友人の布村京吉に救われた。達夫の身代りとなって親指をたたきつぶされた京吉は、日吉組に盃を返し、沖津組に身を寄せたが、やがて賭場で伊勢と勝負する日がやってきた。「獣の倫理」他、七篇を収録。
好遇という文字につられてソープランドのボイラーマンになったボクは、入社したその日に童貞を奪われ、一日五人のソープ嬢の練習台にさせられる羽目になった。これじゃ体がもたないよ、と嘆いていたら、コワーイ女社長が今度はソープ嬢をスカウトしてこい、という。ボクはもう破れかぶれで街に飛び出し、女の子にアタック開始…。哀しくもおかしいボクのソープランド奮戦記。
ライターの大坪卓也は、北海道北士別町の通史執筆の依頼を受けた。酷寒だがいたって平和な町で、四十年前に起きた猟銃乱射事件だけが、「オンネベツの血の祝言」と呼ばれ、人々に語り継がれていた。気温が零下二十度をまわったある夜、一人の老人が凍死した。気温が下がるにつれ、死者は続いた。二週間で七人ー不審に感じた卓也は、ある日犬を追いかける龍巻状の吹雪を目撃する。超自然パニックノベル。
再建された西洋帆船の完成が間近に迫り、田沼意知は太陽丸と命名した。意次の意をくみ、船はロシアとの通商に使うことが決まった。この太陽丸を位内周助と鷹白らが襲撃した。なんとか焼失を免れた太陽丸は西廻りで蝦夷へ向かったが、途中またしても黒子の戦士・烏羽丸に襲われる。黒潮を血で染める戦闘が続く一方、白鬼の保護者・宙斎は黒子の於宇女に魅せられ、意知から離脱しつつあった。快調第四弾。
“わたし”のアパートの隣人モリーが何者かに絞殺された。しかも、三階に住むタロット占い師のアニヤがそれを予言していたという。“わたし”は調査を開始したが、モリーの別居中の亭主や、占い師のお告げを狂信する食料品店の主人などうさん臭い人物がゾロゾロー。チョコレート中毒で鳥恐怖症、八分の一インディアンの女探偵シャロンがLAを東奔西走して事件を解決する。微笑と涙が盛り沢山の、シリーズ第一弾。
春秋時代、鄭の繆公の娘夏姫が笄年を迎えた。娘たちは十五歳になると髪を結い笄をつけて成人を祝うのだ。宴も果てた夜半、星冠に羽衣をまとった偉丈夫が夏姫の夢枕に立った。その類まれな美質を愛でて合歓の術をさずけるという。寝衣をすべらせ、輝くばかりの裸身を偉丈夫の前に横たえた夏姫の耳に、やがて妙なる天上の楽が鳴り響きはじめた…。夢の面影を求めて旅する夏姫の愛と性の遍歴物語。
結婚に失敗し、精神的に疲れていたロバート・フォレスターにとって、幸せそうに生活する女性ジェニファーの姿をこっそり眺めることが、唯一のやすらぎだった。ある夜、ついに見つかってしまった彼を、意外にもジェニファーは暖かく迎え入れてくれる。その上、彼の孤独感に共鳴し、出会いを運命的なものと感じた彼女は恋人グレッグとの婚約を破棄してしまった。嫉妬と復讐にかられたグレッグは、ロバートを執拗にねらうが…。
我が親父・冴木涼介は、東京・六本木に事務所を構える私立探偵。だが実際はずぼらで頼りがいゼロ、そのうえ女好きという、まったくの不良中年、アパートの大家さん・圭子ママの特別優遇で健気に生きてる僕・隆が、適度な不良高校生なのは仕方がない。そんな親父が密かに狙っている、僕の家庭教師・麻里さんが奇妙な事件の依頼主を連れてきた…。痛快アクションミステリー。
東京デパートに就職した西沢雄太郎。採用理由は、最も女にもてそうにない醜男で女の職場に害を及ぼさない、というものだった。だが、会社の思惑とは裏腹に女運は彼に味方した。社員の姉妹や母娘、美人秘書たちの数々の名器、珍器をものにしながら、西沢はデパート内に異彩を放ち、着実に出世の階段を昇りはじめる…。官能サクセス・ストーリー
横浜の港の見える丘公園で、エリート社員・久保木が絞殺された。県警の薬師寺は、久保木のライバルに着目するが、彼には第三者によるアリバイが。数日後、長崎での久保木の葬儀前夜、第二の殺人が起きた。苦悩する薬師寺は、妹の友人・美緒とその恋人・壮に相談、新たな視点から事件に取り組むが、そこにも時間の壁が立ちはだかっていた。アリバイ崩しの本格推理。