1991年8月発売
アサストン公爵は、結婚相手として女たちの憧れの的だった。モナコ滞在中女たちの執拗な求婚についに嫌気がさし、ひとり、アルジェに住む親友ニコライをたずねる。公爵は、ニコライ夫婦の愛に満ちた生活をまのあたりにし真実の愛を羨ましく思う。ある日、気晴らしに行った奴隷市場で競売にかけられていたイギリス娘セリナに出会う。
メアリーは、州立大学の図書館に勤めるため故郷ルイジアナに帰ってきた。出迎えたのは、母と祖母、そして幼なじみのキップだった。メアリーにとって、キップは兄のような存在だった。そう、7年前のある夜、抱きしめられるまでは…。
ソシアルワーカーのシンディは目の不自由な人が信号を渡るのを助けようと手を差し伸べた。ところが、彼はシカゴ市警の刑事でサングラスをかけて立っていたのは仕事のためだった。ああ、こんなセクシーな人が刑事なんて!瞳を輝かせる男には心ひかれたがシンディには、人に言いたくない過去があった。
文久三年騒然たる幕末の風雲に包まれた江戸に出現した怪しの結社卍組、神田お玉ガ池の広大な屋敷に住む卍組の党首は汐見田一笑、副頭領はその息隼人であった。水戸浪士で世に名高き兵学者市瀬右有斎の美しい娘お妙は、岡っ引き蜘蛛の長六にひきたてられ、卍組のもとに拉致された。隼人や一味の赤痣の男法川左近次の魔手がお妙のうえに迫ったとき、金泥をもって「八咫烏」と書かれた黒羽根の矢が飛来した。八咫烏の正体とは。そして、兵学者右有斎の秘書「築地図録」のうち欠損の一枚を入手せんと狂奔する卍組の一党のまえに立ちふさがる正義の若侍は、京より江戸へ下ってきた長門小次郎であった。舞台は日光へ!スケールも大きく展開する伝奇長編時代小説の雄編。
天保七年のころ、大江戸の闇の中で暗躍する隠れ切支丹の一味があった。黒神さまと呼ばれる首領の下に黒衣の忍者刺客団が江戸の町を恐怖のどん底に陥れていた。大伝馬町の太物問屋「桔梗屋」の娘お新を初めとしてつぎつぎに大家の娘たちが黒神さまの手によって掠われていた。六人目に狙われたのが水野家の八重であった。江戸へ戻った女賊女狐のお蝶は、黒神さまの秘密を探るため八重の身代わりに立った。お蝶の父親、目明かしの佐平次が黒神さまに殺されたことを知ったお蝶は、仇討ちのため敢然とこの危難に立ち向かった。島原の乱で滅亡した天草四郎の末孫という黒神さま一党の倒幕の隠謀を阻止するため、西郡伊太郎とその剣友の鬼同心茨三十郎とが立ち上がった。
「金曜日、家庭教師が殺される」-事件は予告どおりに起きた。最初の犠牲者は、サイパンのプールで、冬物の三つ揃いのスーツ姿で発見された。なぜ常夏の島で、しかも礼儀正しい死体で発見されたのか…。死体発見者の家庭教師・軽井沢純子は、この難解な例題を解くべく行動を開始したが、彼女を待っていたのは、等々力渓谷で発見された不思議な死体だった…。
厳重な警戒にもかかわらず、来日した王妃が羽田空港で何者かに狙撃された。幸い無傷ですんだものの、暗殺者集団はしつように王妃をつけ狙う。王妃をひそかに護衛する、特命武装巡察官の朱雀豪介。暗殺者たちとの間に展開する壮絶な戦いのゆくえは-。傑作官能アクション。
男の恋人からプロポーズされたゲイボーイの純情。かたぎの友人に仁義を通す極道のまごころ。青春の夢と恋を土俵に賭ける力士の情熱-。巧みなユーモアとペーソスでつづる最新小説集。
本書において著者は、詩人でありかつ作家であることがもたらす繊細でやわらかな感受性をはたらかせ、朔太郎の内部と外部をどこまでも正確な緊密さをもって追いかけている。『猫町』を糸口にすると朔太郎はどのように見えてくるか?
アメリカ文学界に決定的衝撃を与え、この一冊によって現在までブロドキーを巨匠と呼ばせる名著中の名著。美しい姉への憧れと、少年の揺れ動く心を静謐な筆致で描いた表題作他、アメリカ青春文学に永遠の輝きを放つ一冊、ついに登場。
核活動を停止させる〈核の毛布〉の発明は、人類に苛酷なエネルギー危機をもたらした。全世界が疲弊し、人々が科学よりも糧を求めた結果、科学者たちは社会から追放された。だがそんな時代にも、星空に耳を傾けることを忘れない一人の天文学者がいた。そしてある日、彼ができあいの個人天文台で受信した天空からの信号は、人類をふたたび宇宙へ船出させる切符となったのである。
人類は極秘裡に、全地球的組織〈パンゲア・コンソーシアム〉を結成していた。彼らは、刻々と太陽系に接近してくる〈送信者〉を出迎えるため、地球軌道上でまったく新しい駆動システムのコンタクト用宇宙船の建造にとりかかる。大宇宙を、ふたたび人間の手に取り戻すのだ。やがて、人類の誇りを賭けた一大プロジェクトは、人類初の恒星間宇宙船を発進させた。迫真の近未来SF。