1991年発売
「性」以前の澄明な精神を求めて、自らを〈僕〉と称する女子高生徒。17歳のうつろいやすい魂とジェンダーのうっとうしさを描いて、時代の皮膚を垂直に刺す第9回「海燕」新人文学賞受賞作。
一通の手紙からはじまった奇妙な旅。旅先で出会うのは愛すべきおかしな連中ばかり。アーヴィング、ヴォネガットに続く異才が放つ、パワフルでユーモラスなロード・ノヴェルの傑作。
南アフリカ北西部のとある閑静な漁村。この平和な土地にある犯罪者を追って圧政者イネス署長が乗りこんできたことから、物語は意外な展開を遂げていく。-漂流者や流れ者などさまざまな人々のるつぼのような架空の村を舞台に繰り広げられる、魔術的リアリズムに満ちた異色小説。
ヒーローでもヒロインでもないし、腹心の友でも悪漢でもないが、オペラで大団円をもたらすのに必要不可欠な役柄は「五番目の男」と呼ばれていた。カナダの小さな村で生まれたダンスタン・ラムゼイは、悪友がいたずらで投げた雪つぶてがもとで、人生の歯車が大きく狂っていく。第一次大戦への参加、聖人研究の旅、奇妙な魔術団との出会い、さまざまな女性遍歴。奇々怪々なこの一篇の物語の中で、「五番目の男」の役割を果すのは一体誰なのか?カナダ文学界の大御所ロバート・デイヴィスの代表作、本邦初紹介。
愛する高校生の息子をめぐって、妬み、悲しみながらも、惜しみなく女体を開く二人の母。義母・季里子…三十二歳、実母・彩子…三十七歳。円熟した女の色香が漂う二人には、息子に抱かれる背徳の意識は消えていた。あるのは、女の業、確執、愉悦を貪う魔性…。そして、悲劇はすぐそこまで迫っていた。
現代社会の裏面と闇にうごめく“悪”に切り込み、おぞましいまでの人間の営みをもさらけ出さずにはおかない鋭利な視点をもって、男女の葛藤とその深層に迫り、ミステリーの手法を駆使して創造する名手の珠玉傑作群。
豊かな想像力が造る巨匠・新鋭の代表作25編。今、もっとも面白い良質のエンターテイメントの金字塔。その歴史・時代小説の充実の証しとなる、ヴァラエティ溢れる年度版アンソロジー。
スペインの誇り高い少数民族バスク人達に独立の日は来るか?殺された家族の復讐に燃えるテロリスト男女と、修道女4人の恐怖のスペイン縦断徒歩旅行が始まる。恋することを禁じられた修道女達にも様々な過去や秘密がある。死にたいほどつらい毎日から逃れ、祈りに救いを見いだしたグラシエラ。“神などくそくらえ”のルチア…。口封じのため彼女達を必死に追跡するスペイン官憲。米国の巨大企業経営者の重大な秘密をスペインに探す幹部社員…。恐怖の中に笑いを盛り込んだ新しいタイプの長編サスペンス。
スペインの誇り高い少数民族バスク人達に独立の日は来るか?殺された家族の復讐に燃えるテロリスト男女と、修道女4人の恐怖のスペイン縦断徒歩旅行が始まる。恋することを禁じられた修道女達にも様々な過去や秘密がある。死にたいほどつらい毎日から逃れ、祈りに救いを見いだしたグラシエラ。“神などくそくらえ”のルチア…。口封じのため彼女達を必死に追跡するスペイン官憲。米国の巨大企業経営者の重大な秘密をスペインに探す幹部社員…。恐怖の中に笑いを盛り込んだ新しいタイプの長編サスペンス。
オレはロックバンド“エナジー”のボーカリスト“冴島讐”、通称“キャッシュ”。モノホンのハニーブロンドに彫の深いマスク、そして最高にセクシーなボイスーもちろんまわりは、オレを見たさにやってくるキャピキャピの若いオンナでいっぱいだ。ところがだ、超一流のお嬢様とデート中のハンサムでクールで非の打ちどころのないオレの前に現れたニヤケ面のヘンな奴のおかげで、オレはたて続けの不幸に見舞われることに…。吸血鬼VS喰人鬼、恐怖のアクションノー天気コメディ第1弾。
一見身勝手で不器用な明治の武人とそれに殉じた妻。「軍神」「烈婦」とたたえられた一組の夫婦の間に交錯した夫婦の愛憎を描き、秘められた真実の声を探る。巷間伝えられるように、妻静子は従容として死に就いたのか。膨大な資料をもとに、鋭い観察眼で新たな乃木夫妻像を作り上げた渡辺伝記文学の傑作。文芸春秋読者賞受賞作。