1991年発売
健治たちが化石採取に出かけた時のこと、変な男に声を掛けられ、三葉虫の化石を手渡された。それは、“復讐ノ時ハ迫レリ、反銀河同盟”と書かれた挑戦状だった。きっと、健治たちが以前やっつけた時間犯罪人たちが、再び活動を開始したに違いない。彼らは悪人を追ってデボン紀にタイムスリップー。そこでは、時間の流れを変えようとする恐ろしい企てが…。
男の欲望をそそる紺の制服に身を包んだスチュワーデス亜佐。人気のない機内で豊満な肉体を晒す。男を惑わす秘密の花園は馨しい香りをはなち、男の熱い欲望を子宮奥深く注ぎ込まれる。淫花から蜜を垂れ流し、熱く燃えたぎった肉体を制服に包んだスチュワーデス亜佐の淫らなフライトはー。
主人公のハバカク・パートンの祖父は熱心な清教徒で、ジャマイカ島東部のモラント湾地域に入植して砂糖黍農園を拓いたのだった。パートンは農園の中の広くて白い家で何不自由なく育った。不幸は突然おとずれる。10歳の時コレラが流行し、祖父、父、兄を一時に奪われたのである。村の教会の世話役だった男が、いかにも信心深い男やもめが敬虔な未亡人に話すのにふさわしい言葉を聖書を引用して悔やみを言いにきた。3年後、世間知らずの母はこの男と再婚した。しかし、この男の狙いは最初から農園をわが物とすることで、13歳のパートンはバルバドス島の農園に年季奉公にだされた。パートンが水夫となってバルバドス島を抜けだし、何年かのちジャマイカ島にたどりついた時、母は死に、自分は失踪人とされ、妹2人は家から一歩もだされず小間使い同然とされていた。ヤケになり、泥酔しては喧嘩し、ついに人を殺して海軍に逃げこんだパートンを拾ってくれたのは、負けず嫌いで腕っ節が強いのを見こんだ現地謀報部のキャメロンだった。
ゴッホ今泉のイラストが発端だった。肌を鱗に覆われた爬虫人類たちが恐竜に跨り、荒野を駆け巡る-。その世界に衝撃を受けた榎戸洋司が、彼らの生き様を書き下した。超ファンタジー小説集。
出会った時からずっと、2人はいつでも2人きりで満天の星空の下にいるような気がした…。そしていつも何となく悲しいような感じがした。-二人の運命的な出会いと愛のかたちを通し、かなたにある希望と幸せを描いた「キッチン」に続く第二作品集。芸術選奨新人賞受賞。
純粋であるがゆえに薄幸な人生を送らざるをえなかった一人の女を描いた「純な心」、「無上の栄光を手にするかわり、自らの両親を殺めることになるだろう」という不吉な予言に翻弄される男の物語(「聖ジュリアン伝」)、サロメの首をモチーフにした「ヘロディア」の3篇収録。フロベール最晩年の傑作。
家に帰ってみると、パパがいなかった。働いているママに、ちゃんと食器を洗っとくって約束したのに。骨のおれるパパを持つことは骨のおれることだー。不安から働くことができなくなった父をみつめる少年ヨアキムの日々を描く連作の第1作。1990年国際アンデルセン賞作家賞受賞作。
“最新流行は生きた培養組織でつくられたフェティッシュなスキン2ファッション。モードに包まれた彼女はアルーア〈蠱惑〉の奴隷。やがて彼女の完壁な肉体は皮膚プラスチックのボディスーツに吸収され、魂だけがクチュールの中で生き続ける”。自動人形三部作を含む官能のナノテクSF。
メキシコの新しい文学の先駆者である著者がバタイユの『エロスの涙』に触発され、耐えがたい苦痛にあると同時に恍惚的な愛の儀式を偏倚で執拗な事物の描写を通して描きだした未聞の残酷怪奇譚。解剖学、写真術、心霊術、中国幻想、性愛術を巡る言葉が綯い交ぜとなって強迫的に読者を襲うヌーボー・ロマンの知られざる傑作。