1992年12月1日発売
『フロベールの鸚鵡』『10・1/2章で書かれた世界の歴史』と、知的で愉快な小説のはなれわざを見せたJ・Bが「普通の」小説に挑んだ。一人の女の一生を、少女時代から結婚生活への幻滅、世界の七不思議を求めての旅と、2021年までたどっていく。もちろんJ・Bならではの皮肉な人生観察も効いている。
あまりに事実そのもの。だからフィクション。野望、葛藤、利権、醜聞、謀略-。中東湾岸のある石油王国に渦巻く政治、経済、社会の実態を衝撃的にあぶりだした本邦初のアラブ内幕小説。
見事な肉体とセクシーな笑顔、ちょっと淫らなとこもあるけれど滅法強い型破り刑事、風巻…。少年っぽい甘い美貌がおよそ職業とミスマッチな、通称K町署のお荷物刑事、冬木…。エキゾチックな街、横浜を舞台に繰り広げられる男たちのちょっぴり哀しい辛口アクション・ラブストーリー。
春の日が沈みかける長谷部邸の広壮な庭、ひとり息子の翔一は、これから一つ年下の弟となる圭に初めて出会った。まるで秘密の花園に迷いこんできた少女のような妖しく儚げな美しさを湛えた圭に、翔一の心は騒ぐ。何かが起こる…。あまりにも美しすぎる幻の花のような姿に、そんな予感すら覚えるのだった-。
美由紀は愛する夫と2人の息子をもつ平凡な主婦。友人の新居パーティの席上、思いがけず大学時代の不倫が暴露された。いたたまれず飛出した美由樹は、その新居がかつて愛した男の家のそばであることに気づく。だが、懐かしさで訪ねたそこは廃屋となり、一体の地蔵が残されているだけだった-。家庭の幸せに安穏とする主婦が陥っていく蟻地獄の恐怖を戦慄のタッチで描く長篇サスペンス。書下ろし。
武久組の武久雄治はプロ拳法の格闘競技者。ヤクザ社会の違法無頼を嫌った雄治に六代目襲名の時がきた。それには五代目の父を完全に退け、稼業を“改革”することが条件だった。だが、違法を行なわず、任侠の真義にもとることのない武久組を望む雄治の前に、縄張りをめぐる熾烈な抗争が待ちうけていたー。死を賭した男たちの闘いを描く長篇アウトロー小説。
なにも知らない子どもだった私は、ロールのパパ、ママの愛人、かかりつけの医者に、つぎつぎと弄ばれ、どんどん悪い子になっていく。でも私はそれが嫌いじゃないみたい…。みずみずしいタッチと軽快なテンポで描いた少女ソフィの性の受難と復讐の物語。
1959年、駆け出しの翻訳者だった頃、僕は沙知と結婚した。その頃、僕にとってのアメリカは、古本屋にひっそりと積まれてあるペイパーバックや、アメリカの雑誌のことであって、アメリカに行くことなど夢にも考えていなかった。アメリカ文学の翻訳家であり、直木賞作家として知られる常盤新平が若き日を描く青春小説。
桃花薫る五月。カリフォルニアの小都市パラディソは、桃花祭コンテストで選ばれるクイーン(別名プリティ・ペギー・スー)の話題でもちきりだった。しかし、発表に前日、プリティ・ペギー・スーは、高校のロッカーで死体となって発見された。候補者は四人。美のレイシー、知のレイヴン、好感度のキキ、才能のエイプリル。いずれ劣らぬ美少女たちだが、はたして死の冠をいただくのは誰か?瑞々しい筆致で描かれる少女たちのささやき、少年たちの息遣い、大人たちの憂鬱。そして…殺意。犯人探しと共に“被害者当て”の興味もそそる本格派スリラー。
〈プリティ・ペギー・スー〉は殺された。愛しいひとの待つポンデロサの木の下で。殺人現場で発見されたスパナには、被害者の毛根が付着していた。スパナの持ち主が逮捕され、フェスティバルのクイーンは新たに選ばれることになる。しかし、事件は終わったわけではなかった…。どの人間にも、疑いの目を向ければ、動機があった。優しい仮面の下には憎しみが。穏やかな微笑みの裏には狂気が。幸せな生活の陰には地獄の苦しみが…。残忍な殺人事件をきっかけに、一見、平和でのどかな田舎町の陰が暴かれていく。