1992年発売
札幌女子大学旅行研究会はJR北海の〈レジャーエクスプレス〉を利用した弘前りんご狩りツアーを計画。女子大生87名を乗せ札幌を出発した列車は函館を経て、廃止が決まった青函連絡船で青森へ向かう予定だった。ところが、JR北海とJR東部日本にこの一行を列車ごと誘拐したとの脅迫状が届いた。八戸へ上陸させ、他の列車のダイヤ変更を要求する犯人の目的は一体何か?長篇本格トラベル・ミステリー。
“大英帝国”隆盛の礎を築きあげた海の勇者たち。彼らの壮絶な運命は、スコットランドの魔女から不死の命を宣告された船乗りマシュー・ローによって目撃されてきた。そして1805年、彼はネルソン提督のもと、世界の海軍史上に残るトラファルガー海戦に立ち向かう…。英国の海の英雄たち、奴隷貿易の暗黒を壮大なスケールで描いた傑作海洋小説。巨匠モンサラットの遺作となった三部作の完結篇。
イギリスの田舎の古い荘園屋敷クルック。その主人である老古生物学者サー・ヒューゴー・コールは大脳の発作により植物人間と化し、車椅子の生活を余儀なくされていた。「あの悪魔のような男フレッジを新しい執事に妻が雇わなければ、私も車椅子に座っていなかっただろう」妻と執事の仲を疑い、事実に妄想の混ざりこむ老人の話は、やがて屋敷を崩壊へと導く1つの殺人事件を語りはじめる…。
内閣調査室副室長からオチコボレ親子探偵、冴木涼介・隆の事務所へ来日した東南アジアの島国ライールの王女ミオの護衛依頼がきた。だが、政情不安、王位継承で謀略渦巻くお国柄。政府筋に雇われた殺し屋が隆たちを狙った暗躍しはじめる。その間隙をぬって「カマル教団」がミオを本国へ連れ去ってしまう。ミオを追って親子はライールに飛んだが。
鬼同心・鬼頭一角が率いる捕方組に目潰しを喰らい視力を失った剣豪・京極斑鳩之介は、一枚絵にもなる女の許に匿われる。そこで起臥する人々の情と欲望に触れながら、捕方の動静を窺う斑鳩之介は、追手が次第に迫りくる気配を感じ取る。密かに居を変える斑鳩之介だが、執拗に首を狙う鬼頭は斑鳩之介昵懇の女を拉致し、陰惨な罠を張りめぐらせる。
四条家は福島県会津地方一の名家で、堂々たる屋敷には、修復されたばかりの白壁の蔵があった。史上最年少の17歳で本因坊の栄冠に輝いた牧場智久と、同行取材の槙村たち4人は、四条家へ招待された。その翌朝、蔵壁のまだ柔らかな部分に、何者かにバラバラにされ埋め込まれた首なし死体が発見された。首は川原で発見され、被害者は18年間行方不明だった四条家の次男安樹と判明。さらに翌日、蔵の中で長女が狂女の面をかぶったまま惨殺されていた-。この村に伝わる陰惨な言い伝えどおりの連続殺人だった…。本格推理の醍醐味と戦慄のサスペンスとの絶妙な融合、鬼才が推理ファンに問う全力書下ろし力作。
「やったぁ!」やっと、憧れのNY便の乗務が決まり、喜んだのもつかの間、翔子たちと同期で訓練を受けた女の子が殺された。事件の鍵は、どうやらNYに!ところが、NY便で翔子の担当したファーストクラスの中年女性が急病になり、機内は一騒動。そしてなんと、その女性こそが翔子の…。クリスマスのNYで、翔子を待つものは?シリーズ第三弾。
横浜駅西口のホテルで、宿泊客の女性が殺された。容疑者として同宿した男性が浮かび、一件落着かに思えた。だが、初動捜査後、横須賀に飛んだ捜査一課の宮川刑事の前に、被害者の意外な過去が…。事件は思わぬ方向に進展した。犯人の足どりはぷっつりと跡絶え、日米の捜査の厚い壁が…。警察機構を熟知する著者が、書下ろした異色の刑事小説。
色白で目が大きく、「姫若子」と渾名されていた長宗我部家の若殿、元親は、初陣の日に意外にも勇敢な荒武者ぶりを発揮。やがて縦横の機略をめぐらし、周到な駆け引きによって、四国全土を掌握した。しかし、豊臣秀吉の台頭により、せっかく手に入れた三国を奪われ、もとの土佐一国にもどされる…。全国統一を夢みた男の野望に満ちた生涯を描く力作。
ファーンハースト卿の娘、セルマは、大伯母の莫大な遺産を相続した。そのことを聞きつけた継母は、セルマを自分の愛人と結婚させその財産をものにしようと企む。陰謀を知ったセルマは、財産の処分を禁じた指図書を弁護士に送り、馬丁ひとりを供に家を飛び出した。
私にぴったりの男性が、この地球のどこかにいるはずだわ-。広告会社のアシスタントをしているジェシーはそんな男性との出会いを求めていた。今日も家に帰ると、登録したデートサービス会社から紹介状が来ている。手紙を手に家に入ろうとしたとき、隣に引越してきたらしいとびきりハンサムな男性を見かけ、ジェシーの胸はときめいた。だが、彼の目はジェシーの持っている手紙に注がれていた…。
亡くなった母の代わりをするようになってから10年。牧師館の長女ダフネは、牧師である父、5人の弟妹たちと貧しいが幸せに満ちた生活を送っていた。そんなある日のこと、ダフネはひとまわり以上も年上の鉱山家、ジョン・カーに求婚される。妻になって身の回りの世話をしてくれるならば、その代わりに貧しい父と弟妹たちを援助する、というのだ。これはゲームだわ。ダフネは、そう考えて結婚を決意するのだが…。恋の意味さえ知らないダフネの、人生のゲームが始まった。
こんな男が日本にもいたのか…。切支丹の司祭オルガンティーノも舌を巻いた。“天下布武”の野望を抱いて、戦国の天下を震憾させた織田信長、“大うつけ”といわれるその奇矯な行ないの裏に、緻密な知略と大胆な決断、そして不敵な行動力を隠して、おのれの野望の構築を賭けて大乱戦国の世を駆け抜けた風雲児・織田信長とは一体いかなる男か。四周の強敵すべてを薙ぎ倒し、また中世的価値観のすべてをも打ち壊して新時代の出現を夢みつづけ、さらには海外への視点をも合わせ持ったこの超人的人物の全生涯を描いて、その魅力のすべてを追及するベテラン風巻絃一の書き下ろし時代長編作。
米国カジノの借金取立て人石黒友行が刺殺され、現金1億8000万円が消えた。有力容疑者は、唯一アリバイのない石黒の情婦愛染小夜子。かつて彼女と情を交わした特捜刑事香月功は、小夜子の潔白を信じて独自捜査を開始したが、直後、今度は、石黒から巨額の取立てを受けていた代議士の秘書が殺害され、事態はますます錯綜した…。はたして小夜子の運命は?連続殺人の真相は…。名手が贈る大人気“顔のない刑事”シリーズ待望の書下ろし第11弾。