1992年発売
内閣調査室副室長からオチコボレ親子探偵、冴木涼介・隆の事務所へ来日した東南アジアの島国ライールの王女ミオの護衛依頼がきた。だが、政情不安、王位継承で謀略渦巻くお国柄。政府筋に雇われた殺し屋が隆たちを狙った暗躍しはじめる。その間隙をぬって「カマル教団」がミオを本国へ連れ去ってしまう。ミオを追って親子はライールに飛んだが。
鬼同心・鬼頭一角が率いる捕方組に目潰しを喰らい視力を失った剣豪・京極斑鳩之介は、一枚絵にもなる女の許に匿われる。そこで起臥する人々の情と欲望に触れながら、捕方の動静を窺う斑鳩之介は、追手が次第に迫りくる気配を感じ取る。密かに居を変える斑鳩之介だが、執拗に首を狙う鬼頭は斑鳩之介昵懇の女を拉致し、陰惨な罠を張りめぐらせる。
四条家は福島県会津地方一の名家で、堂々たる屋敷には、修復されたばかりの白壁の蔵があった。史上最年少の17歳で本因坊の栄冠に輝いた牧場智久と、同行取材の槙村たち4人は、四条家へ招待された。その翌朝、蔵壁のまだ柔らかな部分に、何者かにバラバラにされ埋め込まれた首なし死体が発見された。首は川原で発見され、被害者は18年間行方不明だった四条家の次男安樹と判明。さらに翌日、蔵の中で長女が狂女の面をかぶったまま惨殺されていた-。この村に伝わる陰惨な言い伝えどおりの連続殺人だった…。本格推理の醍醐味と戦慄のサスペンスとの絶妙な融合、鬼才が推理ファンに問う全力書下ろし力作。
「やったぁ!」やっと、憧れのNY便の乗務が決まり、喜んだのもつかの間、翔子たちと同期で訓練を受けた女の子が殺された。事件の鍵は、どうやらNYに!ところが、NY便で翔子の担当したファーストクラスの中年女性が急病になり、機内は一騒動。そしてなんと、その女性こそが翔子の…。クリスマスのNYで、翔子を待つものは?シリーズ第三弾。
横浜駅西口のホテルで、宿泊客の女性が殺された。容疑者として同宿した男性が浮かび、一件落着かに思えた。だが、初動捜査後、横須賀に飛んだ捜査一課の宮川刑事の前に、被害者の意外な過去が…。事件は思わぬ方向に進展した。犯人の足どりはぷっつりと跡絶え、日米の捜査の厚い壁が…。警察機構を熟知する著者が、書下ろした異色の刑事小説。
色白で目が大きく、「姫若子」と渾名されていた長宗我部家の若殿、元親は、初陣の日に意外にも勇敢な荒武者ぶりを発揮。やがて縦横の機略をめぐらし、周到な駆け引きによって、四国全土を掌握した。しかし、豊臣秀吉の台頭により、せっかく手に入れた三国を奪われ、もとの土佐一国にもどされる…。全国統一を夢みた男の野望に満ちた生涯を描く力作。
ファーンハースト卿の娘、セルマは、大伯母の莫大な遺産を相続した。そのことを聞きつけた継母は、セルマを自分の愛人と結婚させその財産をものにしようと企む。陰謀を知ったセルマは、財産の処分を禁じた指図書を弁護士に送り、馬丁ひとりを供に家を飛び出した。
私にぴったりの男性が、この地球のどこかにいるはずだわ-。広告会社のアシスタントをしているジェシーはそんな男性との出会いを求めていた。今日も家に帰ると、登録したデートサービス会社から紹介状が来ている。手紙を手に家に入ろうとしたとき、隣に引越してきたらしいとびきりハンサムな男性を見かけ、ジェシーの胸はときめいた。だが、彼の目はジェシーの持っている手紙に注がれていた…。
亡くなった母の代わりをするようになってから10年。牧師館の長女ダフネは、牧師である父、5人の弟妹たちと貧しいが幸せに満ちた生活を送っていた。そんなある日のこと、ダフネはひとまわり以上も年上の鉱山家、ジョン・カーに求婚される。妻になって身の回りの世話をしてくれるならば、その代わりに貧しい父と弟妹たちを援助する、というのだ。これはゲームだわ。ダフネは、そう考えて結婚を決意するのだが…。恋の意味さえ知らないダフネの、人生のゲームが始まった。
こんな男が日本にもいたのか…。切支丹の司祭オルガンティーノも舌を巻いた。“天下布武”の野望を抱いて、戦国の天下を震憾させた織田信長、“大うつけ”といわれるその奇矯な行ないの裏に、緻密な知略と大胆な決断、そして不敵な行動力を隠して、おのれの野望の構築を賭けて大乱戦国の世を駆け抜けた風雲児・織田信長とは一体いかなる男か。四周の強敵すべてを薙ぎ倒し、また中世的価値観のすべてをも打ち壊して新時代の出現を夢みつづけ、さらには海外への視点をも合わせ持ったこの超人的人物の全生涯を描いて、その魅力のすべてを追及するベテラン風巻絃一の書き下ろし時代長編作。
米国カジノの借金取立て人石黒友行が刺殺され、現金1億8000万円が消えた。有力容疑者は、唯一アリバイのない石黒の情婦愛染小夜子。かつて彼女と情を交わした特捜刑事香月功は、小夜子の潔白を信じて独自捜査を開始したが、直後、今度は、石黒から巨額の取立てを受けていた代議士の秘書が殺害され、事態はますます錯綜した…。はたして小夜子の運命は?連続殺人の真相は…。名手が贈る大人気“顔のない刑事”シリーズ待望の書下ろし第11弾。
蛇魔像を追って、アゴン一行はヒマラヤ山中にいた。だが、逃走するアガシャたちの策略と罠は熾烈を極めた。幻力使い夢龍が引き起こした雪崩によって、シッダールタ(後の仏陀)はザラ国跳人兵士の手に落ち、難を逃れたアゴンたちには、再び夢龍の待ち伏せが…。一方、アガシャによって35年ぶりに蛇魔像が戻ったザラ国は、混乱と緊張の度合を深めていた。国の支配権を握る三巴の暗闘が続いていたのである。果たして35年前に、蛇魔像を巡り何があったのか?話題騒然の〈巻の壱〉に続いて放つ人気巨編の第2弾!
不倫。愛しているから、別れなければならない。女優の彩木操は、別れの手紙を書き部屋を出た。何も知らず、いつものように合鍵を持って訪ねてくる男に宛てたものだ。そして、密かにスペインへと向かった。だが異国の地で待っていたのは、乱気流にも似た揺れ動く愛だった…。女優、ニュースキャスター、シナリオライター、主婦と、4人の女たちが真実の愛を求めてさまよう姿を描く長編恋愛小説。
親に喜んでもらいたくて盗みを働く少年、親を困らせたくて自分の家に火をつける兄弟…。小さな心の奥底で密やかに増殖する悪意を、冷徹な筆致で描く、気鋭女流作家迫真のサスペンスノベル。