1992年発売
目の前で新興宗教の教祖が焼け死んだ途端、俺の中に何かが飛び込んだ。そいつは「私は誰」「ここはどこ」と語りかける-信じがたい出来事が生み出す葛藤、不安、恐怖。焼死の謎、灼熱の恋、そして世界を一変させる衝撃の結末。斬新な発想と緻密な構成で描き切った、究極のミステリー!
キャロラインは最愛の夫とふたりの子供にかこまれ、なに不自由のない生活をおくっていた。だが、19年前の出来事が脳裏から去ることはけっしてなかった。当時5歳だった娘のヘイリーが誘拐され、必死の捜査にもかかわらず、惨殺体となって発見されたのである。犯人が逮捕されぬまま月日はたち、キャロラインはつらい記憶を胸にしまいこんで、新しい家庭を築いた。キャロラインの身辺で奇妙なことが起きはじめたのは、生きていればヘイリーが24歳になる誕生日のことだった。死んだはずのヘイリーの声がどこからともなく聞こえてきたり、墓に黒い蘭の花束が供えられたりしたのだ。さらには、ヘイリーと一緒に消えたはずのピエロの人形が自宅に忽然とあらわれた。19年前の誘拐犯がふたたびもどってきたというのだろうか?息詰まるようなサスペンスと意外な展開で全米書評子から絶賛をあびた大型新人のデビュー作、ついに登場。
大同団結をなしとげた天の川とアンドロメダ。だがその平和も長くは続かなかった。爆発星雲の名残と思われていた宇宙アメーバが、銀河団の存続に脅威となりかねない存在だと判明したのである。だが、詳細も対策も不明。その正体を見きわめ、危機を打開する切り札、それが銀河史上空前のオーラの持ち主にして、卓越した紋章学者の〈癒し手〉ヘラルドだった。アンソニイ畢生の銀河劇〈クラスター〉三部作の壮麗なる完結篇。
最果ての島国ペリヴォーで、ガリオンたちはとうとう〈もはや存在しない場所〉のありかを示す地図を手に入れた。さっそくペリヴォーを出発した一行は、地図を頼りに対決の場所をめざした。運命の時は間近。ガリオンの息子は救われるのか?最後の戦いで命を落とすと予言に謳われたのはいったいだれか?そして、世界を支配することになるのは光か闇か?5年の歳月をかけて書き上げられた壮大なシリーズ、ついに完結。
世界各地で、次々と行方不明になる老人たちーナチス・ドイツの残虐なテロ政策〈夜と霧〉が甦ったのか?暗い過去を背負い、イスラエルに隠遁していた元CIA工作員ソールは、モサド要員だった義父の失踪を知り、探索を開始した。同じ頃、砂模で贖罪の生活を送っていた暗殺者ドルーは、ローマ教皇庁の秘密諜報組織〈石の結社〉から、消えた枢機卿の捜索を命じられた。それぞれの事件を追う2人は、奥深い謀略の渦中へ。
行方不明になった義父を発見する手がかりを求めてアルプス山中の寒村を訪れたソールは、聖識者とおぼしき男たちに襲撃された。一方、ローマの暗黒街で情報を収集していたドルーの前には、超一流の国際的暗殺者が現れた。やがて宿命的に出会ったソールとドルーは、複雑に絡み合った諜略の糸を解きほぐし、手をたずさえて〈夜と霧〉の陰謀と対決する。映画「ランボー」の原作者が放つ、最高にスリリングな冒険アクション。
十字軍遠征のため、騎士トヴィウス卿は南へと旅立った。留守を守るのは、奥方と幼い息子。好奇心あふれる年頃の少年は、禁じられている森へ入り、初代トヴィウス卿が悪漢を処刑した〈首くくりの木〉を七頭竜にみたて切りかかった。触れてはならない木を切った少年は、魔物に連れさられ、魔王の城にとじ込められてしまったが…。本格ファンタジイの名手が中世ヨーロッパを舞台に描く、魔法と恋と冒険にみちた書き下し長篇。
亮が自分の心に住む狼の存在に気付いたのは、中学に入ってからのことだ。ある時、腕力が自慢の上級生に喧嘩を売られた。いきなり殴られ,頭に血が上った亮は向かっていった。そして叩きのめした。同級生たちが止めなければ、亮はその上級生が気を失なうまで殴り続けたに違いない。心に狼の牙を宿した男たちの劇的運命。名手が情の香り豊かに放つ書下し長篇。
警視庁捜査1課の大谷努警部と部下兼恋人の香月弓江刑事は、指名手配中の小山泰の愛人宅を車の中で見張っていた。そこへ突然現われたのが大谷を溺愛する母親である。追い払われた弓江は、近くの神社で倒れている少女を発見した。少女の掌には「建介」と「呪」の文字が書かれていた。しかも意識朦朧の中、少女の口からは「許して…。建介さん…」と謎の言葉が-。同じ頃、人気歌手の田崎建介が六本木のディスコで急死し、事件は意外な方向へ…。大人気のトリオが難事件に挑むユーモア・ハードボイルド第4弾。
虚の中に、その人影はあった。長い黒髪に白磁に似たほそい肩、さやさやと絹ずれの音を放つ美貌の漢こそ、恐るべき炎帝の復活の姿であった。「長安に火を放つ」彼は冷やかに命を下した。西方の拝火教の寺院・〓(よう)祠にはじまって、太極宮内を紅蓮に染める。そして地上の霊気を一身にあつめて天界へ昇り、玉帝を倒すことが、真の狙いであった。顕聖二郎真君は多くの天兵を傷つけ、万里の馬をうばって下界へと出奔し、玉帝の怒りに触れたことを彼は承知していた。向かう所に敵なし!天界と地上は炎帝の掌中に落ちるのか-。
「金だ。金だぜ!」むささび小僧が駆け寄って見る。甲胃も、槍も、刀もみんな黄金であった-。風魔小太郎率いる5人衆は越前北ノ庄城に潜入した。結城家の財宝と新式連発銃の破壊が目的だ。越前藩主松平忠直は、父祖伝来の財宝を軍資金に新式銃を密造し、天下を伺おうとしていたのだ。関ケ原から20余年、将軍家、御三家、名だたる外様大名を巻き込んで時代は再び風雲急を告げようとしていた。風魔、柳生、白山忍者…、武闘集団が繰り広げるデス・バトル。鋭刃閃く本格時代アクション登場。
石神探偵事務所の野上英太郎の所に、突然、少女が現われて“両親を殺した人を捕えて”と強談判。数日後のこと、江戸時代から続く名門遠島寺家の当主で、今は屋敷を改造して旅館の主となっている重義が、野上を訪ねてきた。日く。“人殺しの汚名をすすいでほしい”と。実は先の少女は、重義の兄夫婦の娘で、養女としてひきとっているのだが、その兄夫婦は不慮の死を遂げていて、彼にその疑いがかかっていたのだ。助手の俊介少年とともに、調査にのりだした野上は、竜が棲むという屋敷の庭園で、不可解な怪事件に遭遇する。書下し長編本格ミステリー。
長野県松代観測所が、南米チリ沖の微動地震をキャッチした。津波研究の第一人者である気象庁地震課の紺野久光は、過去の大惨事、三陸津波を彷彿して戦慄を覚えた。紺野は、美しく聡明なTVキャスター瀬田美里の助力を得て、深夜番組で警告のテロップを流したが、その頃、ハワイ、グァム、東京ディズニーランド、芝浦、横浜などで何も知らずに過ごす人々の許に、危機は着々と迫っていた。書下しパニック小説。
“大英帝国”隆盛の礎を築きあげた海の勇者たち。彼らの壮絶な運命は、スコットランドの魔女から不死の命を宣告された船乗りマシュー・ローによって目撃されてきた。そして1805年、彼はネルソン提督のもと、世界の海軍史上に残るトラファルガー海戦に立ち向かう…。英国の海の英雄たち、奴隷貿易の暗黒を壮大なスケールで描いた傑作海洋小説。巨匠モンサラットの遺作となった三部作の完結篇。