1992年発売
高校生の麻里子の学生カバンに、知らぬ間に1つの鍵が押しこめられていた。折しも、彼女の家の近所では通り魔事件が多発。何かを探しているかのように、鞄を奪っては切り裂く。-犯人の狙いはこの「鍵」?そうとも知らず鍵の謎を調べだした麻里子に、ますます犯行をエスカレートさせていく通り魔の魔手が迫る。
京都の同じ大学を卒業した友達数人と、山陽路を旅することになった中川美帆。旧交を温める楽しい旅になるはずだったが、倉敷での最初の夜に友人の1人、小笠原由紀が変死体で発見された。通夜に出るため京都に泊った翌朝、今度は武村明が変死。いったい誰が何のために。青春の日の愛憎が交錯する悪夢の旅。
襲われた女性たちは皆、残虐な姿で辱められ、締め殺されていた。バージニアの州都リッチモンドに荒れ狂った連続殺人に、全市が震え上がっていた。犯人検挙どころか、警察は振回されっ放しなのだ。最新の技術を駆使して捜査に加わっている美人検屍官ケイにも魔の手がー。MWA処女作大賞受賞の傑作長編。
半導体をめぐる日本とアメリカの熾烈な駆け引きの裏側を描く。日米経済摩擦を背景に、通産官僚、電子工業界、ロビイストなどの動きを多元的に、かつドラマティックに追う。そして絶体絶命の新しい大危機が。いかに克服するか。アメリカの仕掛けた大胆な戦略を明かし、近未来を洞察した国際ビジネス小説。
江田島の主峰・古鷹山が炎上し、短剣を腹部に突きたてた不審な焼死体が発見された。そして10年ー。帝国海軍の象徴・東郷元帥の盗まれた短剣の行方を追って浅見光彦が江田島へ。奇しくもその日、発見された短剣で男が「自殺」した。三つの短剣に秘められた戦後40余年の繁栄に酔いしれる日本の悲劇とは。
1915年12月、第一次世界大戦のさなか、商船八坂丸は282名の乗客、乗員を満載してロンドンを出航、地中海に入りエジプト、アレキサンドリアを目指す。行く手には敵国ドイツ潜航艇が無数に待ち伏せしていた。Uボートの標的は八坂丸の積荷、10万枚のイギリス1ポンド・ソヴリン金貨(時価換算300億円)だ。冷静果断の人、船長山脇武夫は決然と命ずる。『針路東!時速14ノット!』『アイ、アイ、サー!』大戦秘話をもとに、多年胸に温めた熱情をほとばしらせて安部譲二が書く。人種と国境を越え、憂き世のしがらみを越えた男と女の恋。海難史上未曽有、奇跡の全員生還を描く長篇小説。
時は18世紀後半、江戸の町。今、世間を騒がせているのは、前代未聞の連続怪死事件。なんと死体の皮膚が透き通り、内臓が見えているのだ!そしてなぜか周囲に散乱する華紙…。奉行所も頭を抱えるこの事件に乗り出すは、丸メガネ愛くるしい同心の妹、渡来鞘香。女遊びに夢中の女装美少年“かげろう”こと景四郎を引き込み、渡来家の中間弥助を加えたこの奇人変人トリオが、江戸一のマルチ人間平賀源内の助けを借りながら犯人捜しを始めるのだが…。痛快時代コメディ全2話収録。
エッチでバクチ好きの型破り刑事・猫田恭平。ある日ひょっこり現れた霊感ザルの協力で、みごと事件解決の帰り、「北斗6号」の車中でバッタリ倒れた老人にでくわす。「わしが殺されたんだ」「…?」何だか変なジイさんだが、正体不明の敵に生命を狙われているらしい。センパイの五月刑事の命令で、サルくんとコンビを組むハメになった猫田は、しぶしぶ保護にあたるが…?
鈍川家の長男・真逸郎は、父を殺した白館貴思雄の報復に失敗し刑務所に入っている。異母弟・小次郎は抜群の頭脳と腕力に恵まれ、東大に進学、学生運動の渦中に身を投じながらも、父、兄の無念を晴らすべく白館に迫ってゆく。しかし、その過程で密かに思いを寄せる女性がいながら、白館の娘に挑発され、苦悩の学生時代を送る。そして、小次郎は遂に白館を襲う直前まで至るが、その時、白館の長女は…。
『浴室』の鮮烈なデヴューは、日本の読者に快いショックを与えた。続く『ムッシュー』は文学ファンをこえて、広く青年の愛情をかちとった。この『カメラ』の主人公なにを思ったか、自動車の教習所へ通い始めます。そして、その窓口に勤める女性と恋に落ち、いつのまにか、異国への旅に彼女を誘います。旅にでるたびに、なにかあるトゥーサンの主人公。今度はいったい、どんな事件が…?
ボルネオの森林保護区で働く西緑郎は、病院で死を前にした老人から封筒を託される。西は手紙と3カラットのダイヤが入ったそれを老人の従妹アイリーンに届けるが、2人は何者かの襲撃をうける。手紙は“マレーの虎”山下奉文の幻の財宝のありかを教えるものだったのだ。アイリーンの愛車ダッジ・チャレンジャーを駆って、マレー半島を舞台にすさまじいカー・チェイスが始まった。
ゲームの最中、突然マスコットガールに襲いかかったプロ野球選手・追分知之。元歌手を名乗り、制服姿の女性を次々と狙う連続殺人犯。そして大脳に障害を負った刑事・海藤兼作。精神科医・南川藍子は、深層心理や大脳に傷を持つ3人の男と関わり始める。さらに、藍子を付け狙う謎の人物の影が見え隠れしてー。最先端の精神医学の研究成果を大胆に取り入れた、長編異色ミステリー。
シャクリと呼ばれるポンプ・アクション6連発銃、ウインチェスター・M12。その銃を手にした男たちのそれぞれの生き方ー。自分の射撃スタイルに最後まで固執した選手、一人前の男として生きる姿勢を身をもって息子に教えた父、悪徳養豚業者と闘う陽気なマスター、スパイらしき男と闘争を余儀なくされた老人。銃が人手を巡り、生みだされた四つの切ない物語。ハードボイルド連作短編。
クルマの免許取り立てでデパートに買物に出た中年女性歯科医が、緊張のあまりいつしか帰路を見失い、二昼夜東京近県を彷徨う「ちりぢごく」。肥大化したブルドッグに悩まされる飼い主の滑稽と悲惨「死者の鼾き」。住宅展示場でまんまと一杯食わされた一家の嘆き「しあわせ家族」。他に「俗物行進曲」「銀輪の檻」「物いわぬ海」等々、昭和最後の鬼才が放つ恐怖のお楽しみバラエティ十二夜。
モスクワでの行動でKGB上層部に睨まれた捜査官アルカージは、シベリアに流された後、今はソビエトの北洋漁船「ポーラー・スター」号の船員として働いている。ところが、ある時、引き揚げた底引き網に女船員の死体が発見され、船長から徹底捜査を命じられるや、事件は果たせるかな、国際的な疑惑にまで広がって、深刻な様相を帯び始めた。映画化話題作「ゴーリキー・パーク」続編。
高級娼婦は死んでいた。自宅マンションの浴室で椅子に縛りつけられ、シャワーの熱湯を浴びせられてー。ニューヨーク市警の落ちこぼれ集団、遊軍部隊に所属する女性刑事エリー・クラインは相棒のナードンと共にこの事件の捜査に乗り出した。が、第二、第三の殺人が発生、捜査は難航する。多くを喪い、傷つきながらも、エリーが犯人を執拗に追いつめるまでを冷徹な筆致で描く警察小説。