1993年3月31日発売
「あたしのパパが作ったタイム・マシンを見てくださる?」-ぼくの決死のプロポーズに、彼女は笑ってそう答えた。だがそれは単なるタイム・マシンではなくー。多元宇宙を自在に往来できる連続体飛行機だった。この画期的発明を狙う謎の異星人に新婚早々殺されかけたぼくらは、この飛行機を駆って時空を超えた逃避行へと旅立ったのだが…。円熟期を迎えたハインラインの力作長篇、待望の文庫化第一弾。全三巻完結。
盗みの天才エイリアン〈どろぼう熊〉。着陸直後から宇宙船に侵入したこの奇怪な生物は、文字どおり“あらゆるもの”を盗みはじめた…。惑星調査隊が直面した血も凍る悪夢をブラックに描く表題作はじめ、世界を支配する秘密結社の苦悩をつづる「秘密の鰐について」、大空に浮かぶ巨大な島の物語「また、石灰岩の島々も」などなど、SF界のホラ吹きおじさんラファティの魅力をたっぷりと詰めこんだ日本版オリジナル傑作集。
生前みずからが残した詳細なデータをもとに再生されたアリ。なにも知らずに成長した彼女が七歳のとき、突然ママが姿を消してしまう。七歳で実母と死に別れた“初代アリ”と同じ環境を作るため、後見人たちがとった措置だった。やがて自分が、かつて絶大な権力を誇った女性の“複製”であることを知った彼女は、初代アリが残した全遺産の相続権を主張して法廷に立ち、一躍マスコミの寵児となるが。傑作SF巨篇第二巻。ヒューゴー賞受賞。
最新の科学技術を結集したアメリカの軍事宇宙ステーション〈シルヴァー・タワー〉。レーザー兵器の開発に心血をそそぐ女性科学者アンは、ここで弾道ミサイルの迎撃実験を行なっていた。そんな折り、ペルシャ湾沿岸で米ソの武力衝突が勃発した。圧倒的な戦力にものをいわせて次々と戦略拠点を制圧してゆくソ連軍に対し、アメリカ側は超高性能レーダーを搭載した〈シルヴァー・タワー〉を投入し、戦局の逆転を図るが…。
ソ連軍の動向を瞬時にして探知する〈シルヴァー・タワー〉のレーダーを用いて、アメリカ軍は驚異的な反撃を開始した。劣勢に立たされたソ連軍は、対衛星兵器を駆使して〈シルヴァー・タワー〉に攻撃を加えるとともに、ペルシャ湾に展開するアメリカ第七艦隊に大攻勢をかけるが…。『オールド・ドッグ出撃せよ』の著者が、陸海空と宇宙で展開される現代戦をリアルな筆致で描く、壮大なスケールのハイテク軍事スリラー。
妻が自分の親友と浮気していることに気づいた亭主は考えた。妻を殺してその罪を親友に着せてやろう。それも後世に語り継がれるような芸術的な方法で。悩んだ末に男は、ブロック、ラヴゼイら当代一流のミステリ作家五人に相談を持ちかけた。寄せられた回答は入念なものばかりだったが、やがて作家たちは互いの計画をけなし合いはじめた…。完璧な殺人法をめぐって、人気作家が知恵と技とを競い合うユニークな合作ミステリ。
2130年に太陽系外から忽然と現われた謎の飛行物体。ラーマと名づけられたこの物体は、長さ50キロ、直径20キロの巨大な宇宙船と判明した。だが、人類が初めて遭遇した異星の構築物は、その目的もわからぬうちに太陽系を去っていってしまった。そして70年後、第二のラーマが太陽系に現われた。ラーマとそれを建造した異星人の正体を探りだすべく派遣された調査隊は、謎を解明できぬまま地球に帰還した。だが、宇宙のいずこかをめざして飛びつづける第二のラーマ内部には、調査隊員三人が取り残されていたのだ。さまざまな辛苦を重ねて生き延びていたニコル、リチャード、マイケルが、旅路の果てに見た驚くべきものとは。
1905年、26歳のアインシュタインはスイスのベルン特許局で勤務しながら、革命的な物理学理論の研究にうちこんでいた。それは、彼の生涯でももっとも輝かしい年といわれるほど重要な論文がつぎつぎに発表された一年だった。特殊相対性理論の完成を目前にしたアインシュタイン。だが彼は、夜ごと奇妙な夢に悩まされていた。夢に出てくる異世界では、時間が循環したり、静止したり、逆流したり、しゃっくりしたり、目に見える次元になったり…と、ありとあらゆる奇妙な様相を見せる。夢と現実が重なりあうとき、この世界までもが変容を余儀なくされていった。現役物理学者が専門的知識と比類なき詩情、卓抜な想像力を融合させて、アインシュタインが見たかもしれない数々の夢を流麗に描きあげ、英米読書界に衝撃を与えた話題の傑作。
最初の結婚に失敗し、二度目に幸せな家庭を築いたものの、最愛の妻と一人娘をある悲惨な事故でいっぺんに失くしたマットが、帰りたくない過去のおぞましい事件の謎に迫っていく。ボストンに登場した異色の私立探偵マット・ジェイコブ・シリーズ第2弾。
1995年8月15日、沖縄県嘉手納宇宙港。藤堂輝男は、宇宙往還機第一号の機長席に着いた。日本は初めて自らの手で日本人を宇宙に旅立たせようとしていた。近海には海上自衛隊の大型艦、世界各国のマスコミと30万の見学者のなかに初老の提督の視線があった。藤堂進。次男の雄姿を孫娘と見送るためだったが、同時に沖縄に海に眠る父への思いをはせた…これより半世紀前、1944年10月24日、藤堂進中佐は、レイテに進撃していた。藤堂家の男たちに流れる海の防人の血。国家と家族の運命を糸に描く壮大作。
1999年秋-。日本軍は二度のクーデターによって完全に国家権力を掌握した。そして、都市ゲリラ闘争によって泥沼化したアルゼンチンへ、邦人保護を理由に四千の兵力派遣を決定する。さらに北東アジアにおいては、険悪化した日韓関係を実力で解決すべく竹島(独島)奪取、済州島攻略作戦の敢行を決定する。韓日戦争の開幕-悪夢のはじまりである。近未来シミュレーション・ノベル。
日本軍のハイテク兵器の威力は凄まじかった。たちまち済州島を占領。ひきつづき、海・空からの猛襲ののち、釜山、馬山、蔚山、浦項などの重要工業地帯を攻略、さらに大田、ソウルをめざした。日本軍の猛攻に対抗、韓国、北朝鮮、中国は同盟を結び、さらに北朝鮮軍20万は38度線を越えて前線に向かった…。近未来シミュレーション・ノベル。