1993年発売
23歳で華麗にデビュー。現代アメリカ文学の新しい流れを代表する、自分自身がゲイである作家レーヴィットの大ベストセラー。全世界で実に18か国語に翻訳されたという。アメリカの家族の絆の光と影をしなやかな感性で巧みにとらえた“優しく、おかしく、雄弁で、知的でもある驚くべき短編集”。
これから裁く。神に代わって、警察に代わって、検事に代わって、俺が裁く。俺を人間と思うなよ。俺は深い悲しみの果て、言いようもない憎しみをこの胸に膨らませることができた。その憎しみが、俺を野獣にした。地獄の鬼にした。
一介の秘書課のOLから破格の昇進で課長に抜擢された有美。彼女に新しく与えられた仕事は、その日本人離れしたプロポーションと、過去にソープランドにいた経験を生かして、会社の不利となる秘密情報を調査、潰すことだった。美女の股間の黒い繁みと、中高年向きのソープ・テクに狙った獲物はうめきとともに企業秘密を洩らす。だが彼女の前に強烈なライバルが。
京都近郊に建つヨーロッパ中世の古城を彷彿させる館・蒼鴉城を「私」が訪れた時、惨劇の幕はすでに切って落されていた。首なし死体、密室、蘇る死者、見立て殺人、2人の名探偵の火花散る対決そして…。島田荘司、綾辻行人,法月綸太郎三氏の賛辞を付して刊行された著者21歳のデビュー作、ノベルス化になる。
フォトライター沢原は、狙うべき像を求めてやみくもに街を彷徨った。初めてその男と対峙した時、直感した……”こいつだ”と。「鏡の顔」の他、四編を収録。日本冒険小説協会最優秀短編賞受賞作品集。
「父を売る子」他、肉親を仮借なく批判した〈私小説〉を執筆、一族の血の宿命からの脱却をギリシャ的神話世界に求めた異色の作家牧野信一。処女作「爪」を島崎藤村に激賞され、空想と現実の狭間で苦悩し自死した先駆的夭折作家の、12篇を収録。
チャウシェスク政権下のルーマニアを舞台に、「絶対的自由」の獲得に向けて世界の記憶回復(アナムネシス)を希求する老文豪、その探究の旅に秘められた謎とは?今世紀最大の宗教学者エリアーデの最後の長編幻想小説。
北海道の巨大な迷路で男の惨殺死体が発見されたが、その体には異様なものが。謎を解く鍵は、被害者と同じ異形の姿をしていたという古代の預言者モーゼ。推理作家・荒尾十郎は、真相を求めて、モーゼの墓伝説の地へ。そして露になる驚愕の真実。古代伝承をふまえ叙情豊かに描く異色のトラベル推理。
本名・北野弓子、芸名は長山レナ・風見圭子・簗瀬ルミと変わって十年ぶりに会った女は昔とちっとも変わらぬ美貌を誇っていた。かつてひょんなことから同棲した女が急に売れ出したとき、二人の仲は破局に向かった。再会した男と女の胸中に流れる甘く苦いノスタルジー。虚構の世界に生きる男女を描く連作集。
刑事をやめて、ルポライターと探偵業をこなす柚木草平。ある雨の日に、彼のもとに不思議な事件が持ち込まれた。謎の糸をたぐり寄せるたびに、出逢うのはいろんなタイプの美女、美女、美女。殺人事件の謎ときから、掃除、洗濯、料理をこなし、おまけに『いい女』にも強い柚木がさり気なく活躍する人気シリーズ。
名コンビ笹谷美緒&黒江壮が、寝台特急「あけぼの1号」で北津軽の「斜陽館」に着いたころ、前夜に上野を発った「北斗星5号」が男の刺殺死体を乗せて札幌に着いた。奥羽本線と東北本線の2本のブルートレインを結ぶトリックの裏にさらに巧妙・緻密なトリックが隠されていた。美緒&壮ははたして見破れるか。
数百億円の遺産と会社の実権を残したまま女主人は密室で殺された。容疑者は相続人全員。遺産と実権を狙い愛憎、陰謀が渦巻くなか、武蔵野の風情を残す豪邸“土筆庵”で次々とおこる密室殺人。美貌の女刑事・鮎川阿加子も犯人の誘いに乗せられて…。四つの密室が複雑に絡み合いながら事件は意外な結末へ向かう。
銀河有数の金属鉱山を持つソリテア星系は正体不明の〈雲〉に覆われ、通常の方法では進入することができない。唯一の手段は死んだばかりの人間に操縦させることであり、そのためソリテアを訪れる船は必ず死刑囚を2名乗せることになっていた。この星系への運航免許を得たキャリロン社は、読心能力を持つ青年ベネダーを惑星ソリテアに送りこむ。だが、帰路に殺される運命にある女囚カランドラはまったくの無実だったのだ。
死刑囚カランドラを伴って惑星ソリテアを脱出したベネダーは、隣接する惑星スポウルで知性を持つ植物〈入道雲〉の群を発見した。思いがけないファースト・コンタクトに全ソリテア星系は沸きかえり、ベネダーたちは読心能力を駆使してこの生物との対話に取り組むことになる。やがて〈入道雲〉はソリテア星系を包む〈雲〉にまつわる恐るべき秘密を語りはじめるのだった…。冒険SFの第一人者が新境地を拓く本格宇宙SF。
サバイバル・インストラクターの富臣は、元陸上自衛隊のエリート。新興プロレス団体・NMFの山ごもり合宿を引率中、若手レスラーと喧嘩になった。富臣は「野見流合気拳術」で相手を一蹴する。富臣に拳闘家としての魅力を感じたNMFのスーパースター・神代は勝負を挑む。忘れかけていた闘いへの情熱が再び湧き上った富臣は、野見流奥義「いかづち」完成のため特訓を開始する。長篇アクション小説。
本来ならば〈高貴なる血〉をひく者として王位に就く筈だった王女ディアナ。幼くして父の国王を失ったため、叔父のカイオスが暫定的に王に。ディアナが王位を継承するには同じディアを持つティークと結ばれる必要があった。〈運命〉に導かれるように恋に落ちる二人。が、カイオスの陰謀によりディアナは将軍ムールの許へと嫁がされてしまう。ディアナがティークの不義の子を身篭ったことから悲劇が始まった…。