1994年3月発売
保安官助手になって五年も経つというのに、いまだマーティが任されるのは小さな事件ばかり。今度もそうだった。郊外の丘陵で男の惨殺体を発見したのはマーティだというのに、彼女が命じられたのは八年も前に家出した名家の娘を捜しだすことだった。が、やがてその娘の白骨死体が丘陵近くの洞窟で見つかり、二つの事件は意外な結びつきを見せはじめる。持ち前の勇気と正義感で事件に挑む保安官助手マーティ、颯爽と登場。
アニーは胸の高鳴りを抑えられなかった。自分の企画した〈クリスティー記念祭〉が、ついに開幕するのだ。人気のミステリ作家も参加してくれるし、催し物も盛りだくさん。誰もが楽しんでくれるにちがいない。が、その記念祭に本格ミステリ嫌いの冷酷な評論家が闖入してきて、おまけに連続殺人が…。ミステリの女王に捧げられた、とびっきりの本格ミステリ。
サン・ピエトロ寺院のドームで、ミサの最中に一人の男が墜死を遂げた。男の名はルスパンティ。若くして家督を継いだ公爵だった。自殺か、それとも他殺か?ヴァティカンの大司教に請われ、刑事警察のゼンは捜査を開始する。だが、その直後に事件の目撃者がまたもや謎の死を…。英国推理作家協会賞に二度輝き、英国ミステリの新旗手と謳われる著者の注目作。
イタリアの古都を訪れた英国人カップル、コリンとメアリは、道に迷った夜ロベルトという地元の男と知り合った。ロベルトの家に招かれ、体が不自由な妻キャロラインに紹介された二人は、自分たちが奇妙な罠にはまったことを知る。幻想と現実がとけあう街で異常な愛の迷宮に囚われた男と女。『イノセント』の鬼才がエレガントに描く文学ポルノグラフィー。
絶世の美男女で著名な病理学者のマイケル・ベッカーは、ヴェトナム戦争の時、サイゴンで売春婦を殺してから、人間は“死ぬ瞬間”に別の世界を垣間見ると考えるようになり、その瞬間に眼に何が現われるか、深い興味をいだくようになった。だが、その一方で、殺した売春婦の眼にうなされはじめ、その悪夢から逃避するため、薬物におぼれていた。そのベッカーが、顔に火傷の痕のある男ドルーズと出会い、不仲だった妻を殺すように依頼する。ドルーズは家に侵入し、彼女を殺害した。ベッカーに指示された通り、彼女の眼を潰して。だが、彼女との情事を終えたばかりの愛人が犯行を目撃、匿名で警察に通報した。ミネアポリス市警のダヴンポート警部輔補らは愛人の行方を追うとともに、夫のベッカーに嫌疑をかけた。しかし、彼には完璧なアリバイがあり、共犯者がいるとの想定のもとに捜査は進められる。やがて、第二、第三、そして第四の殺人が起きた。その被害者は、どれも鋭利な凶器で眼を潰されていた…。冷酷にして狡猾な連続殺人犯を、一匹狼の警部補ルーカス・ダヴンポートが追いつめる。強烈なサスペンスが貫くストーリーと衝撃的な結末。全米でベストセラーとなった人気シリーズ最新作。
“眠り猫”こと仁賀丈太は、一見しがない中年男だが、実は凄腕の私立探偵だ。その腕っぷしとは裏腹に、だらしない性格が災いして、酒代のツケのカタに息子のタケをオカマのララが経営する飲み屋で働かせている。そんなある日、鷲尾と名乗る正体不明の総会屋がタケの前に姿を現わした。直後、鷲尾の舎弟の富士丸がチェーン・ソウを振り回して乱内し、店内を次々に破壊しはじめた。奴らの目的はいったい何か?圧倒的な迫力で濃厚で凶暴な愛のかたちを描く待望の傑作・長篇探偵ブルース第2弾。
総合商社・東邦物産の平凡なサラリーマンの熊谷徹は、退社を覚悟で設立した“スワン・エンタープライズ”が大成功-。表向きはあくまでも人材派遣会社だが、実際は国際色豊かな才色兼備の若い女性を集め、大企業のエグゼクティブにセックス付きの愛人秘書として利用させていたのだから、儲からないはずはない。本社からの評価も高く、弱冠三十二歳で最年少取締役に抜摺されたほどだ。業績が伸びる度に、高級クラブやソープランドに通い、趣味と実益をかねた“人材確保”に努める熊谷の前途は洋々に思えたが…。
ときに愛しくしなやかにたわみまたあるときは、そっけなく誰より粋で昏く激しく甘やかで、いさぎよい。迸る情念をじっと抑えくるりとうしろを向いて去る、こんな愛の形もあった-。セピア色の東京。切なく激しい愛の作品集。
大東亜戦争も4年目に突入した年の瀬、横須賀港に沈黙したままの軍艦があった。時代に取り残されたといわれる超弩級戦艦『扶桑』である。そしてそれを見つめる男がひとり。大日本海軍提督・犬田文璽。彼も時代に取り残された存在だった。彼は『扶桑』と同じく活躍の場を失った『山城』、『伊勢』『日向』に「死に場所」を与えようと、極秘作戦を画策していた。それは行き詰まった戦局を打開する日本の最後の手段であったのだ。彼の元に組織からはみ出した無頼が集まった。アメリカ帰りの参謀・犬坂、次席司令官・犬村、天才飛行機乗り・犬飼、水雷屋・犬山、砲術屋・犬川、魚雷艇乗り・犬江、駆逐艦艦長・犬塚、そして次席参謀の金碗…。それぞれの思いが交錯するなか、四戦艦は太平洋へ乗り出す。物量で戦局をリードするアメリカ軍を相手に、はたして彼らは勝利を得ることができるのだろうか。戦艦マニアの著者が自信をもって描く迫力の海戦小説。読者興奮の歴史キャラクターノベルズ第2弾ここに登場。