1994年7月15日発売
殿中での吉良への刃傷沙汰により浅野家は断絶、赤穂浪士は仇討の機を窺う。一方、吉良方の上杉家では家老の千坂兵部が女忍者を用い、色仕掛けで浪士骨抜きを企む。大石内蔵助が同志と密議の最中に、妖美と怪異の忍法が華と炸裂した。
信州毎朝新聞・牧田の絞殺死体が水内ダムで発見され、部下の中島が疑われた。だが恵那山トンネル、長楽寺、寝覚の床でも次々と絞殺死体が発見され、それが長野県歌「信濃の国」に歌われる名勝であることに、中島の妻・洋子は気が付いたが…。信濃のコロンボ、こと竹村警部登場の長編傑作旅情ミステリー。
ホールを埋めた聴衆の前から、オーケストラのメンバー全員が消えた。黒い舞台衣裳の特異な姿の彼らだ、人目につかないわけがない。なのに目撃者は皆無。やがて楽団事務局に、正装したヴィオラ奏者の死体の入ったコントラバスケースが届いた。-空前の消失トリックにいどむ音楽ミステリー。読者に挑戦。
次々と興信所を訪れては、およそ事件とは思われない奇妙な依頼をしていく謎の女・平林貴子。いったい、彼女の本当の目的は何なのか。やがて、それぞれの調査報告が、ひとつの輪のように繋がって隠された大事件の全容が明らかになっていく。斬新なスタイルで、読者に挑戦する華麗なるメドレー・ミステリー。
懐しいグールズボローへ向かう旅の途中、アンジェリクは何者かの謀略によって夫のジョフレと引き離され、イギリス人清教徒の村で、インディアンの大襲撃に出合う。九死に一生を得たものの夫には会えず、今度は、海賊“黄金ひげ”の手中に落ちる。しかし、彼の正体を知ったアンジェリクは…。
海賊“黄金ひげ”こと昔の愛人コラン・パトゥレルとの再会で、アンジェリクの心は乱れる。謎の人物ジャック・マーウィンの船で、ようやくクールズボローにたどり着いた彼女を迎える夫ジョフレの態度は冷ややかだった。誤解と不信から、ふたりの間に危機が訪れる。その陰には邪悪な敵の企みが。
チェルノブイリ原発事故による放射能汚染食品がヨーロッパから検査対象外の別の国経由で輸入されていた。厚生省の元食品衛生監視員として、汚染食品の横流しの真相究明に乗りだした羽川にやがて死の脅迫が…。重量感にあふれた、意外性豊かな、第三十七回江戸川乱歩賞受賞のハードボイルド・ミステリー。
血なまぐさい風が吹く居合道場、一心館。完全な密室状態の中で、二つの白装束の惨殺死体が発見された。覚悟の自刃とみなされた事件の容疑者に浮び上ったのは、全日本剣道選手権優勝者…何者かが仕組んだ罠か。三十年余の時空をこえていま甦る怨念の復讐劇。江戸川乱歩賞受賞第一作の剣道長編推理。
ああ…稲垣さん、とても…すてき…二十九歳の人妻、伊集院明日香は箱根の不倫の宿で、深い歓びに身を泳がせた。しかし、同じ夜、不倫相手の稲垣の元恋人が殺され、彼の無実を証明できるのは明日香だけになってしまう。都心部の巨額土地活用プロジェクトをめぐる陰謀を暴く、官能&サスペンス傑作。
かつて人類が植民し、のちに忘れさられた世界、サパ星系ー3431年、その衛星コニアーズからテラナーの子孫が、核戦争の悲劇をのりこえ、大宇宙をめざしていた。フラマン・パンタローネ船長率いる四段式宇宙船《ヴァンガード》が打ち上げられたのだ。だが、目的地である惑星フィルマーでは、独裁帝国ダブリファがサパ侵略計画を着々と進めていた。ようやく宇宙への第一歩を踏みだしたサパ人たちに帝国の魔手が迫る…。
パリ、ワルシャワ、ジュネーヴ。ヨーロッパの国際都市を舞台に、三つの色が奏でる三つの愛の物語ー愛する夫と娘を車の事故で失ったジュリーは、すべてがブルーな色合いの中で自己を回復できるのか。雪のように白い肌のドミニクは、ポーランド人の夫の愛がもの足りず離婚裁判に持ち込むが…。優しい赤がよく似合うモデルのヴァランティーヌは、盗聴マニアの元判事に魅かれてゆく…ユニークな構成で贈る連作小説集。