1995年10月25日発売
百三十九歳の詐欺師が語る法螺話が、そのまま広大なオーストラリアの歴史につながる。『百年の孤独』オーストラリア版とも評された、ブリリアントな俊英のおかしなおかしな大長編。
見事な肉体とセクシーな笑顔、ちょっと淫らなところもあるけれど滅法強い型破り刑事-風巻。少年っぽい甘い美貌がおよそ職業とミスマッチな、通称K町署のお荷物刑事-冬木。二人の個性派刑事が出会い、そして熱い関係へと落ちていった街…横浜。潮の薫りとエキゾチックな喧騒に満ちたこの街で、つぎつぎに起こるミステリアスな難事件を、二人は絶妙な連携プレーで解決していく…。時に哀しく、時に妖しい-素敵で危険な男たちのブルース。
高崎市郊外の広大な旧家=赤松屋敷に呼び寄せられた擬制の家族たち。画商を営む美貌の女主人・美恵、近くの女子大で美術史を教える私とその妻、下宿人の女子大生・真帆、住み込みの男衆・倉田親子、そして美恵夫人の夫で一人東京に住む美術界の長老・井沢教授。それぞれの人生を抱えつつ郊外の田園に安らぐ危うい関係も、やがて旅師の娘でもある真帆の持ち込んだ一巻の『邑楽図』を契機に波瀾に晒されることになる。
人間とはなにか。私たちが生きるというのは、いったいどういうことか。今という時代を生きのびるために、そして根拠のあるよろこびと明るさをどこまでも持ちつづけ、問いを生きつづけるために、子どもの本をとおして見えてきたものを等身大のことばと低い静かな口調で語りかける。
現代の児童文学はなにを問題にしようとしているのか。E.L.カニグズバーグ、フィリパ・ピアス、ヴァジニア・ハミルトン。これら現代の児童文学に最も重要な位置を占める作家のなかに、日々を生きのびる技術、生きてあることの不思議さ、そして時代を曳く思想のあり方などを認め、時代の感受力のありようを示す。読者の強い要望から生まれた新装版。