1995年10月発売
一九四一年三月、太平洋戦争開戦を目前にして、日本海軍首脳は艦隊の編制に頭を悩ませていた。途中で駆逐艦が不足する恐れがある…。その不安を取り除くため、特別武装の駆逐艦四隻を新たに建造することになった。軍籍簿に記載されない“闇の艦隊”の誕生である。
百三十九歳の詐欺師が語る法螺話が、そのまま広大なオーストラリアの歴史につながる。『百年の孤独』オーストラリア版とも評された、ブリリアントな俊英のおかしなおかしな大長編。
見事な肉体とセクシーな笑顔、ちょっと淫らなところもあるけれど滅法強い型破り刑事-風巻。少年っぽい甘い美貌がおよそ職業とミスマッチな、通称K町署のお荷物刑事-冬木。二人の個性派刑事が出会い、そして熱い関係へと落ちていった街…横浜。潮の薫りとエキゾチックな喧騒に満ちたこの街で、つぎつぎに起こるミステリアスな難事件を、二人は絶妙な連携プレーで解決していく…。時に哀しく、時に妖しい-素敵で危険な男たちのブルース。
高崎市郊外の広大な旧家=赤松屋敷に呼び寄せられた擬制の家族たち。画商を営む美貌の女主人・美恵、近くの女子大で美術史を教える私とその妻、下宿人の女子大生・真帆、住み込みの男衆・倉田親子、そして美恵夫人の夫で一人東京に住む美術界の長老・井沢教授。それぞれの人生を抱えつつ郊外の田園に安らぐ危うい関係も、やがて旅師の娘でもある真帆の持ち込んだ一巻の『邑楽図』を契機に波瀾に晒されることになる。
人間とはなにか。私たちが生きるというのは、いったいどういうことか。今という時代を生きのびるために、そして根拠のあるよろこびと明るさをどこまでも持ちつづけ、問いを生きつづけるために、子どもの本をとおして見えてきたものを等身大のことばと低い静かな口調で語りかける。
現代の児童文学はなにを問題にしようとしているのか。E.L.カニグズバーグ、フィリパ・ピアス、ヴァジニア・ハミルトン。これら現代の児童文学に最も重要な位置を占める作家のなかに、日々を生きのびる技術、生きてあることの不思議さ、そして時代を曳く思想のあり方などを認め、時代の感受力のありようを示す。読者の強い要望から生まれた新装版。
突然訪ねてきた女が、一枚の写真を示し、左端の男の消息を知らないか、自分は妹だが六年前から探しているのだという。場所は彼が通った大学だが、その男についての記憶はない。そう告げると、女は「嘘吐き」と強い口調で決めつける。彼はアルバムや卒業名簿を調べたり、現在は退職している同級生に電話をかけてみたりするのだが…。日常の微妙なずれにからめとられた十人の男を描く短編集。
人気女性キャスターがベストセラー作家を射殺、正当防衛の弁護を引き受けたパジェット弁護士。殺人現場で発見されたテープをめぐる検察側との攻防。そのテープから生々しく甦る、あの大女優の声、明らかになる、20年前の彼女の自殺の忌まわしい真相。そしてそのテープが、彼自身の運命の大きな落とし穴になろうとは-全米を興奮させた大型法廷サスペンス。
スラム街の生活から抜け出し、もう一度人生をやり直そうと決意した青年が、船長以下六人で大型船を台湾まで回航する仕事に就いた。ところが出航してまもなく火の気のない無線室から出火し、無線が使えなくなる。続いて舵が故障、そして浸水と事故が頻発する。犯人の目的は何か…。