1995年11月25日発売
ロンドン・シティの若い債券トレーダーのポール・マレーは、同僚から不審な取引のことを知らされた。その矢先同僚が死体で発見され、疑問を抱いたポールは独自に調査を開始。やがて彼の前に、巧妙に隠された国際金融詐欺が浮かび上げる。仕組んだのは誰なのか。“アンクル・サムのマネー・マシーン”とは何か。次から次へと新たな謎が生まれ、パラノイアに陥るポール。真相を探ろうとポールは渡米、ようやく証拠の片鱗をつかむが、帰国した彼を待っていたのはインサイダー取引の冤罪と殺人容疑であった…。
闇に葬られた「ジュラシック・パーク」事件から六年。科学が夢を実現させたかに見えたパークは崩壊し、恐竜も滅び去った。だが、まだ何かが生き残っている、というひそやかな噂は絶えなかった…。孤島にたどりついた古生物学者レヴィンは、胸を躍らせた。コスタリカ沿岸に流れついた謎の動物の屍体を見て以来、太古の恐竜が今に生き残る「ロスト・ワールド」を探してきたのだ。この島にこそ恐竜がいる。彼は確信していた。レヴィンが調査の旅から戻ってこないことを知り、工学者ゾーンは困惑した。レヴィンの依頼で製作した、科学調査用トレーラーのテストを行なう予定だったのだ。衛星電話で呼び出すと、ノイズの向こうからレヴィンの声が聞こえてきた。「とりかこまれた-兇暴-やつらのにおいがする-」接続は切れた。彼の部屋で見つかったのは、壁をおおう地図や航空写真、そしてその上に書かれた大きな文字-「サイトB」か。「サイトB」とは。レヴィンとともに「ロスト・ワールド」探しをしていた数学者が急遽飛んできた。〈ジュラシック・パーク〉事件からからくも生還した、イアン・マルカムだった。
秋が深まると、北国の空を、無数の銀色の糸をきらめかせて、蜘蛛が飛ぶー。仕事と家庭、愛と家族など、数々の困難の中で、“みずからの生き方”を求めて苦闘する二人の女性の“冬空への飛翔”を描いた感動の力作長編小説。
岸本勇二は、元銀行員。上司を殴って退職し、タクシードライバーをしている。学生時代、アメリカン・フットボールの選手だった彼は、いまも社会人のクラブチームに所属し、休日には仲間たちとフットボールを楽しんでいた。ある晩、勇二のタクシーに刑事が乗ってきた。スリの常習犯を追っているというその刑事に頼まれた勇二は、囮となって犯人逮捕に協力することになったのだが…。惜しまれて急逝した著者、最後の長編スポーツ小説。
蘇る死刑囚。新本格の旗手が新境地をひらく近未来クライム・ノベルここに誕生。2024年、東京は死にかけた太陽のように荒廃した光を放っている。バラバラに切断された死体のそばには、処刑されたはずの殺人鬼からの挑戦状が残っていた。
13世紀末、イタリアの小さな共和国ジェーノヴァに連行された一人の捕虜。世界をまたにかけた大商人であり冒険家・マルコ・ポーロ。だが、人は彼を「百万マルコ」と呼び、その話を信じようとはしなかった。彼の博識に心酔する数少ない一人、書記のジューリオが奇怪な殺人事件に巻き込まれた時、マルコ・ポーロの推理が冴える。中世イタリアの風物を悠揚せまらぬ筆致で活写しながら、「東方見聞録」執筆の謎にせまる傑作歴史マステリ。